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2003年10月13日発行
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JMM [Japan Mail Media] No.240 Monday Edition
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http://ryumurakami.jmm.co.jp/
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▼INDEX▼
■ 『村上龍、金融経済の専門家たちに聞く』【メール編:第240回】
■ 回答者(掲載順):
□真壁昭夫 :エコノミスト
□菊地正俊 :メリルリンチ日本証券チーフ株式ストラテジスト
□岡本慎一 :生命保険会社勤務
□杉岡秋美 :生命保険会社勤務
□北野一 :三菱証券 エクィティリサーチ部チーフストラテジスト
□山崎元 :UFJ総合研究所 金融本部主任研究員 兼 企業年金研究所取締役
□津田栄 :エクゼトラスト投資顧問株式会社 顧問
■ 『編集長から(寄稿家のみなさんへ)』
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■ 先週号の『編集長から(寄稿家のみなさんへ)』
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Q:430への回答ありがとうございました。子どものための職業紹介の絵本の入
校が始まりました。4日おきに、全体の4分の1ずつ締め切りが来ます。これから
「林業」という職業項目の訂正原稿を書きます。
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■ 『村上龍、金融経済の専門家たちに聞く』【メール編:第240回目】
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====質問:村上龍============================================================
Q:431
国民年金の不払い者は全体の4割に上るそうです。普通に考えると、将来的に、現
行年金制度の破綻は不可避に思えますが、年金の問題というのは、どの程度深刻なの
でしょうか?
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※JMMで掲載された全ての意見・回答は各氏個人の意見であり、各氏所属の団体・
組織の意見・方針ではありません。
______________________________________
■ 真壁昭夫 :エコノミスト
最近、雑誌などのメディアに、年金破綻という文字が掲載されているのを見かけま
す。公的年金の制度は、わが国に限らず、世界の主要国で問題になっています。しか
し、破綻という言葉の定義にもよりますが、現在の公的年金の仕組みが直ぐに破綻し
て、年金の受給が出来なくなるわけではありません。
現在の年金制度の概要から考えます。年金の制度には、大きく分けて、賦課方式と
積み立て方式の二つの方式があります。賦課方式では、現在、私たちが払っている年
金の掛け金を集めて、そのお金を年金受給者に分ける仕組みです。一方、積み立て方
式は、例えば、私が積み立てたお金を、特定の受給年齢に達すると受け取る仕組みで
す。自分が積み立てたお金に、国が支援するお金を足して、受給者が年金を受け取る
のです。わが国の公的年金制度は、賦課方式と呼ばれる仕組みになっています。
よく考えてみると、賦課方式の年金制度は、世代間の所得移転をしていることにな
ります。働いて年金掛け金を払っている世代から、リタイアして年金生活をしている
高齢者に、国が仲介役をして、所得を移転しているのです。わが国が抱える問題は、
少子高齢化が進展することによって、年金の掛け金を払う世代が少なくなり、年金を
受け取る世代が多くなることです。そうすると、現在の掛け金と年金受給額を維持す
ることが難しくなります。有体に言うと、お金を払う人が減って、もらう人が多くな
りますから、一人当たりの年金受給額が減ることになります。これは、素人が考えて
も分かることです。
こうした状況を、破綻に向かっていると表現したのだと思います。しかし、国庫負
担が、現在でも3分の1ありますから、年金の掛け金の不払い率が上昇しても、直ぐ
に、受給額がゼロになることはありません。破綻という言葉は、少しオーバーだと思
います。
但し、少子高齢化が急速に進展することは確かですから、年金制度の改革を真剣に
考えることは必要です。昨年12月厚生労働省は、「年金改革の骨格の方向性と論点
(http://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/12/h1205-2.html) 」を発表しました。その
