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10月14日(ブルームバーグ):米国の製造業の雇用が中国に移っていったことは周知の通りだ。確かに中国は雇用を手放さなさないというひどいことをしている。
米投資信託大手アライアンス・キャピタル・マネジメントの経済調査部門幹部、ジョー・カーソン氏が20カ国の製造業をまとめた調査によると、1995− 2002年に中国では計1600万人、割合にして15%の雇用が失われた。これに対し米国の雇用喪失は200万人で、その割合は11%。事実、中国の雇用減少率はほかの国(7%)の倍以上に達している。「中国の昨年の工場労働者数は1998年を下回り、1995年と比べるとさらに少ない」とカーソン氏は言う。
ではだれが中国の製造業の雇用を奪っているのか。中国は低コスト生産国としての強みがあるが、賃金が安く汚い仕事でさえ、生産性を高める機械に置き換えようとする世界的な流れは止めることができないようだ。
生産性
調査によると、全世界で製造業の雇用が1995−2002年の間に約2200万人失われたのに対し、生産量は30%膨らんだ。恐るべき生産性が国内外で大混乱を引き起こしているようだ。
世界的な進化の観点から見れば、米製造業の雇用喪失が2001年以降で260万人というのは、少なくとも政治家になる意思のない人にとってはさほど悪い話ではない。逆に、世界的な製造業の雇用減少の流れは、保護主義的な措置の経済面(政治面ではなく)での言い分を突き崩すかもしれない。米上下両院は中国製品に制裁関税をかける法案を提出中だ。しかし、割安な水準にある人民元が中国製品の価格競争力を高め、対米貿易黒字を膨らませているとの誤った見方は覆される可能性がある。
それに人民元が上昇したところで、米中間の賃金格差は解消できない。米製造業の労働者が受け取る賃金は、中国の工場労働者の平均賃金の約25倍に上る。中国が、雇用を奪っているとされる国に比べて雇用喪失が大きいことも、雇用を奪う国という中国への見方を見直すきっかけになるかもしれない。
農業との比較
金融サービス最大手、米シティグループのシニアエコノミスト、スティーブ・ウィーティング氏は、米製造業労働者の行方をめぐる不安は、20世紀初頭の農業に通じるものがあると指摘する。同氏は「製造業は雇用者数がピークに達した1979年に比べ実質生産量は77%膨らみ、雇用者数は22%減少した」と語る。同様に農業は実質生産量が96%増加し、雇用は31%減った。
生産量と収入は等しくなる。従って「製造業や農業で雇用が減少した過去 25年間に生産量が拡大したことで、何かが得られた」と同氏は指摘する。食品や消費財の供給増大によって、1人当たり所得の伸びより物価上昇率は低く抑えられ、消費者は余った所得をほかのもの、つまり従来は存在しなかったサービスに回せるようになった。「1979年以降、製造業と農業はそれぞれ22%、33%の雇用が失われたが、米全体の雇用者数は41%拡大した」と同氏は言う。
恐らくいつかは、製造業の生産過程で人が余る日が到来するだろう。労働者にとってはつらいことだが、生産性向上は人類の進むべき道だ。ほかの道はさほど魅力的ではない。
「採集狩猟社会においては食物と住まいという基本的な必需品だけを提供し、完全雇用を実現していたことが研究で示されている」とウィーティング氏は語る。もちろん、食べ物と住まいに全資源を投入すれば、ほかの消費に使える「収入」はほとんど残らない。もちろん、中国製品もだ。(キャロリン・ボーム)
(ボーム氏はブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。同氏の見解は彼女自身のものです)
ニューヨーク Caroline Baum 東京 山口 裕子 Yuko Yamaguchi
Last Updated: October 15, 2003 03:21 EDT
http://quote.bloomberg.com/apps/news?pid=80000003&sid=api8JKZAqxrA&refer=top_kaigai