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日本の原子力政策を決める最高機関である原子力委員会の委員5人のうち委員長ら4人が交代した。曲がり角にある原子力のあり方を変えられるかどうか。新委員会はまさに存在を問われている。
原子力政策は現実から離れる一方だ。政府の長期エネルギー需給見通しは原発について、いつも過大な数字を掲げてきた。それが根幹にあるため、エネルギー政策全体をゆがめる結果となってきた。
現在の計画は「2010年までに9〜12基の原発を増設する」という内容だが、これも実現は不可能だ。昨年12月に関西、中部、北陸の3電力が共同で計画していた珠洲原発(石川県)と、東北電力の巻原発(新潟県)の建設が撤回されるなど、原発の増設は難しくなっている。
その背景には反対運動だけでなく、電力需要の伸び悩みなど経営側の事情もある。電力の自由化と燃料電池など分散型エネルギー技術が急速に進むなかでは、原発に必要な巨額の投資はリスクが大きい。
二酸化炭素を出さない原発は温暖化の防止に貢献する。しかし、現実ばなれした新設数を掲げ続けることは、むしろほかの温暖化対策やエネルギー源を多様化させる政策を弱めてしまいかねない。
いま必要なのは、現実を見つめ、日本の原子力を国民の多くが納得する規模と内容に着地させることだ。
なかでも緊急の課題は、核燃料サイクル政策の見直しだ。
「原発の使用済み燃料をすべて再処理してプルトニウムを取り出し、高速増殖炉で使う」という現在のサイクル計画は、約40年前の政策が基本になっている。
しかし、高速増殖炉は全く実現の見通しがたたない。それまでのつなぎとされるプルサーマル計画もコストが高いうえ、地元の反対などでなかなか始まらない。
原子力委は、サイクルを含め原子力政策について各方面の意見を聴く会を近く始めるという。電力業界や地元の利害などを調整し、社会全体が同意できる道を探ってもらいたい。
原子力政策が変わらない一因は、計画を立てる仕組みにもある。長期エネルギー需給見通しは総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)がつくり、原子力の規模も決める。それを横目に見ながら原子力委が原子力の長期計画をつくる。どちらが主かわからない二本立てなので、大胆な変更が難しく対症療法ばかりになる。
だが、今年は需給見通しを改め、原子力長期計画の改定作業を始める年だ。縦割りを超え、全体を見て合理的な原子力政策に変える好機である。
そのためには、総合資源エネルギー調査会も原子力委員会も変わらなければならない。そうでなければ、総合的なエネルギー政策を考える新たな場を検討しなければならない。