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【フィリピン】GMトウモロコシに問題、人体に影響か
北欧のウイルス学者が、ミンダナオ島の遺伝子組み換え(GM)トウモロコシ栽培場近くに住む農業従事者の免疫系統に異常が見られたと発表した。調査結果が裏付けられれば、GM作物に対する反対運動に発展する可能性も懸念される。
ノルウェー遺伝子環境研究所のテリエ・トラビク教授がロイター通信に明らかにしたところによると、39人から採取した血液サンプルで3種類の抗体が異常増殖していたという。
このGMトウモロコシ(BTコーン)は米国の農業関連大手モンサントにより販売されたもので、土壌微生物「バチルス・チューリンゲンシス(BT)」の遺伝子が組み込まれていた。BTは葉や花粉などでタンパク質を生成。細胞表面にある受容体に反応して毒素を生成する。
トラビク教授は、抗体の異常がトウモロコシの開花時期から3カ月後の9月に発生したことから、農業従事者はBTタンパク質の毒素に影響を受けたと主張している。
しかしこの点について日本モンサントのバイオ作物担当者は、NNAに対し、「トラビク教授の実験はほかの研究者によって検証されていない」と述べ、その信ぴょう性には疑問が残るとした。同担当者によると、BTタンパク質はトウモロコシの害虫が持つ受容体に反応し、標的以外の昆虫や人体に対しては無害だという。
ただBTコーンは1999年、米コーネル大の研究者がその危険性を指摘。英科学誌「ネイチャー」に発表された実験によると、BTコーンの花粉を浴びたチョウの幼虫は4日間で44%が死んだという。
日本モンサントの担当者は、この実験に使われたチョウが害虫と同じ受容体を持ち、自然界ではあり得ないほど大量の花粉を浴びた点を指摘。害虫以外の昆虫に対する毒性を認めながらも、危険は極めて限られたものとした。
■GM作物反対も
トラビク教授の調査報告を受けたロレンゾ農業相は専門家による検証を指示。「(必要に応じて)適切な処置を講じる」と述べた。さらなる調査によって同教授の発表が裏付けられれば、GM作物に対する反対運動が広まるのは必至とみられる。
モンサントは農業省から認可を受け、1990年代後半から北部・南部ミンダナオでBTコーンの実験を行っていた。
トラビク教授は近くフィリピンで実験結果を説明するもようだ。(NNA)