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218号 (2003年11月4日号)
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《増田俊男が相場を斬る》 月刊「力の意志」に連載中!
円高はアメリカ経済の保険
9月1日、スノー米財務長官が訪日し、日本政府の為替介入にブレーキをかけ、事実上円高に誘導したが、これは来年の米景気に対する保険である。米国の景気は、本年第一四半期1.4%、第二四半期3.3%、第三四半期(7−9月)は7.2%と順調に伸びている。今回の第三四半期の高い成長率に貢献したのは米GDPの7割を占める消費の6.6%の伸びと、2000年以来初めて2桁(11.1%)となった設備投資である。
ファニーメイ(住宅債券公社)に対して粉飾決算容疑で捜査を入れる等して住宅バブル鎮圧をはかったが効果はなく今期も20.4%増になってしまった。利下げによる新築住宅振興策は、家具類や電化製品など住宅関連商品の消費を刺激する効果があり不況脱出時には格好のカンフル剤であるが、住宅は伸び始めると加熱する傾向がある。今期の2桁伸びは来年の金利高を想定した駆け込み需要と考えられる。
このまま消費が伸びてゆけば2004年の持続的好況は確実になるのだが、今は住宅産業バブル崩壊が何時起きても不思議は無い状況にある。
今期の異常なほどの消費増は7月に教育減税で児童一人当たり400ドルの小切手を配ったこと、低金利による住宅ローンの借り換えで不労所得(金利差)が入ったこと、株価上昇の三拍子が集中して起こったからである。もし今後住宅バブル崩壊がハードランディングになると、せっかく順調に伸びている景気にブレーキがかかる恐れが出て来る。現在続いている旺盛な設備投資により来年の鉱工業生産は増加するが、問題は消費が増産に追いつく保証はないことである。
もし今年のクリスマス商戦が昨年比5%以下だと、間違いなく2004年は当初より需給のミスマッチになる。今後円高と日本の内需拡大が持続すれば、対日輸出は伸び続けるから米企業業績は好調となり、さらに株価も上がり、GDP にも大きく貢献するので、消費を押し上げることになり、前述の需給ミスマッチリスクを和らげるだろう。このようにアメリカの円高誘導は来年に予想される米国の需給ミスマッチ回避のために仕組まれた巧妙な米国発の対日マネー戦略である。
急激な円高・株高
今期の米成長率(7.2%)は実に19年ぶりの高成長であったが、住宅の駆け込み需要が終わると消費が急激に落ち込む可能性がある。次期の第四四半期は年末の消費増期でもあるため、さほどのリスクは無いが、2004年の第一四半期はかなりショッキングな消費減の数字が出ると思う。
従ってアメリカはこうした来年早々の消費の落ち込みを読みながら、リスクヘッジとしての更なる円高圧力を掛けてくる。9月のG7以来円高が続いているが、クリスマス前後から第二の円高圧力が掛かるため年内105円から100円に向かうことになるだろう。来年は1月の消費指数の予想が出る1月末辺りから第三の円高圧力が掛かり、100円から95円まで上がるのではないか。ブッシュ政権は来年の選挙を考慮に入れ、夏から秋にかけて持続的好況を目指すので、日本経済はそうした米国経済の目標に整合した動きになる。
2003年末までは円高(105円)、株高(12000円以上)。2004年初は急激な円高(100−95円)、一時株安(11500円前後)だが月内に回復(12000円以上)し、4月から若干の円安(110−115円)で、急激な株高(15000円以上)になる。7月から年末にかけては若干円安(120円前後)、持続的株高でニッケイ2万円突破、3万円を目指す。米国が大中東戦争などレールをはずさなければ私の予想は当たるだろう。
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発信者 : 増田俊男
(時事評論家、国際金融スペシャリスト)
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