内容は、(1)現在3分の1の国庫負担を2分の1に引き上げる。(2)報酬比例部
分の年金掛け金の割合を、現行の給与の13.58%(労使で半分ずつ負担)を段階
的に20%まで引き上げ、それを上限とする。(3)20%の上限で徴収できる掛け
金の範囲内で、年金の受給額を決める。というものです。
年金の問題は、私たちにとってとても大きな関心事であり、非常に重要な問題です。
貯蓄広報委員会が、毎年行なっている世論調査の結果を見ても明らかです。それによ
ると、10人中8人の人が、老後の生活に不安を感じています。主な理由は、年金制
度が当てに出来ない、老後の蓄えが少ない、などが上げられているようです。国民は
公的年金制度に、大きな不安を持っているということができます。年金の給付が、直
ぐに受けられなくなるという深刻さは、それほど大きくはないにしても、国民が制度
に不安を感じているという意味では、かなり深刻と認識すべきです。
年金制度の問題は、簡単に結論が出ることではありません。年金制度には、いろい
ろな方式や考え方があります。パーフェクトという仕組みはないでしょう。それぞれ
一長一短があります。その中で、最も日本社会に適合する方式を選択することが必要
です。年金の先進国といわれるスウェーデンでも、時間をかけて国民的な議論を行なっ
て、一定の結論を出しています。わが国も、早く、国民的な議論を展開すべきです。
こうしている間にも、少子高齢化は着実に進んでいますから、結論が遅れると、それ
だけ負担が増えることになります。年金問題の議論は、とても重要だと思います。
早く、私たち国民が入っていける年金の議論を始めるべきだという点では、喫緊の
問題だと考えます。年金に関する議論を先送りする態度は、将来の負担を増加させる
という意味で、深刻と受け止めるべきです。
年金の制度はとてもわかり難いことに加えて、運用などが外からは見えないといわ
れています。出来れば政府が、公的年金制度の現状がどうなっていて、これから、ど
のような選択肢があるのか、国民に分かりやすく示して欲しいと思います。それを出
発点として、具体的な制度の問題をわかり易い方法で議論すべきです。そうでないと、
「年金の掛け金を払っても、どうせ受給は受けられない。ならば、払わなくていい」
という不払い者の数は、今後も、増加することになるでしょう。
エコノミスト:真壁昭夫
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■ 菊地正俊 :メリルリンチ日本証券チーフ株式ストラテジスト
10月10日に衆院は解散され、11月9日に向けた選挙戦がスタートしました。
民主党は「基礎年金の財源には消費税を充て、新しい年金制度を創設」をマニフェス
トに掲げました。社民党もマニフェストに、2010年から全額税方式の「基礎的く
らし保障年金」を柱とする新たな年金制度に移行することを含めました。
自民党は10日にマニフェストを正式に発表する予定とのことですが、小泉首相が
在任中の消費税引き上げを封印しているため、政府・与党は思い切った改革案を出せ
ずにいます。民主党にしても、いつどれほど消費税を引き上げるかは明らかにしてい
ません。
9月に坂口厚生労働大臣は、年金給付の伸びに合わせて現役世代の保険料を引き上
げるという現行方式を改め、厚生年金の現行保険料率(月額賃金の13.58%、労
使折半)を段階的に引き上げ20%程度に固定し、現役時代の手取り年収に対する年
金額の割合を50%以上(現行は59%)に維持する改革のたたき台を提案しました。
厚生労働省は年金改革の政府案を当初10月中に発表する予定でしたが、11月末に
先送りしました。政府・与党は衆院選前に国民負担増につながるような年金改革の議
論が盛り上がることを避けたのではと推測されました。
1985年に導入された基礎年金は全国民に共通する制度で、現在、基礎年金の給
付総額の3分の1を国庫が負担していますが、2000年に成立した改正国民年金法
で2004年までに安定した財源を確保し、国庫負担比率を2分の1へ引き上げると
の付則が盛り込まれました。国庫負担率引き上げのためには約2.7兆円(消費税の
約1%分に相当)の財源が必要になります。公的年金は5年に1度、経済変動や人口
推移に一定の仮定を置いて、長期的な保険料や年金給付支出の再計算を行います。し
かし、巨額の財政赤字に加え、将来推計人口の前提が常に楽観的すぎることが年金不
安を高めています。公的年金は現役世代が負担する保険料が年金受給世代の年金原資
になる世代間扶養の仕組みをとっているため、人口の少子高齢化から大きな打撃を受
けます。
厚生労働省は、1991年に合成特殊出生率(1人の女性が生涯に生む子供数)が
2000年に2.0まで回復すると予想していていましたが、実際の数字は1.36
でした。97年には出生率は2000年の1.38を底に2050年に1.61まで
回復すると予想していました。しかし、直近02年予想で07年のボトム1.31か
