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11月 5日(ブルームバーグ):経済産業省は5日、米国の海外鉄鋼製品に対する緊急輸入制限措置(セーフガード)について、世界貿易機関(WTO)が違法と最終認定しても米国が措置を撤回しない場合、米国からの鉄鋼製品などに対し、上乗せ関税を賦課する「対抗措置」を年内に発動する方針を固めた。同省幹部が匿名を条件にブルームバーグ・ニュースに明らかにした。
欧州連合(EU)も、米国を訪問中の欧州委員会のラミー委員(通商担当)が4日、米国が同措置を止めない場合、12月に第1弾の報復措置として、20億ドル以上の米国からの輸入製品に対し、上乗せ関税を課す意向を示している。ラミー委員は会見で、これについて「極めて単純なことで、WTOのルールに従うことだ」と述べている。
WTOの紛争処理委員会(パネル)はすでに今年7月、米国が02年3月に発動した鉄鋼製品に対するセーフガードは協定上、違法と認定。これを不服とした米国は8月に「最高裁」に当たる上級委に提訴している。同委は11月10日ごろに最終結論を出す見通し。これまでのセーフガードをめぐる紛争では、パネルの認定が上級委員会で覆るケースはほとんどなく、米国側が敗訴する可能性は高い。
上級委の結論は12月1日に予定されているWTOの紛争処理委員会に報告される予定。日本は、それまでの間に米国が同措置の撤回を表明しなければ、WTOに通報したうえで、年内にも対抗措置を打つ方針。通報してから30日経過した時点で発動が可能となる。
日本は米セーフガードに対し、02年5月に総額約1億2343万ドル、日本円で149億円(当時1ドル=120.95円で計算)の対抗措置をWTOに通報し、その権利を現在も留保している。このうち違法が明白な約488万ドル、約6億円については、米国から日本に輸入されている鉄鋼製品に対して100%関税を賦課する内容となっている。これはWTOの裁定を待たずに権利行使できたが、日本は行使を留保している。
残りの143億円(1ドル=120.95円計算)については、10日の上級委で日本が勝訴した場合の対抗措置の対象金額で、税率や対象品目は確定してない。ただ米国が鉄鋼製品で適用除外措置を行っている部分を勘案するため、対象金額の総額は減少する見通しだ。
WTO重視
日本が対抗措置を取った場合、これまでの極めて良好な日米関係に傷が付く可能性がある。一方、米国は、セーフガードを撤回してしまうと、04年秋の大統領選挙を控えて支持率が低下しているブッシュ政権は、鉄鋼業界からの票が得られなくなる可能性もある。ただ米国内でも同措置の継続を求める鉄鋼業界と措置の廃止を求める米国ユーザーとが混在しており、上級委の決定を受け、大統領の政治決断が大きな焦点となる。
米国鉄鋼労組は9月に10万人の署名を集め、同措置の継続をブッシュ政権に求めた。嘆願書を受け取ったアルドナス米商務次官は「大統領は多くのぶつかる利害を調和させる必要がある」と述べる一方で、「同措置で実行されていない部分がまだある」と述べている。
先の経産省幹部によると、日本の対抗措置の方針についてはすでに中川昭一経済産業相まで上がっている。イラク戦争では、日本は米国支持をいち早く宣言し、野党からは「米国追従」との批判を受けたが、首相は鉄鋼セーフガード問題では「WTO体制重視」の判断を迫られる。
仮に日本が、ブッシュ大統領に配慮して対抗措置を行使しなければ、WTO体制の否定につながりかねない、同幹部は米国が撤回しない場合、ルールに沿って対抗措置を行使せざるを得ないと述べる。また同様の措置を発動している中国に対しても撤回を求めにくくなる。経済界からも同省に発動の要請が来ているという。
10月末に来日したエバンズ米商務長官は中川昭一経済産業相と会談し、上級委で結論が出た後、話し合いをすることで一致している。ただそこで、どのような打開策があるかは不明だ。米側が同措置を撤回すれば、対抗措置は発動しない。
米国に対しパネルが7月にWTO違反を認定した論点は、1)薄板、ブリキ、ステンレス棒鋼などの品目の輸入の増加に対する事実認定が不適切、2)輸入増加と国内産業の受けた損害との因果関係の立証が不十分、3)NAFTA(北米自由貿易協定)、自由貿易協定(FTA)締結国であるカナダ、メキシコ、イスラエルなどを措置の対象から除外した−−など。経産省通商機構部によると日本など申立国の主張は、「全面的」に受け入れられたとしている。
Last Updated: November 5, 2003 04:22 EST
http://quote.bloomberg.com/apps/news?pid=80000002&sid=aVQWZPtanCNQ&refer=topj