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SUMITOMO GOLDサイト 2003/11/14 海外市場動向
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年内のクライマックスへ☆☆☆
(分裂した市場センチメント)
ドル建て金価格が年初来の高値に躍り出てきた。
11月13日のNY市場の取引時間中の高値は398.4ドル、終値でも394.3ドルとなった。この水準は、同時に7年半ぶりのものでもある。400ドルが目前に迫ってきた。
10月28日配信号にて「10月3日のヘッジ・ファンドと見られる売り崩しの動き」に急落したことが、「いわば強制的な整理進展要素として作用し」、「価格の戻りを早めること」になったこと。「まさに禍(わざわい)を転じて福となす、となりそう」で、金市場が「遠からず注目を集めるのではないだろうか」とした。
そして、その状況がやって来た。
前回注目した10月の米雇用統計は、失業率が9月比0.1%改善され6.0%になったばかりでなく、注目の非農業部門の雇用者数が前月から12万6000人増えるという予想以上のものとなった。おまけに8、9月分の数値も修正され8月は3万5000人増、9月は12万5000人増となった。修正前はそれぞれ9万3000人「減」、5万7000人増だった。
もともと“ブレ”の大きなデータとされるのだが、8月の約9万人減少から3万以上の増加への振れ方は、さすがに!?である。特に9月の当初発表値の5万7000人増は、懸念されていた雇用面でもついに回復が始まったとして発表当日の10月3日に株は買われ、逆に金市場では例の前日比13.7ドルもの暴落に見舞われるきっかけになったデータでもある。したがって今回が注目されたのだが、発表直後のドルとNY株はセオリーどおり買われたものの、勢いは続かず結果的にはさしたる反応は見せなかった。むしろダウ30種などは前日比50ドルほど下げることとなった。データ発表を受けてドルと株が買われる中、前日比4ドル以上安くなっていた金は、結局2.7ドル高で取引を終えている。そしてこの日を境に金市場の地合は変わった。
予想を超えた好材料に金融市場が反応を示さない背景は、前回配信号で「7−9月期GDP速報値+7.2%」を例に取り上げた。今回のブッシュ政権が待ちに待った雇用関連データの好転も、株価を見る限りすでに「織り込み済み」として消化されていることを示している。
繰り返しになるが、春以降の株高、景気回復が通貨供給の増加という金融緩和(「金融政策」)と減税と国防支出増加という「財政政策」、さらにドル安誘導という「為替政策」が功を奏したものだが、それ以上のものを求める市場の状態をどう評価すればいいのか、今のNY市場を見ていると金融市場全体にそうした戸惑いが感じられるのである。好データ発表に対し、むしろ売られる株やドルの状況は“市場センチメント(投資家心理)の分裂”を筆者にはイメージさせる。その“分裂したセンチメント”が、そのまま金市場に反映され金市場は活況を呈している。もちろん再び戦争状態に戻りつつあるかに見えるイラク情勢も影を落としているのは否めない。ただ、それにしても今日の泥沼化は外から見ている身にとって、いくつかあったシナリオのひとつであり、その意味では意外感はないのも確かである。
市場が見ているのは、ある面でこうしたいわば“無理のある状態”に対する懸念ではないかと思われる。
欧州サイドの反対を振り切って出て行ったイラクは、単独行動に無理があったし、“解放軍”という自らの位置付けにも無理があった。原油増産で復興資金を賄うというプラン、また、機械化部隊の少数配備で足りるというプランにも無理があった。景気回復と株高にしても、政府と個人(家計)が負債(借金)を積み増すかたちで成し遂げられてきたものともいえ、今後も同様なことが可能とすることに無理がある。過去何度も取り上げたように政策が 限界に近づいているからだ。結果論でもあるが、閉塞感は否めない。
先行きが見えなくなった途端に株価の足取りが止まってしまったとの解釈は、行き過ぎであろうか。
いずれにしてもこうした状況下、レンジ相場を続けてきた金市場に新たな動きが出てきた。
400ドルを前にしてかなりの売りものは既に出ている。わずか数ドルが重いのもそのためだ。400ドルは心理的にも大きな抵抗ラインであるため、押し返しの圧力も強いのである。ただ、内部要因からは、400ドルを権利行使価格(ストライク・プライス)とするオプション取引とりわけコール・オプションにからむ取引が重量換算にして数十トン規模であるとされ、大台突破に際し値動きを加速させる可能性がある。400ドルで金を買える権利(コール)を売っている向きは、行使価格を突破されると損失が膨らむため、損失を防いだり損失拡大を抑えるためにヘッジのための買い注文を入れるのが常であるからだ。その買い注文が、値動きを荒くするのである。よもや400ドルは超えまいとの判断の下、取引を行ってきたが、その水準に来てしまった。
今晩のNY市場を含め、月末から12月初旬にかけて、400ドルの攻防戦となりそうだ。価格の如何を問わず、その段階で年内の高値示現となるので=はないかと思うのだが、いかが相成るか。
(11月14日記)
金融・貴金属アナリスト 亀井幸一郎
※本レポートは執筆者の個人的な見解を述べたものであり、実際の投資にあたってはお客様ご自身にてリスクをご判断ください。
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