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(回答先: セム系民族と資本増殖〜近代システムの破壊について等 投稿者 三四郎 日時 2003 年 12 月 05 日 18:26:51)
三四郎さん、こんばんわ。
『ヴェネツィアやロンドンにおける金融家について等』をたいへん興味深く読ませていただきました。
とくに、ロンドンシティのロンバルディア発金融家に関するものです。
欧州大陸の“大市”での金融活動(両替・為替・信用供与)を担っていたのは、ロンバルディアの金融家と言われています。
ヴェネチアは、ビザンチンがイスラム世界に入ったり“新大陸”が大きな権益地となって地理的条件が悪化するまで、地中海東部に向いた国際商人という比重が高かったところです。
ロンバルディアの国際金融家がフェニキア直系で、ヴェネチアの国際商人がカルタゴ系フェニキア出自ではないかと推測しています。
国際金融家を考えるときに重要なのは、所在地や個々の金融家ではなく、ネットワーク(有力者連合)だと思っています。
史実かどうかは別として、例えば、ユダヤ人がロンドンから放逐されたら、キリスト教徒であるフェニキア系ロンバルディア金融家がその穴を埋めるが、ロンドンにいたユダヤ系金融家ともネットワークがあるという見方です。
国際金融家は寄生者ですから、どこかを根拠地にしなければならないというわけではなく、利がより厚いところに動くものです。
そして、国際金融を営んでいるのですから、自分のファミリーだけではなく、様々なファミリーとネットワークを組む必要もあります。(為替の便宜はそれによって支えられます。貸し出し資金が不足していれば、融通もし合ったはずです)
>ローマやイタリアに関する一連の著作で高名な塩野七生さんも
>カルタゴとヴェネツィアの類似性を指摘していますね。
>(相違点としては農業の有無を指摘していた。)
>しかしカルタゴ→ヴェネツィアと連続しているとまでは見ていないようです。
カルタゴの農業は、プランテーション農業というか、米国で行われていた奴隷利用農業です。
利益を上げるために農業技術の開発にいそしむが、自分たちは農業に従事せず奴隷を使うというものです。(カルタゴの農業技術はローマでも重要視されました)
ヴェネチアも、イタリア半島部を支配した時点では農業と関わりをもったはずです。
国際商人(国際金融家)にとっての農業は、お金に変わるものという位置付けですから、その条件が満たされている限り、農業の生産性を高める努力をするというものです。
(逆に、その条件が小さいかなければ、農業に見向きもしないはずです)
>最大の疑問は、セム系の人々でなければそれ(資本増殖)が出来ない何らかの理由
>があるのだろうか?と言う事です。
>別に商業民族ギリシア人でも条件が多く整っていると思いますし、
それは、バビロニアが本格的な金融活動及び金融制度の源だからだと思っています。
取引形態・管理手法から回収まで、実践的に積み重ねていったノウハウは、新参者に太刀打ちできるものではなく、それこそが“彼ら”が現在に至っている強みです。
金融活動は商業活動から派生したとは言え、商業活動とは異次元の経済行為です。
ギリシアとりわけクレタ時代は、フェニキアとの融合を通じてできあがった文明だと見ていますので、ギリシア商人のなかにセム系が存在していることも十二分にあり得ると考えています。
>インド人はセム系民族より更に有利な条件がそろっているように見えます。
>セム系のイスラムが無軌道な資本増殖活動を抑えてきた歴史は理解できるのですが
>インドに関して言えば、どうしてあれだけ強大で肥沃な国が資本の蓄積と増殖で資本
>主義大国化せず、はるか極西の島国に侵食・荒廃させられてしまったのかということ
>です。
>資本においても産業においても英国に敗北するはずはないと思うのですが…。
>やはり軍事力の劣勢によるものでしょうか?
最後の攻防は軍事力によって決したはずですが、そこに至る過程での価値観の差が最後を招いたと思っています。
インドと中国は、18世紀の世界で1、2を競う経済大国でした。
その両国が「はるか極西の島国に侵食・荒廃させられてしまった」のは、極西の島国のように、資本の蓄積と増殖で資本主義大国化をめざさなかったからです。
正確には、イスラムを基礎とするムガール帝国や儒教を基礎とする清が、資本の蓄積と増殖で資本主義大国化をめざすことはあり得なかったと言ったほうがいいかもしれません。
資本の蓄積と増殖は、特定者に富が偏在することであり、その他大勢からの富の吸い上げによって実現されるものです。
共同体性を重視する統治者が、自国内でそれを容認することはありません。
さらに、イスラムという世界性を有する価値観を基礎とするインドや中華思想とは言え周辺地域の秩序と安定を重んじる清は、外部共同体に対してもそのような経済活動を認めることはなかったはずです。
「近代経済システム」は、自国の破壊を招かず存続するとしたら、他の国(外部共同体)から貨幣的富を吸い上げ続けるしかない制度です。
それを厭わないどころか、様々な理屈を付けて正当化しながら遂行したのが、国際金融家(国際商人)が差配する西欧諸国だったということです。
>ここにおける「近代」は資本主義体制のことと受け止めてよろしいでしょうか?
