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http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/04021101.htm
04.2.11
米国農務省(USDA)は9日、同国初のBSE(牛海綿状脳症、狂牛病)のケースに関係する調査の終結を発表した(Transcript of Technical Briefing on BSE with Dr. Ron DeHaven, Chief Veterinary Officer and Dr. Steve Sundlof, Center for Veterinary Medicine, Food and Drug Administration -- Washington D.C.,February 9, 2004)。だが、感染牛とともにカナダから米国に移入された80頭の牛の3分の2の行方を突き止めることに失敗した。
USDA担当官は、残されて文書記録によるこれ以上の追跡は不可能、これらの牛の一部は屠殺された可能性が高いと認めた。ディヘイブン獣医師主任は、多くの牛の耳タグは失われており、残りの牛を発見できるチャンスは非常に少ないと言う。昨年12月27日、彼は、これらの牛の大部分はまだ生きている、乳牛に関する記録保存は非常に良好で、これらの牛は、すべてではないとしても、大部分は数週間以内に見つけ出せると確信していると語った。だが、米国の牛固体識別・トレースのシステムの不備は既によく知られていたことだ。こういう結果になることは予想の範囲内だ。ディヘイブン氏は、7週間の調査は例外的な成功を収めた、すべてを発見できるとは決して期待しなかったと開き直った。
52頭の行方は分からず、うち11頭は感染牛と同じ時期に生まれ、同じ飼料を与えられた可能性があるから、BSE感染リスクはとくに高い。これらの牛はどこにいる(いた)のか、BSEに感染していたのかどうか、感染牛の肉を人々が食べた可能性はどれほどあるのか、このような基本的な疑問は残されたままだ。それにもかかわらず、調査終結は諸外国の米国牛肉輸入再開を促すだろうと言う。調査終結の決定は国際専門家調査委員会も支持したし、これらの牛が感染していたとしても、人間のリスクは低いというのがその根拠である。
ディへイブン氏によれば、189ヵ所の7万5千頭を調査、ワシントン、アイダホ、オレゴンの10施設の255頭のリスクが否定できないことが分かった。この中には、感染牛と同一牛群の28頭が含まれ、うち14頭は感染牛と同じ時期に生まれたものであった。255頭すべてが殺され、検査されたが陽性の牛はいなかった。最もリスクが高い11頭を含む52頭の行方不明の牛の一部は、この255頭の中に含まれている可能性があるという。だが、その証拠はない。
それでも彼は、行方不明の牛のリスクは非常に小さい、この中に陽性の牛がいたとしても、97年の安全規制により、感染性組織は食料から排除されていると言う。食品医薬局(FDA)のステフェン・サンドロフ氏は、二つの加工施設を通過した感染牛の2千トンの肉骨粉が押収され、人間の消費と動物飼料から排除された、安全に処分されるだろうと語った。ディへブン氏は、政府が二つの最大輸入国・日本とメキシコの輸入再開を働きかけていると言う。
だが、昨年まで、感染リスクが非常に高い”ダウナーカウ”は食用に回されていた。そのほんの僅かな部分が検査されていたにすぎず、生前監視もズサンで、検査員がBSEを疑う能力も極めて低かった。ダウナーカウを食用に屠殺することは禁止されたが、これを担保する体制がまだできていない。その上、屠殺に出されなくなったダウナーカウの監視は一層難しくなる。検査員の人員増や能力向上などの監視体制の拡充は即座に実現するわけではないし、倍増して4万頭にするという検査もなお不十分だ。感染牛が見逃される可能性は大きくは減らないだろう。特定危険部位(SRM)の除去は決められたが、回腸・扁桃以外のSRM(脳・脊髄・三叉神経節・背根神経節)は30ヵ月以上の牛のものに限定された上に、屠殺・食肉処理の現場での完全な除去、あるいは食肉のSRMによる汚染の回避をどう確保するかも不透明なままだ。
その上に、見逃された感染牛の組織が肉骨粉に加工されて牛の飼料に混じる危険性も完全に排除されるわけではない。97年の反芻動物飼料への哺乳動物肉骨粉の使用の禁止(飼料禁止)が有効に機能していたと認めるのは、いまや関係役人と飼料・加工・販売団体だけとなってしまった。先月末にFDAが発表した交差汚染防止も含めた飼料規制強化も不十分だ。国際専門家調査団は肉骨粉全面禁止かそれと同等の効果のある措置を要求したが、政府に強い影響力をもつ業界は強く反発している。
感染性牛組織が人間食料や牛の飼料に入り込む危険性は排除されていなかったし、今後も残るだろう。調査終結は、米国のBSEリスクを少しも減らすものではない。