ら2050年にも1.39までしか回復しない見通しへ下方修正しました。
2003年6月の朝日新聞のアンケート調査によると、国の年金制度を信頼してい
ない人の割合は約半数にのぼり、20ー30歳代では国の年金制度を信頼していない
人が6ー7割に達しました。現行制度が維持されれば、平均的な男性会社員と専業主
婦の世帯の厚生年金の生涯負担(労使計)と受給額の比率が、1940年生まれでは
受給額が負担額の2.6倍であるのに対し、1960年生まれは0.9倍、2000
年生まれは0.6倍になるといいます。若年層が公的年金に制度不信を抱くのも致し
方ない面があります。
年金問題は世代間対立という根深い問題の反映です。高齢層は戦後の高度経済成長
を謳歌し、高い得票率で大きな政治力を発揮し、既得権を離さず、長生きのリスクを
感じながらも、年金はあまり減らされずに、相対的に豊かな生活を送っています。逆
に、若年層は日本経済の将来に不安を感じながら、政治的無関心を装い、自分独自の
生活習慣を維持しようとしています。本来なら来る衆参選挙で、若年層は投票率を上
げて、年金問題をはじめとする日本の将来に影響力を行使すべきでしょうが、実際の
行動としては期待困難な状況です。
メリルリンチ日本証券チーフ株式ストラテジスト:菊地正俊
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■ 岡本慎一 :生命保険会社勤務
日本の年金制度は、実質上「賦課方式」という方法で運営されています。賦課方式
とは、単純にいえば、現役世代が高齢者を支える仕組みです。年金が賦課方式で運営
される中、少子高齢化が進み年金財政は非常に悪化しています。「厚生労働省の資料
によると、2000年3月末時点で530兆円の債務超過となっていたと試算されて
いる」(10/9 日経新聞「やさしい経済教室」高山憲之)そうです。
なぜ公的年金制度は自分自身で将来資金を積み立てる方式(積立方式)で運営され
てこなかったのでしょうか。それは高度成長期、年金制度が拡大する時の高齢者が、
恐慌や第二次大戦をくぐり抜けた人々で、自助努力をすることができなかった人々だっ
たからです。人口増加が続く中、高い経済成長が今後も続くと思われていたことも、
寛容な賦課方式を受け入れる土壌になったのでしょう。
しかし、少子高齢化が進むにつれ、状況は変化しました。というよりも、10年位
前から、団塊の世代が定年を迎え始める頃には年金制度が維持困難になるということ
が指摘されていたのですから、高齢化が進展したから年金が危なくなったのではなく、
問題を先送りしたから必然的に苦しくなったのです。
これから年金の支給対象となっていく世代は、年金制度初期の高齢者と比べて、経
済的に恵まれていた世代といえます。もちろん、この世代の人達が猛烈に働いて高度
成長を支えてきたこと、そして同じ人達が今厳しいリストラ対象となっているという
現実を無視するわけではありませんが、世代間で大きな偏りができてしまった旧制度
の存続意義は失われつつあると思います。
年金制度を公平で維持可能なものにするために、多くの提案が出されています。賦
課方式から自助努力型の積立方式にすべきだというのもその代表例です。しかし、積
立方式に移行するためには、現役世代が自分の積み立て分と現在の高齢者の給付分を
支払う必要が出てくるとという「二重負担」の問題が発生することが知られています。
他の提案も一長一短で決め手に欠けるというのが現状です。
そして何よりも問題なのが、政治が年金問題を避けていることだと思います。現在
の年金制度は高齢者とこれから引退していく人達にとって既得権です。そして彼らの
投票数は今の若い世代よりも多いため、彼らの既得権を失う可能性のある年金改革は
政治的に先送りされているというのが現状です。
実際、2000年の年金改革法では、基礎年金の国庫負担を現在の3分の1から2
分の1に引上げることを明記していますが、小泉首相は消費税増税を否定しているた
め、新たな財源が必要になっています。この財源は2.7兆円という巨額なもので、
その一部を「公的年金等控除」を縮小することで対応する案が出ています。しかしこ
の提案すら、衆議院選挙を前に高齢者増税を避ける声に圧されています。
こうした先送りを避け、各世代にとって衡平で安定した年金制度を作っていくため
には、まず一生を通じての損得を世代毎にきちんと明示することです。若い世代には、
どれだけ「世代間のわりかん負け」が発生するかを知ってもらい、そして高齢者には、
自分の子供や孫達の負担がどれほどかを知ってもらうことが先決でしょう。そして各
政党が世代間の格差の問題をどう考えるかをはっきりと示すことです。
今までの選挙は、地域間の所得分配を大きな目的としてきましたが、今後は世代間
の所得分配が大きな争点になっていくはずです。東京大学の井堀教授は、世代間の問
題を政治に反映させるために、「年齢別の選挙区」を提案されています。実現は難し
