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11月11日(ブルームバーグ):投資信託をめぐる最近の不祥事をきっかけに、投信保有者の間に、迷える子羊のようなある固定観念がよみがえった。ここ数カ月間に明るみに出た投信不正取引を知った無知な投資家が、資金を一斉に引き揚げるだろうという有識者が指摘するシナリオだ。
米国の大衆資本家層は今なお、そうした行動に出る可能性はある。ここ数カ月の投信不祥事に関する報道は十分に衝撃的だったからだ。パトナム・インベストメンツなど米当局が捜査のメスを入れている特定の投信会社に対しては、投資家は我慢にも限界があることを見せつけた。パトナムの10日の発表によると、同社の運用資産は11月初めから7日間で140億ドル(約1兆5200億円)減少し2630億ドルに落ち込んだ。
ただ現段階では、投信業界全体に資金引き揚げの動きが広がっているわけではない。身動きしない方が賢明かもしれないのだ。大方の投信購入者は長期運用で考えており、これは米証券業界の取引慣行とは相反する。長時間、物も言わず身じろぎもしなければ、我慢して賢明な態度をとろうとしているのか、眠っているだけなのか判別し難い。
米投資信託協会(ICI)の調査によると、投信保有者の75%は、1年間に解約を通じた保有資産の見直しを行わないという。
待ちの姿勢
今回の不祥事のおかげで、投信を頻繁に売買する投資家の横顔が見えてきた。ヘッジファンドや裁定取引業者に加えて、あろうことか、投信会社自身までもが手っ取り早くカネをもうけようとしている。
だがその一方で、長期投資に専念する大多数の投資家は、短気な行動を避け、最高の利益を見極めようと待ちの姿勢だ。結局のところ、投信を見境なく投げ売りすれば、税金や取引手数料がかかるし、慎重に検討した投資計画が台無しとなって面倒なことになりかねない。
株式相場は、投信不祥事が次々と明るみに出ているにもかかわらず、上昇している。米ニューヨーク州のエリオット・スピッツァー司法長官が投信不正取引問題で初めて告発した9月3日以降、先週末までのS&P500種株価指数の上昇率は年率18%、ナスダック(店頭市場)総合株価指数は同42%と堅調だ。
許容度
分別ある投資家は、最近の情勢を嘆きつつも、株式相場の見通しには強気姿勢を維持している。米投資顧問会社U.S.トラスト・オブ・ニューヨークがまとめた最新調査は、「米国の富裕層市民は昨年よりも、経済や金融の問題に関して幅広い範囲にわたって懸念を強めている。米企業や金融界の最近の不祥事は今後も大きな影響を与え続けるだろう」と指摘。そのうえで、「不安は高まっているが、富裕層は米国株式相場の先行きにより楽観的だ」と分析している。
投資家は混乱を招きかねない事件が起こると、すぐに投信を売ってしまって、動揺し過ぎだと言われる。逆に売らなければ、リスクを理解出来ない鈍感さを露呈してしまう。
投信業界の評判がひどく傷ついたからといって、やみくもに売りに動かされるほど投資家は愚かではない。不祥事を無視しているということでもない。むしろ投資家は、注意深く目を見張り、投信の管理や規制、倫理の在り方が実質的に改善するのを待ち望んでいるのだろう。
改善が表れてこなければ、どうなるのだろうか。投資家はまだ、投信を見放していないけれど、それは心変わりしないことを保証するものではない。(チェット・カリアー)
(カリアー氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
Last Updated: November 12, 2003 02:27 EST
http://quote.bloomberg.com/apps/news?pid=80000003&sid=aF6Q71XXSmMk&refer=top_kaigai