「近代」は、中央銀行制度・貨幣経済普遍化・大規模工場制産業・国民国家を主要な基礎とする資本主義のことです。
少し話は変わるのですが、
私は常々「これはひょっとしてサギか?」と感じていたことがあります。
我々は民主主義体制下で一人一票の投票権を与えられておりますが、
これは政治家を選出する場合のみであり、
経済界においては、企業のトップ人事を決定するのに決して一人一株ではない、
ごく一握りの人間(財閥)が「投票権」を独占している、という仕組みです。
そして経済界(財閥)の意向が政治家を左右できるので、
資本主義体制の元では必然的に民主主義の力が削がれているのではないか、ということです。
>つまり「票」より「株」の方が圧倒的に強いのではないか。
>民主主義体制と資本主義体制が並存して機能できるのだろうか?という疑問があります。
いちばんの問題?は、資本の論理に従わなければ、経営者のみならず雇われ人も現在の生活を向上させることも維持することもできないという現実です。
多くの人は、それを直観したり、そうだと教育されていると思っています。
共産党が政権を取ろうとも、「近代」である限り、資本の論理に従わなければ、国民経済は疲弊します。
この意味では、「票」は「株」に追随するとも言えます。
「票」が「株」に追随するという現実から脱却するためには、「近代」の虚妄を理解し、それに代わる国家社会の在り方を骨格でもかまいませんが描ける必要があると思っています。
(それは、平等主義・ヒューマニズムそしてマルクス主義ではないと考えています)
>ユダヤ人は矢面に立てられたために、ナチスの勘違いによる大虐殺があったのでしょうか?
>ちなみにナチスの背後に国際金融の指示があったとしたら、ユダヤ弾圧をする理由が
>見えてきません。
>貧しいユダヤ人のみでなく、
>国際金融家ロスチャイルド一族の中にもナチスの犠牲になった人がいたようなので、
>ナチスは本気でユダヤを殲滅する意思があったように思えますが。
>このあたりあっしらさんはどうお考えですか?
ナチスによるホロコーストの規模がどの程度であったかという問題もあります。
これをあれこそ詮索することはご法度というのが世界のムードであり、ドイツやフランスのように法的に規制されているだけではなく、ユダヤ人組織からの激しい攻撃に晒されることになります。
たとえ一人の犠牲者であってもナチスの行為を認めることはできませんが、それによって、反ユダヤ主義が悪である意識が戦後世界で浸透したことは確かです。
この問題は、偏にドイツ人が明かにすべきことだと考えていますので、これでご推測ください。
『「バチカンとナチス」そして「ユダヤ人の近代的識別」について』( http://www.asyura.com/2003/dispute5/msg/218.html )を参照してください。
>「近代システムを壊すこと」とは数百年から数千年にわたって
>繰り返されてきたであろう資本の増殖運動(つまり資本主義体制)を
>(何らかの方法で)ストップさせることであると解釈してよろしいでしょうか?
産業資本主義的近代の資本増殖運動は、そう遠くないうちにストップします。
それを読み取っているが故に、「対イスラム戦争」が発動されたと考えています。
ポスト「近代」が、金融主義的(見えにくい)資本増殖運動に人々が従属するものではない世界は可能だと思っています。
それを否定する人々の多数派を形成することに尽きます。
※ 参照書き込み
『世界経済支配層(国際金融家)が「社会主義(産業国有化)政策」に向かうわけ』
( http://www.asyura2.com/0311/senkyo1/msg/769.html )
>なぜか日本も含め、現在世界中で湧き上がりつつある反ユダヤ主義を解決できる可能
>性があることなどから、国際金融家の正体を追求する事に意義はあると思います。
意義はあると思いますが、それにパワーを注ぎ込むより、「近代」の論理を明確にし、新しい国家社会の在り方を模索するほうが望ましいと考えています。
>(上部に新しい投稿が増えてきたのですが、このような場合は、レスポンスを
>最上部に出すのが理想でしょうか?それともこの位置に出し続けるべきでしょうか?
>ご希望の方に投稿いたします。)
上に50くらいのスレッドが積もるまではこのままでいいと思っています。
やり取りのないように関心がある方は、降りてきて開いてくれるはずです。