いかもしれませんが、改革を実施するには大変魅力的な提案だと感じています。
生命保険会社勤務:岡本慎一
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■ 杉岡秋美 :生命保険会社勤務
年金制度を真面目に検討しようとすると幾つか問題に突き当たります。制度の細部
を理解するには、訓練をうけた専門家が必要なことに加えて、年金支払いのために将
来必要な金額を見積もり、現在の保険料を計算するには、10年単位の将来の長い期
間について、経済上の基礎数字の予想をしなければなりません。金利や資産の収益率
などがそれにあたりますが、これを正確に予想するのはエコノミストの手にも余りま
す。経済学風に言えば、大きな不確実性の下にあるものなのです。
経済成長率やインフレ率、これらを下に予測される金利は年金の基礎計算のために
は不可欠な数字ですが、これらはどうとでも数字が作れ、それぞれに納得性のある議
論が可能です。経済成長率は1%が3%になることはあり得、金利も1%から5%に
なることは十分あり得ます。デフレが解消して、インフレになることは一年後ならあ
り得ませんが、10年単位の将来なら無きにしもあらずということです。
もう一つ頭が痛いのは、自らの人生の抱える不確実性の問題です。特に若い世代の
被保険者にとっては、10年単位の予想で確実に言えることは、そのときの自らの年
齢ぐらいなもので、家計の経済状況・家族構成などを確実に予想できる人はまれなの
ではないでしょうか。自分が退職時に結婚しているか、あるいは離婚しているか、子
供の問題に関しては、どのような教育を望むか、独立しているかなどは正直いって、
いくら合理的に考えようとしても仕方がない問題です
重要な基礎数字には、人口動態上の死亡率や出生率もあります。これらは、経済関
係の数字と比べると、社会的・文化的な制約を受けることから安定しており、かなり
確実なことが言えます。日本の年金制度は、現役世代が退職世代を支える、賦課方式
ですから、現役世代が退職世代に対してどのくらいいるかが大きな問題になります。
常識的に言って、人口の年齢構成を変えないためには、出生率(一人の女性が生涯に
何人の子供を産むか)は、2人以上でなければならないはずです。日本の場合この出
生率は2人を大きく割り込んで、これから長期にわたって1.39人で安定する予想
です。そしてこれは、経済の予想と違ってかなり確実な予想です。社会制度や文化的
背景をもつ出生率が1.39から2へ改善することは、10年単位でもありそうもな
いという気がします。
このシンプルだが確度の高い人口動態上の予想から、年金制度が大きく変わらざる
を得ないのは、かなり確実な情勢であることは誰でも分かります。しかし、その先に
年金の議論を深めようとすると、マクロ経済、個人の事情にからむ不確実性を扱う困
難から、どうしても億劫になりがちです。ここに、年金のことは官僚や政治家に任す
しか仕方がないと考えがちになる一つの原因があります。
政治家や官僚に頼らない合理的な解決方法の一つは、個人的な自助努力(貯蓄)で
しょう。しかし、そのためにファイナンシャル・プランナーに相談しても、不確実な
要素が大きいほど、若いうちからの保険加入や貯蓄に励むことを勧められるだけです。
現実の家計調査(金融広報中央委員会)によると、金融資産を持つ家計の平均貯蓄額
は1461万円である一方、貯蓄のない世帯が2割いるとのことです。後者のような
家計に、年金崩壊に備えて自ら貯蓄を励むようにいっても、単なる絵空事か、恐怖感
をことさら煽るだけのことになるでしょう。
年金崩壊と呼ぶかどうかはともかくとして、かなりの確率で給付水準の低下を予想
しなくてはならないでしょう。老後は金銭的な心配もなく、現役時の消費水準を年金
で維持するというライフスタイルは今後、望むべくも無くなったということになりま
す。デフレ状況下で、金銭そのものでライフスタイルを守りきろうと躍起となるのは、
いたずらに恐怖をあおることになり、個人の人生の効用を高めることにはなりません。
この現実と向き合うためには、新たなライフスタイルを見つけ出すしかないのだと思
います。
経済学的には、現在の消費と将来消費を天秤にかけて貯蓄額が決定されますが、こ
れまでのライフスタイルは人生の効用を計算するときに、不確実性ゆえ老後のリスク
を必要以上に大きくマイナスにとらえ、今現在の楽しみ・喜びを不当に低く扱ってい
たのかもしれません。若い世代は、享楽的で刹那的な生き方を批判されることが多い
のですが、こう考えると、現在の消費からの効用を高く評価するという理にかなった
生き方をしているのかもしれないという気がしてきます。「人はパンのみにて生きる
にはあらず」という言葉がありますが、人生全体の効用を考えなおすに必要なのは、
これを少し加筆修正して「人は将来のパンのみのために生きるにはあらず」と言いた
いところです。
生命保険会社勤務:杉岡秋美
