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電力業界、負担回避へ攻勢 原発の後処理コスト
http://www.kyoto-np.co.jp/kp/topics/2003nov/16/K20031116MKA2Z100000012.html
電力業界が、使用済み核燃料の再利用や、放射性廃棄物処分に関連する費用の試算を示し、原子力発電のコスト負担をめぐる議論が総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)で始まった。財源が手当てされていない部分の扱いが焦点となる見通しで、自由化に伴う価格競争の中で新たな負担を回避したい電力業界は、公的な支援を求め攻勢に出る構えだ。
試算した費用は「後処理(バックエンド)費用」と呼ばれ、全国の電力10社でつくる電気事業連合会が、“企業秘密”である原価計算を積み上げてまとめ、11日に同調査会に報告した。
それによると、使用済み燃料からプルトニウムを取り出す再処理工場(青森県六ケ所村)が操業を始める2006年から、関連施設を解体・廃棄処分する2078年ごろまでに、バックエンド費用の総額は18兆9100億円に達する。
電事連は、この費用のうち、電気料金に含めるなどの財源手当てができていない約半分(9兆円弱)について「国の担保や経済的支援など必要な措置を講ずることが重要。国民が広く薄く負担すべきだ」(会長の藤洋作・関西電力社長)と主張してきた。
単純に電気料金に上乗せすると仮定すれば、一般家庭で、月々100円強の料金上昇要因にすぎない。しかし電力業界では2000年以降、段階的に小売り自由化が進んだ。石炭火力発電所を使った新規参入会社などとの大口顧客の争奪戦が激しくなり、10社による地域独占の時代と違い、コスト増を安易に料金に転嫁できなくなっている。
そこで政府主導の下で、新規参入者に負担を求める仕組みをつくったり、税金投入などの公的な負担にも道を開きたいと考えている。
今回の試算には「数10年にわたり経営の足かせになりかねない」(業界関係者)莫大(ばくだい)なバックエンド費用の実態を明るみに出す狙いもあったようだ。国策で進めてきた核燃料サイクル事業の「暗部」を、国民的な議論の場に持ち出そうとの思惑が見え隠れする。
しかし原発と無縁の新規参入者には、電事連の求める「応分負担」は承服しがたい。政府も財政難の中で、負担拡大に簡単に応じるわけにはいかず、電事連の狙い通りに事が運ぶかは未知数だ。
国や電力会社は、原子力発電の優位性として、石炭や天然ガスを使った火力発電に比べ発電単価が安いことを強調してきた。コスト負担の方法が決まっていないことをはっきりさせた試算結果の公表には、電力業界が言う優位性を疑わしくする副作用もあった。(共同通信)