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ドル暴落で日本経済はアルゼンチン化する
米ドル債券は紙屑化、ユーロ建て債券にシフトせよ(株式日記)
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu56.htm
2003年10月25日 土曜日
◆タイトル:アルゼンチンと日本の比較 山本尚利http://www.melma.com/mag/27/m00067527/a00000048.html
1. 財政破綻国家アルゼンチンに学ぶ
2003年10月19日付け朝日新聞にアルゼンチンの特集記事が掲載され ています。読めば読むほど、日本とあまりに類似しているので背筋が寒くなる思いです。アルゼンチンは、世界トップレベルの農業国で、 20世紀半ばまで、30年間も経済成長率が平均6%を記録したそうです。そして国民一人当たりのGDPは4位から7位をつけていたそうです。 つまりアルゼンチンは押しも押されぬ南米一の先進国に成長したわけです。
ところが1946年に誕生したペロン政権が大衆迎合的なバラマキ 政治を続け、90年代末ついに国家財政が破綻したのです。99年から4 年間はGDP成長率がマイナスとなり、2002年にはハイパーインフレが 起き、失業率が21.5%に達したそうです。アルゼンチンのたどった軌跡、すなわち(1)国家の成長産業勃興、(2)経済の高成長、 (3)成功体験、(4)傲慢、(5)転落、(6)崩壊という国家の栄枯盛衰パターンが日本と非常に似ています。
日本は、現在(5) の転落の段階に到達しています。さて、同日付けの日本経済新聞によ れば、副島隆彦著「預金封鎖」(祥伝社)がベストセラーだそうです。 筆者の老母の入居している老人ケアハウスでもこの本が引っ張りダコ となっています。太平洋戦争の敗戦を経験したお年寄りは、人生の晩 年を迎えて敗戦後の悪夢を蘇らせています。
老母は戦前のボロボロ株 券をまだ保管しています。現在価値で1千万円相当の株券が、敗戦時、一瞬で紙くずと化したのです。 日本のお年寄りは、(6)段階の「日本崩壊」が迫り来るのを予感しているのでしょうか。 アルゼンチンと違って天然資源の乏しい日本は、技術力によって戦後の焼け跡から見事に復興し、GDP規模が世界第二位の経済大国に成長 しました。日本人はたくましい復興パワーを持っていることはすでに実証すみです。だから、近未来、日本が(6)の崩壊に達しても、ガ ラガラポンでマージャンパイを積みなおすように、また復活するはずです。ただし、それは長期的に見た場合の話ですが・・・。
すなわち 、2025年頃の日本は再び元気になっているでしょう。ただ、アルゼン チンのように、一度、国家破綻に近い状況が出現する可能性が大です。 しかもその時期が迫っていると言えます。 さて、ヒトは失敗すると「一から出直す」ことによって、再び勝機 が訪れる可能性が高いことはよく知られた話です。だから日本も「一 から出直す」必要があります。その必須条件とは「創造的破壊」です。 明治維新や、戦後の平和憲法国家体制のような大変革が必要です。 ただし、創造的破壊は計り知れない大きな犠牲を伴うのです。
2. アルゼンチンと日本の差
さて、上記のように、アルゼンチンの国家破綻の軌跡は、日本の軌 跡と酷似しているのは事実ですが、唯一、日本がアルゼンチンと異なる点があります。それは、日本には3兆ドル(350兆円)にのぼるドルお よびドル債権が存在する点です。日本政府は700兆円もの対国民への円債務を持っていますが、対外ドル債務を差し引いてなお、1兆ドル以 上の純債権保有国です。つまり世界一のドル純債権保有国です。この点はアルゼンチンと根本から違います。
米国というドル基軸国家が破 綻しない限り、日本の保有するドルが紙くずとなることはありません。 この意味で、日米はドルに関して運命共同体の関係にあります。 この不況にもかかわらず、円高が続く根本原因は、日本の円がドルを 担保に取っているからです。対外債務超過国であるアルゼンチンの通 貨ペソとは根本的に異なります。
一方、米国は9兆ドルの対外債務と、7兆ドルの対外債権を有していま す。この対外債権の中にはアルゼンチンに対する債権も含まれており、米国の発展途上国向けの対外ドル債権のかなりが実質的に焦げ付いて いるわけです。
さて日本政府がアルゼンチン政府と同様の失政を繰り 返してもなお、国家破綻に至らないのはドル債権を保有しているおか げでしょう。過去の日本の輸出産業の残した遺産のおかげで破産を免 れています。また、日本の自動車メーカーのように、依然、日本のド ル蓄積に貢献している強力産業が存在している点も、アルゼンチンと は異なります。
3. 日本はドル長者にアグラをかいている。
日本政府のエリートが700兆円の国家負債があるにもかかわらず、 意外にノンビリしている理由は、日本は上記のようにドル長者だからです。日本の指導層は、ドル通貨の米国が存在するかぎり、日本の円 は安泰だと信じて疑わないのでしょう。 しかしながら、日本はドル長者であるかぎり、国家の存立は安泰な のでしょうか。とんでもない。そんな虫のよい話はありません。
日本が下手にドルを持っている限り、実体経済とは乖離した円高が 続き、結果的に日本人の高コストが維持され、国際競争力が削がれる 一方となります。 この日本の状況とはガンが進行しているのに、自覚症状が少ない状 態に等しい。だから日本では、アルゼンチンほど、国民の間に切羽詰 った危機感が生まれないのです。 しかしながら、日本国民の実質的生活環境は、アルゼンチン国民と同 じように荒廃するでしょう。
