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95年12月のナトリウム漏れ事故以来運転を停止している核燃料サイクル開発機構の高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市、出力28万キロワット)について、経済産業省原子力安全・保安院は30日、ナトリウム漏れ対策などを柱とする改造工事の詳細設計を認可した。着工前に必要な国の審査はすべて終了した。着工には福井県と敦賀市の了解が必要で、県市の対応が焦点になる。
改造工事は、ナトリウム漏れ事故の原因となった2次系配管の温度計をすべて交換するほか、ナトリウム抜き取り配管の増設、蒸気発生機器の放出弁増設などを行う。工費約180億円で工期は17カ月。
改造計画については、02年12月に基本設計が許可され、さらに詳細な機器の構造や強度などについて審査されていた。保安院は「改造工事をすれば安全性が高まり、トラブルが起きても重大事故をより確実に防げる」と判断した。
もんじゅについては、昨年1月に名古屋高裁金沢支部が、国の設置許可を無効とする行政訴訟の判決を出し、国側が上告している。原告団は「高裁判決にしたがって安全審査をやり直すか、最高裁の判断を待つべきだ」と反発している。【加藤潔】
<解説>
高速増殖原型炉「もんじゅ」再開に向け、改造工事の国の審査が終了したが、課題は山積している。
高速増殖炉は、燃えないウランとプルトニウムを燃やし、もとの核燃料以上のプルトニウムを新たに生み出すため、「夢の原子炉」と期待された。だが、水と反応すると爆発の恐れがあるナトリウムを使うため、商業用原発(軽水炉)に比べて危険度が高い。ウラン価格の低迷で経済的メリットもなくなり、フランスやイギリス、米国は開発を事実上断念した。
一方、日本は、軽水炉の使用済み核燃料からプルトニウムを取り出して利用する核燃料サイクル政策を原子力の基本政策とし、高速増殖炉開発を推進している。しかし、青森県六ケ所村に建設中の再処理工場(06年7月操業予定)は、不正溶接が多発。再処理費用が約19兆円かかるなどコスト負担も課題となっている。
昨年1月の名古屋高裁金沢支部判決は、国の安全審査について「看過しがたい過誤、欠落」があると指摘し、「全面的なやり直しを必要としている」と断定した。しかし、国側は、法令解釈に誤りがあるなどとして上告した上で、判決はまだ確定していないとして、着工手続きを進めた。
原発の安全性をチェックする機関である保安院が、改造工事を認可したのは、核燃料サイクル政策に固執する国の方針に迎合したものと言える。しかし、最高裁判決を待たずに改造工事を急ぐのではなく、もんじゅ再開の是非を含め、サイクル政策全体を見直すときにきている。【加藤潔】
[毎日新聞1月30日] ( 2004-01-30-19:12 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/shakai/20040131k0000m040032000c.html