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■ 北野一 :三菱証券 エクィティリサーチ部チーフストラテジスト
確かに、どの程度深刻か? ということを肌で感じるのは意外に難しいですね。実
際に、今日も年金の給付は滞りなく行われているし、国民年金の不払い者がいても、
厚生年金の加入者(サラリーマン)達が、黙ってその補填をしている状況ですから、
ほころびは目立っておりません。
ただ、公的年金の財政収支は、既に相当悪化しております。厚生年金は2001年
度に、初めての赤字を経験しました。また、昨年末、財務省は、公的年金の給付費合
計から保険料、国庫負担、運用収入を差し引いた実質収支は、2003年度に3兆3
千億の赤字になると試算しておりました。その意味では、公的年金は将来的に破綻す
るというよりも、既に行き詰まっていると見ても良いでしょう。
こうしたなか、先月には、厚生労働省から年金改革案が提出されました。一方、財
務省からは対論という格好で、「年金改革についての基本的な考え方」が示されてお
ります。厚生労働省の改革案が年金給付水準の大幅な削減を避ける内容(「高齢期の
親の生活の安定を通じ、現役世代も安心して社会で能力を発揮できる」)になってい
るのに対し、財務省案は、「はじめに給付水準ありきではなく、……高齢者に生活の
最低限は支給」と給付の大幅削減を求める内容になっております。
また、国庫負担についても、厚生労働省案が「基礎年金に対する国庫負担割合の2
分の1への引き上げは、今回改正(2004年改革)で行うこととし、その道筋をつ
ける」としているのに対し、財務省案は「基礎年金国庫負担割合の2分の1への引き
上げ問題については、具体的な安定財源が確保されることが検討の大前提である」と
突き放しております。
では、安定財源とは何かといえば、すぐに思いつくのは消費税ですが、小泉首相の
在任中は消費税率を引き上げないわけですから、事実上財源の目途は立っておりませ
ん。従って、「検討の大前提」を欠く状況で、厚生労働省が期待するような「財源の
あり方も含め、十分議論を尽くし、国民の理解を得る努力」をすることすら難しい状
況です。
結局、様々な改革案が示されたものの、厚生労働省は、給付の削減に踏み込まず、
財政依存を高めたいのに対し、財務省は財政に依存する前に「現役世代の納得を得る
ため、過去の期間に対応した年金も聖域とせずに抑制し、世代間の給付と負担の格差
を縮小する」と、議論は一種の千日手に陥りつつあります。
ただ、議論が暗礁に乗り上げても、年金財政の悪化は進みます。ではどうなるかと
いえば、「当面は国債発行や金融機関からの借り入れで賄えばいい」(自民党の厚生
関係議員)といった悪魔の囁きが聞こえて参ります。既に40兆円近く毎年国債を発
行しているのですから、追加的に2ー3兆円発行しても、「当面は……いい」のかも
知れませんが、結局は金利の上昇か、インフレかという格好で、我々の負担になるの
でしょう。
冒頭のお話に戻ると、深刻さを実感できないのは、まだ金利上昇やインフレが顕在
化していないからとも言えるでしょう。もっとも、国家財政の議論になると、年金財
政を含めて既に破綻状態にあります。破綻のエビデンスが一つ増えて金利が上昇する
かどうかよりも、既に破綻しているのに、何故金利が上らないのか、ということを考
えるほうが重要かもしれません。ある意味では、小泉首相が在任期間に消費税率を上
げないといった瞬間に金利が急騰してもおかしくなかったし、年金改革をめぐる議論
が千日手に陥った瞬間に金利が上がってもおかしくないわけです。
ただ、日本の金利は今日も安定しております。安定しているというのは、相対的に
安定しているということです。日米金利差は過去20年間3%±1%の間で推移して
おります。10月9日時点の米国10年債利回りは4.30%、日本の10年債利回
りは1.31%ですから、その差はちょうど3%。まだ、何も起こっておりません。
どの程度の深刻さになるのか、私も分かりませんが、この日米金利差が2%を割り込
んでくる時には、個人的には国家財政の破綻に備え、自分の購買力を守る方策を立て
ようと考えております。
三菱証券 エクィティリサーチ部チーフストラテジスト:北野一
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■ 山崎元 :UFJ総合研究所 金融本部主任研究員 兼 企業年金研究所取締役
自発的な相互扶助としての公的年金制度は既に破綻したと考えていいと思います。
たとえば、先の社会保障審議会年金部会に提出された意見書案と共に発表された厚
生労働省による試算によると、意見書案を前提とした場合に2005年に生まれる男
性がモデルケースで(会社員の夫と専業主婦の妻)受け取る年金額は夫が支払った保
険料の約2倍強とのことです。しかし、この保険料には雇用主が負担する分(労使折
半なので半分)が含まれていません。雇用主の支払い保険料は人件費の一部ですから
実質的に加入者の負担です。つまり、新しい世代は何十年も保険料を払って、期待値