ハイパーインフレはアルゼンチンのよう に容易には起きないでしょうが、見かけ上の円高のために日本人の国際競争力が失われるので国内失業率は高くなる。アルゼンチン同様、 仕事のない若者は急増します。国民は希望を持てず、無気力が続きます。生かさず殺さずの閉塞状況が続くでしょう。日本社会には犯罪が 急増し、モラルが荒廃していきます。
国民の心の荒廃が創造的破壊へ のパワーに結びつけば、日本は復活できます。それは、日本のドルが底をついた時機となるでしょう。さもなければ、 政権交代が起きた時機かもしれません。ところでアルゼンチンでは若者の乞食が大量に生まれているそうです。 一方、日本の若者は、過去に蓄積した日本の資産で扶養されているので、乞食にならずにすんでいます。ここにも、日本で創造的破壊のパ ワーが生まれにくい原因を作っています。
さてアルゼンチンはスペイ ン語国家なので、スペイン語国への人口流出が止まらないそうです。 この現象は、かつての英国でも起きました。ところが、不幸にも日本 語国家は日本以外にない。この点はアルゼンチンや英国より不利です。 もし、太平洋戦争で日本が勝利していれば、アジアの大半が日本語国 家となっており、日本人の活躍領域がアジア全域に広がっていたでし ょうが、残念でなりません。
戦前の日本人は、大東亜共栄圏構想を持 っていたのは事実です。国際的日本人の一部が華僑のように「和僑」となって、アジア全域にネットワークを張れば、日本の若者乞食が大 量発生せずに済みます。なぜなら海外で実績を積んだ「和僑」は日本人に新たに雇用をもたらす担い手となるからです。これは、アジア各 国の活況をみれば明らかです。
現在のアジア各国で雇用創出しているアジア人の多くは、中国を棄て た華僑です。この例から、未来の日本の雇用を創出できるのも「和僑」 です。ちなみに日本の政治家、官僚、地方自治体も税金の消費者(タッ クスイーター)であって、実質的な雇用創出力はゼロです。この指導層 に雇用創出を期待しても無理です。最後につけくわえれば、期待され る日本企業は、強い企業ほど真っ先に日本を出て行きます。そうしな いと、厳しい国際競争環境では企業自体の存続ができないのです。
(私のコメント)
昨日のテレビ東京のワールドビジネスサテライトにコロンビア大学のスティグリッツ教授が出ていましたが、アメリカの金融財政状況はかなりやばい状況らしい。双子の赤字問題がいつまで表面化せずに続けられるのか、アメリカの財政は極めて短期間に巨額の赤字を出すようになった。景気対策の名の下に必要以上の減税が行われ、戦争と言う財政の大盤振る舞いが続いている。
こんなことが長続き出来る訳がない。アメリカが絶頂期にあった1960年代ですら、ベトナム戦争でバターも大砲もと言う大盤振る舞いが、ドル暴落のきっかけとなった。いずれ第二のニクソン・ショックが日本を始め世界に衝撃を与えるだろう。福井日銀総裁がドルを買い支えているうちに、出来る人は外債をドルからユーロ債に切り替えておいたほうが良いだろう。
90年代にアメリカを見習えとか、ビックバンだとか言っていた東大の伊藤教授や慶應の榊原教授が出ていましたが、今は変節してスティグリッツ教授に同調している。彼らは世渡り上手な太鼓もちに過ぎず、彼らの書いた本は何の価値もない。スティグリッツ教授が書いた本は世界的ベストセラーをいまだに続けているのと大きな違いだ。
アメリカもやがてはアルゼンチンのようになり、アメリカもラテンアメリカ化する。アメリカ国債の利払いも滞るようになり、債務不履行も避けられないだろう。ところがアメリカはドルと言う紙切れを渡すだけでいい。この特権はアメリカだけが持っている。だからアメリカは世界中から金を借りて使いまくり、しかも借りた金は返さなくていいのだ。
福井日銀総裁は今年だけですでに11兆円もの金をアメリカに貸し付けている。アメリカは借りた金で日本の株を買ったり日本の自動車やテレビを買ったりしている。それで日本はそれだけ豊かになったのだろうか、むしろ貧しくなっている。円がいくら高くなったところでアメリカから買うものは食糧や飛行機などの限られたものでしかない。アメ車など誰も買おうとしない。
日本の巨額な赤字財政を続けられるのはなぜだろうか。日本の巨額な預貯金と、巨額なドル建て債券が、国家の財政赤字の穴埋めに使われている。だからアルゼンチンのように円は暴落することなく、かえって高くなる一方だ。日本の国際収支が黒字の間は財政も破綻することはない。しかしアメリカが経済破綻してドルが大暴落した場合日本経済もピンチがやってくる。
中国も対米黒字国ですが日本とは違ってユーロへのシフトは確実に進んでいる。対米黒字をユーロでヘッジしておけばドルの暴落も回避できますが、日本の政府・日銀はアメリカの脅しによってそんなことは出来ない。ならばせめて民間だけでもドルからユーロへシフトしておくべきだ。アメリカはそれを警戒して日本の金融機関をアメリカの資本で買収しようとしている。
小泉首相や竹中金融大臣が日本の銀行や生保をアメリカに売り渡そうとするのも、日本の民間資金のユーロシフトを恐れているからだ。最終的には最大の金融機関である郵貯も民営化してアメリカへ売られるのだろう。しかしそんなことをしてもその前にアメリカは破綻するだろう。
山本氏は日本の若者はアジアへ進出してネットワークを築けと提案しています。円がこれだけ強くなれば、日本の若者に資金を与えて海外事業を起こすことに使えば一石二鳥の政策ですが、日本の若者は引きこもりがちで海外勤務を嫌がるようになった。NGOや海外青年協力事業などをもっと拡充してやる気のある若者に海外進出の機会を与えるべきだ。