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★阿修羅♪
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『元藤燁子 追悼の夕べ』 舞踏セレモニー「天地☆光と闇」
夜闇の林を潜り抜け、谷戸の奥に設えられた囲いの、弔いとお別れの舞踏を見てきました。魂の野辺の送り。蝋燭の光の花道。
世闇に露わとなる異様なものに退いた客も、林に囲まれた塔の下の舞台に繰り広げられる舞踏のただなかから生まれるものが、
自らの擲たれた身体であることに魅入られ、深みに息づき続けた記憶であることに沈黙し、次第に解きほどかれ、輪は狭まり、
一人の根源的な「生み」を果たした女性の、屠りと命の受け継ぎの場に溶け込んでゆきました。
そこには、それぞれの舞踏に魅入られている若者がいました、四十年前の彼ら、二十年前の彼ら、そして今の彼ら。われを忘れ
て魅入られる瞳は何も変わらない。それは受け継がれるものなのでしょう。花道の最後に時を惜しむように人は集まり、舞台も
無く観客も無い中から、彼女をふり返り、野辺の帰りの最後に娘が合掌した。そしてそれぞれに別れてゆきました。この夜の林の
中で、舞踏は日本から生まれたことを、私は身の深みから知りました。
英国バレエ団のプリマを占める女性の記事が載り、フェラーリに乗るバレリーノの番組がある中で、若い娘が暗黒舞踏の形を通し
て新しい自らの体と命の舞態を生もうとしています。おぼつかない中で舞踏が乗り越えられ、また舞踏が生まれようとしています。
土と泥の村落共同体の中から、都市の狭間に舞踏が現われたように、都市から村落共同体の廃墟のなかに、祝いと時を超える
想いの場を蘇らせる、新たなる時代の舞踏が生まれるのかもしれません。
Ｍ・ベジャールが二十世紀バレエ団を率いて「春の祭典」を踊った時、深い衝撃をもって魅入られつつも、「この人たちには、如何
にインドの形を学んでも東洋の踊りは踊れないんだ」という事を知って愕然としていました。その私の飢えを充たすような踊りは
まだ見ていません。日本初演のショナ・ミルク、プリセツカヤ、ギエム…彼女らにも踊れていません。パトリス・トゥーロンがいかに
インドの神の踊りの形から踊ろうと、そこには現せていないものが残る。内と外の世界に対するインドのあるいは東洋の結ぼれを
魂から、根底から理解できない者には踊れないものがある。
今、若い女たちが身を翻すように東洋の各国にそれぞれの舞踏を学びに行っています。私たちが西洋近代の呪縛の本質に覚醒
し、それを解き、また、東洋の国別の文化性にも縛られず、それを私たちの身体をもって再統合した時に、新しい道が創出されるの
かもしれません。我知らずにアメノウズメ、サルタヒコと同じ事を果たそうとする者はいつの時代にもいる。
それを知りうるように死と生の響きあう命の受け継ぎの舞台でした。
合掌
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。