として同額しか戻ってこないという実質的には大損の状態にあります。また、将来独
身の場合はさらに損になります。
この試算結果を見ると、厚生労働省がどうやりくりして数字を作っても、年金に加
入しないことが可能なら、加入しない方が得な世代が明らかに出来てしまうというこ
とですから、自発的な相互扶助の制度としての年金は破綻していると考えることが妥
当でしょう。2005年生まれまで下らなくても、たとえば、筆者が現在若くて(た
とえば二十歳)、会社員(厚生年金に加入)でなければ、筆者は将来の可能性に備え
て加入期間を稼ぐために免除の申請くらいはするかも知れませんが、国民年金の保険
料など支払いたくないと思うでしょう。特に若者の不払い者の気持ちはよく分かりま
す(実際の年金の損得はもう少し複雑ですが)。
また、年金財政全体を考えると、先のケースでは直接見えてきませんが、国民年金
の保険料の三分の一から半分(現在三分の一。半分に引き上げ予定)は国庫から(つ
まり税金から)負担しているわけで、負担と給付のバランスは更に悪いのが実態です。
どうして、ここまでひどいことになるのでしょうか。
社保審年金部会の意見書案では、約20年後に厚生年金保険料を現在の13.58
%から20%に引き上げる(国民年金の国庫負担は半分が前提)ことになっており、
年金給付は現役世代の可処分所得の59%とされる現在の水準から50%前後(少子
化の進み具合などによる)に引き下げられます。これは、現在と比較すると、負担は
5割り増し、給付は1ー2割減ということですが、これを報ずるにあたって、保険料
の上限が20%に固定されることを強調したり、現役の所得の5割確保を「目指す」
ことを強調したりして見出しを並べる新聞は、いわば役所が強調したいところを強調
して報じているのであり、報道姿勢に疑問を感じます。
同意見書案の翌日に発表された坂口厚生労働相の「坂口試案」は、上記案に現在の
年金積立金を徐々に取り崩すことで、現役所得の2%程度を年金給付に上積みしよう
というものです。これは、目下不必要に大きな水準になり(140兆円以上)、まさ
に「下手の横好き」(下手だけでなく、政府が民間の株式を保有することには深刻な
弊害があります)のような市場運用に晒されている年金積立金を縮小する点に於いて
意見書よりもましですが、世代間格差を放置したままである点について意見書案と同
工異曲レベルの物であり、どちらの案でも公的年金制度を根本的に修復することはで
きないと私は評価します。
ところで、先の厚生労働省流の倍率計算では、現在夫が58歳の夫婦世帯では夫が
支払った保険料の約5倍、68歳の世帯では約8倍の年金給付を受け取ることが期待
できるのだそうです。この巨大な世代間の損得格差こそが公的年金破綻の大きな原因
の一つであり、同時に大きな問題でもあります。現在の相対的高齢者に対する約束が
大きすぎたとも言えますし、少子化が予想できないスピードで進んだことの影響が大
きかったともいえますが、後者については、考えてみると人口がどんどん増えて行く
ことを前提にするのがおかしいのであって、少子化の進展で崩壊するということは、
そもそも日本の公的年金が制度として不完全なものであったということです。
現在の年金制度には、国民年金の保険料不払い問題や、主婦と働く女性の扱いの不
公平(正すべきです)など、大きな問題が幾つかあります。これらの問題は、保険料
の徴収を税金と一本化し、現在までの権利を確定させた上で、今後の支払いが平等に
扱われるような個人勘定を設定して、「個人単位で」年金に関する積立額(国債金利
等、毎年適当な利回りを付与する)を確定して、過去に保険料を支払った人も、これ
から支払う人も、払ったなりの額と時期に応じて年金の権利を受け取るような形に再
編成することで解決可能であるように思われます。
国民年金の保険料に関しては、今後強制的に徴収すると報じられています。もはや
税金と別々に徴収することの意味は社会保険庁の雇用対策以外に無く、行政コストの
観点からも、徴収の公平性の観点からも、税金との一本化が望まれます。また、個人
別の勘定を明確化し将来の年金の受け取りに関する期待値をハッキリさせることによっ
て、個々人が年金に対して抱く不安(不確実性に対する不安)を払拭することは、生
活不安から来る消費不況に対して一定の抑制が期待でき、良いことだろうと思われま
す。
公的年金に関する世代間格差は特に若い世代から見て大きな問題ですが、他方で高
齢者の立場に立つと彼等は相応の年金額について期待を持って生活設計してきた訳で
すし、人生のやり直しはできないので、彼等の既得権を相当程度保護することは重要
です。現在の受給者及び、今後程なく受給者になる世代(2007年からあの団塊の
世代が年金を貰いはじめます)の年金給付に関してある程度の削減はやむを得ないと
しても、一方で、彼等の年金に対する権利を分かりやすい形で確定させ、安心させる
ことが重要です。
なお、年金問題というと些か短絡的に消費税の増税や目的税化が話題に上りますが、
