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Re:コア・コンピタンスとコンピテンシー
http://www.asyura2.com/0311/hasan31/msg/533.html
投稿者 如往 日時 2003 年 11 月 11 日 01:58:49:yYpAQC0AqSUqI


 houさん、はじめまして、こんにちは。 これは、【コア・コンピタンスとコンピテンシーhttp://www.asyura2.com/0311/hasan31/msg/434.html投稿者 hou 日時 2003 年 11 月 02 日 11:07:32:HWYlsG4gs5FRk】にたいするレスです。


 >資金に流動性があれば、企業が撤退した分野を開拓する人が出てくるが、銀行の与信能力が土地だけとか、リスクは「いや」という資金ばかりでは何にも動かない、投資にはリスクがつき物だからこそ、今求められているのは、銀行の慎重な与信ではなく、大胆なリスク資金を誰がだすのか?という問題にぶち当たっていると思う。

 houさんの概括を大筋で首肯したく考えますが、標題の「コア・コンピタンスとコンピテンシー」に照合して日頃感じている問題について少し述べてみたいと思います。

 先ず、「コア・コンピタンスとコンピテンシー」は特にここ5、6年程前から、企業経営の要諦として喧伝されるようになりましたが、果たしてその後日本の経営の現場では広汎に称揚され、また十分に活用されているでしょうか。私は悲観的な観方をしています。
 バブルが弾ける少し前(5、6年)から金融業はじめ商社の中堅社員にたいしMBA修得やそのための米国留学が奨励され、私の友人にも多くの対象者を生みました。彼等が学んできたことは、経営学のトレンドでもあった「コア・コンピタンスとコンピテンシー」すなわち経営組成の析出法と構成法であったはずなのですが、帰国後の社内にはバブル景気が蔓延し土地の含み資産をたよりにする与信管理が相変わらず主流であったり、企業力(本業の)にたいする投資環境の整備・形成といった問題は脇に置かれ、彼等の活躍の場は新規事業のネタ探し等のごく僅かな分野に封じ込められ、まさに彼等のコンピテンシーは発揮されない状態でした。

 経営組成の析出法まではそれを受け容れる土壌は当時の経営幹部の関心事としてあったと推測できますが、それをコンバインして構成していくことまでは想像力に中に収まっていなかったのではないでしょうか。それほどに、経営幹部や幹部候補の間では、事業が実際に成立・継続するかどうかを精査するFeasibility study(計画の実行可能性の研究)といった観点の重要性にたいする認識が希薄であったと言えましょう。そのために、自分が学んできたことが活かせるかどうか不明な社内事情に業をにやした優秀なMBA修得者はやがてその多くが外資系企業やコンサルタント会社に転身していくとになります。そして、この状態は今現在も続いています。
 遺憾ながら日本では、戦後もソニーやホンダ等の一部の企業を除けば官製需要以外の領域でのFeasibility studyとImplementation(実施)に連関した経験は貧弱なものです。ですから、houさんの「大胆なリスク資金を誰がだすのか?という問題」も、先ずは資金提供(融資)側自体がFeasibility studyの修練を基にリスク・ヘッジをとっていく態勢を構築していかないかぎり解決の糸口を見出せないのではないかと思っています。勿論、事業者側にとってもより多くの社員がFeasibility studyの経験を重ねていく企業風土の涵養が喫緊の課題であることに変わりありません。

 以上は取り分け企業力分析や組織開発を専門分野とする経営コンサルタント達からは教科書的な解説と一笑に付されかねないことですが、少なくとも日本のクライアントとの折衝では意識の差異を感じるものとして、またクライアントにたいする苛立ちの表明として彼等とは共感でき得るのではないでしょうか。しかし、日本の企業経営にとってFeasibility studyにたいする認識と経験は、根源的な改革ほどの意味を持つものであると確信していますが、おそらく2世代(20年)ほどの時間とコストを覚悟しないと成果を生むことはできないと推量しています。つまり、Feasibility studyにたいする不理解者が退場するための時間と支持者の教化(中学時からの経済・経営学分野の基礎教育)というコストが不可欠だからです。
 何れにしても、それまでにどのくらいの企業が堅調に維持されるかどうか心配な事ではあります。 

 また、お会いしましょう。

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