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パート・派遣・請負、自分の雇用形態知って――保険適用など異なる(働き方いろいろ)
2001/09/25 日本経済新聞 「パートでも有給休暇が使えるのか」「派遣と業務請負はどう異なるのか」。パートや派遣、契約、請負など正社員以外の働き方が広がるにつれ、その違いをあいまいにする企業や働く人が目立ち始めている。特に個人が自分の雇用形態を把握していないと、労働者を守る制度の適用範囲を見落とし不利益を被りかねない。どんな権利と義務があるのかを整理した。
☆派遣と業務請負 「派遣社員のつもりでいたのに、いつのまにか個人事業主になっていた」。こう嘆くのは、東京都内の情報通信会社でOA機器操作の派遣社員として働いていたA子さん(28)だ。
昨秋、人材派遣会社の担当者から契約更新時に、「次回の契約は派遣から業務請負に変えます。仕事の内容は変わらないが、手取り額は増えます」と告げられ、とりあえず受け入れた。
だが、実際に業務請負になってみると、派遣時代に請求できた残業代や、交通費が請求できなくなった。
通常の派遣では、派遣会社と雇用契約を結び派遣社員となって派遣先企業で働くが、業務請負は仕事ごとに発注先と請負契約を結ぶ。このため、働く個人は労働者ではなく個人事業主扱いとなる。つまり、経費を会社に請求できた社員から自費で賄う自営業者扱いになったのだ。A子さんはこうした細かい点での説明は契約時にされていなかったという。
「派遣から業務請負への切り替えは企業には有利だが、個人にはトラブルにつながりがち」。派遣相談を手掛ける労組、東京ユニオンの関根秀一郎書記長はこう注意を喚起する。
派遣社員の場合、労働基準法など雇用されている個人を保護する法律の対象となる。しかし、業務請負では、そうした法律の対象外となり、労災や健康保険なども適用されない。また、請負なら派遣社員に必要な保険料負担がなくなるので、関心を持つ派遣会社も少なくない。
本来、派遣と請負は異なる働き方だ。だが、両者の区別があいまいなケースも多い。実際には業務請負でありながら派遣先の指揮命令を受け、派遣社員同様の働きかたをするなど混乱も生じている。
☆パートと正社員 「パートでも雇用保険に入れ、有給休暇を取れるなんて、思ってもみなかった」。こう語るのは、子育てに余裕ができ、パート勤めを開始したB子さん(38)だ。
B子さんのように、パートが正社員と同じように、労働基準法や最低賃金法など労働者を保護する法律が適用されることを知らない人が少なくない。厚生労働省の外郭団体、二十一世紀職業財団の短時間・在宅労働業務部長の芦川久氏も「本来、保障されている権利を知らずによく相談を持ちかけられる」という。
これは企業側にも責任がある。旧労働省の調査(一九九五年)では、パートに有給休暇を与えている事業所は五六%にとどまり、企業側の認識も低い。芦川氏は「パートを腰掛け的な働き方ととらえる傾向がまだ根強い」と指摘する。
ただ実際、こうした法律を適用するにはハードルもある。パートは、フルタイムに近い働き方もあれば、一日に数時間程度の短時間勤務もあり、働き方は様々。働き方に応じて、労働者保護法の適用範囲も変わってしまうためだ。
例えば、雇用保険を受けるには週二十時間以上の勤務が必要となる。これとは別に健康保険に加入するには正社員の四分の三以上の労働時間が求められる。両者の条件が一律ではないため、パートの中には働き方により雇用保険に入れるものの、健康保険には加入できないケースも出てくる。
では適用される権利を把握するにはどうしたらよいのか。全国一般東京一般労働組合の広松栄香さんは「雇い入れ通知書など文面での確認を徹底するのは基本。企業に義務づけられている」という。
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ただ、現実には派遣やパートといった非正規雇用の場合、個人も仕事の確保を優先しがち。冒頭のA子さんも業務請負契約に疑問を持ちつつも契約打ち切りを恐れ、質問を切り出せなかった。パートの契約時でも、働く側から雇い入れ通知書の発行を言い出せない現状もある。
とはいえ、見過ごせば、働く側が不利益になる。厚労省の短時間・在宅労働課長補佐の源河真規子さんは「個人が自分の働き方を把握しておくことで、不法な解雇などトラブルが起きた時に、素早く相談機関を訪ねたりできる」と話す。勇気を持って権利確認することが第一歩となる。
パートの適正な労働条件の確保を目的に、九三年に施行された「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(パートタイム労働法)では、パートを「一週間の所定労働時間が正社員より短い労働者」と定義している。パートとアルバイトは違うと誤解されがちだが、この定義のもとでは同等であり、共にパートタイム労働法が適用される。
パートの他にも、派遣社員には改正労働者派遣法(九九年施行)で保護規定が盛り込まれている。これらに対し、契約社員と業務請負については雇用形態に即した満足な法律がない。特に、契約社員は、個人の専門技能や雇用期間など個別事情に細かく合わせることも多く、契約形態は多岐にわたるので一層の注意が必要だ。
社会保険労務士の岸厚子さんは、混乱しがちな事例として、企業と契約して自宅で仕事をする在宅勤務をあげる。発注先の指揮命令を受けて時間給で賃金をもらうならば契約社員となり、「一つの仕事を完了するといくら」という契約であれば業務請負となる。