年金財源の不足をどう補うかという問題以前に年金制度がどうあるべきかの問題が存
在します。消費税問題は本質的に年金問題とは別個に考えるべき問題です。現実的な
税源として消費税率の引き上げには私は反対しませんが、「年金不安」を質に取って、
消費税率を引き上げようとしているかに見える現在の財務省の戦略はやり方として陰
湿だと思います。
本来あるべき公的年金制度改革の基本手順を要約すると、(1)世代間の格差の調
整について合意を形成し、(2)広義の既得権者の権利の額を確定し、(3)その支
払いに不足する年金財源を国家の債務として現時点で認識して、(4)その処理方法
を決めることと、(5)その後に理不尽な損得が生じない制度に移行すること、です。
問題は、(3)の現在までに発生してしまった実質的な国家債務の現在価値ですが、
おそらく数百兆円の単位にのぼるものと思われますが、これは認識を先送りして、当
面の年金給付を支払うほどに拡大するものだと考えていいでしょう。金額的な規模に
於いては、既に銀行の不良債権問題の数倍の大きさとなっていますし、「年金不安」
も含めて、国民生活に直結する大問題になっています。
銀行の不良債権問題とのアナロジーで言えば、現在年金を主管している厚生労働省
は、いわば不良債権を大量発生させた責任のある銀行経営者のような存在であり、そ
もそも年金問題の議論を彼等の計算に基づいて行っていること自体が適切ではありま
せんし、問題に責任のある当事者が改革に当たることはマネジメントの問題として不
適切です。今度の総選挙で自民党、民主党、どちらの陣営が政権を取るとしても、た
とえば「年金再生担当大臣」を任命して年金改革に当たらせることを強く勧めたいと
思います。年金問題の解決は急を要します。
UFJ総合研究所 金融本部主任研究員 兼 企業年金研究所取締役:山崎元
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■ 津田栄 :エクゼトラスト投資顧問株式会社 顧問
日本の年金制度は、現役世代がリタイアした高齢世代の生活を支える「世代間扶養」
の仕組み(賦課方式)を基本としています。そのなかでも、国民年金は、20歳以上
60歳未満の全国民が加入し、一定の掛け金を支払い、原則65歳以上の高齢者に加
入期間に応じて年金が支払われる制度であり、上積みとして給与に比例して掛け金を
支払うサラリーマン加入の厚生年金と違い、公的年金の基礎をなしています。
今回、国民年金の不払い者が全体の4割ということは、「世代間扶養」を基本とす
る公的年金制度に対する国民の信頼がすでに失われつつあるということになり、相当
深刻な問題といえます。それは、90年代には、出生率の低下、寿命の長期化による
少子高齢化の進展が予測され、年金の制度的破綻がすでに見えてきた中で、実態と抜
本的な制度変更の必要性を国民に説明せず、小手先の手法で問題を先送りしてきたこ
とが国民の不信を買ったからだといえます。
しかも、問題は、年金資産そのものの劣化です。90年代に入って、株式市場は一
時的反発があっても下落し続け、債券市場は金利低下に伴い価格上昇し続けてきまし
たが、さすがに利率は6%台から1%割れにまで低下してきています。その結果、年
金資産は運用利回りの低下あるいはマイナスにより、目減りすらしています。将来の
年金は、予想以上に悪化しているといえ、国民の不安はますます高まっています。
さらに、掛け金の引き上げや年金支払いの横ばい、減額など彌縫策で年金制度の問
題を先延ばししてきましたが、その間に景気が回復すればという期待で財政支出を拡
大させ、その結果財政赤字の膨張という新しい問題を生み出しています。しかも、デ
フレの状況は解決していません。デフレは、海外との間の経済的障壁により物価を高
水準に維持してきた構造的な問題です。それを残したまま、経済のグローバル化によ
り、必然的に物価下落の波をかぶっていることを考えると、デフレは痛みなしに簡単
に解決するものではありません。
現役世代の国民年金加入者には、こうした財政、経済の現況、確実に来る少子高齢
化社会、しかも増税、景気の低迷による所得の伸び悩みと養育費の高止まりから出生
率の低下をさらに招き、それらの悪化が加速するのではないかという漠然とした不安
に包まれていては、支払った掛け金が今の高齢者に使われて、結局将来自分が高齢者
になった時に返ってこないと危惧を強め、不払いに傾く人が増えていくことになりま
す。
ここで問題になることは、将来の財政、経済の状況がどうなるか分からない、むし
ろ悪化するかもしれないなかで、現行の年金制度を前提として、年金事情の改善の期
待を国民に持たせようとしていることです。そもそも、現行の年金制度を維持するこ
とのメリット・デメリット、その制度の問題点である世代間扶養の限界とその是正方
法の内容と結果予測を責任を持って説明してきたことがありません。つまり、国民年
金制度は大丈夫だと言うのみで、限界を超えている現状と今後起こりうる最悪事態に
ついて国民に正確な情報開示がなされていません。
そして、現状から言って、厚生労働省の基礎年金の国庫負担2分の1引き上げ案や
それに対して財務省の財源確保を前提とした引き上げ案、民主党の基礎年金の消費税
引き上げによる方式など、財政の一段の悪化、景気の下押しの政策しか出てきていま
せん。ましてや、解散総選挙で引き続き小泉自民党政権となれば、消費税引き上げを
行わないのですから、年金問題はさらに先送りされ、悪化していくことが確実です。
このように考えてくると、現行の年金制度の世代間扶養の賦課方式では、政府は説
明責任を果たせず、実質的に国民の信頼を失っているので、時間の経過とともに着実
に破綻の道を歩んでおり、かつ財政及び経済への悪影響も累積しつつあるといえます。
そして、現行の制度を維持すること自体を問題にしないことは、国民への不作為であ
るといえます。
今、例えば、自分の年金は自分の掛け金で行う積み立て方式に切り替えてもいいは
ずです。個人的には、積み立て方式であれば、何も政府がする必要はありません。そ
もそも政府は年金を管理できず、コストだけかけてきたことを考えれば、民間に解放
することがあってもいいですし、そもそも年金の積み立てをするかどうかも個人の責
任で選択するという道があってもいいのではないかと思います。そして、老後の生活
が、もし問題になるのであれば、生活保護の充実による方法もありえるのではないで
しょうか。
結局、現在高齢者への年金支払いがなされていて問題が表面化していなくても、国
民の信頼を失っている現行の年金制度は、実質的に維持不能といえます。しかも財政
赤字の解決のめども立たず、デフレの解消と経済の回復再生の政策も見つからず、さ
らに少子化の歯止めもかけられないのでは、破綻の表面化は目に見えています。
それは、国民に少子高齢化社会に伴う年金の制度的欠陥を情報開示せずに放置し、
小手先の政策で問題を先送りしてきた政府、政治家、官僚の責任であり、同時にそれ
を受け入れて解決を迫らなかった国民自身の責任でもあります。この年金制度の問題
は、戦後から積み上げてきた政治、経済、行政、社会などの制度的問題が凝縮したも
のであり、これから、早急に自己による解決を図らなければ、金利急騰、急激な円安、
スタグフレーションなど市場による暴力的な解決に委ねなければなりません。それは、
ひいては国民自身がその負担を背負わなければならないのです。
最後に、国民の不払いが増加している限り、年金制度への信頼を失っているのであ
り、制度への信頼がなくなれば、政府そのものへの信頼もなくなります。そして、個々
人が自己防衛に入れば、さらに社会的混乱を生み、経済的コストは計り知れないもの
になります。その意味で、相当深刻な問題なのです。したがって、政府は、責任を持っ
て、できるだけ早く、世代間の利害調整を図るべく、国民に新たな年金政策を提示し、
解決しなければならない時に直面しているといえます。同時に、少子高齢化を受け入
れ何もしないのか、それとも歯止めをかける政策を採るのか、日本の未来のあり方が
問われています。
エクゼトラスト投資顧問株式会社 顧問:津田栄
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■■編集長から(寄稿家のみなさんへ)■■
Q:431への回答ありがとうございました。教育関係者へのの講演の仕事で北海
道の十勝に行って来ました。『13歳のハローワーク』の宣伝になるだろうと引き受
けた講演だったのですが、刊行が3ヶ月以上延びているために、本の宣伝はできませ
んでした。ただ、紅葉が始まっている十勝地方の風景は美しく、海産物はおいしくて、
学校の先生方も「現場における教育改革」に意欲的で、良い小旅行になりました。子
どものための職業紹介の絵本『13歳のハローワーク』は、4日おきの締め切りが続
いています。
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Q:432
郵政の民営化がいろいろな局面で争点になっていますが、郵便貯金・簡易保険は、
財政投融資など、国の原資になっています。しかも、信じられないほど巨額です。自
民党は郵政民営化の論議でそのことに触れていないようです。民主党はマニフェスト
の中で、「(中略)その前に膨大な郵貯・簡保資金をどうするかを決めることが先決
です。まず、金融情勢を見定めつつ、郵便貯金の預入限度額及び簡易保険の加入限度
額の段階的な引き下げをはじめます。さらに、郵貯・簡保資金を地域、中小企業に役
立たせるシステムを市場機能を活用して構築することを検討します」
http://www.dpj.or.jp/manifesto/03_03.html#04
と書いていますが、具体的には何もわかりません。民営化された場合、郵貯・簡保の
巨大な資金はどうなるのでしょうか?
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村上龍