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(回答先: 武士道しかないの、われわれ?新生日本には不要だね。 投稿者 yoshidayama 日時 2003 年 10 月 12 日 17:38:34)
戦前を代表する右翼とされる北 一輝が弱冠24歳(1905年)のとき刊行した『国体論及び純正社会主義』のなかに武士道について論じた部分があるので紹介します。
みすず書房刊『北一輝著作集 第一巻』より:
北 一輝は、立憲君主制論とは異なる国家論を基礎に天皇機関説を説き起こし、大日本帝国の第一条(万世一系の条)を削除することを強く求めていた。天皇が元首であることも否定している。
(「日本国民は万世一系の一語に頭蓋骨を殴打されことごとく白痴となる」(P.220)とまで書いている。天皇機関説を唱えた憲法学者とした有名な美濃部達吉博士の国家観も姑息なものとして退けている。『国体論及び純正社会主義』は刊行後1週間ほどで発禁処分)
タイトルに使った“土人の酋長”と北に呼ばれたのは、当時の帝国大学文科学長井上哲次郎氏である。
彼に対して、今日の国体論者は武士道と共に起こった武門を怒り武門が起きて皇室が衰退したと悲憤慷慨しながら、万世一系の鉄槌に頭蓋骨を打撲されているため、武士道とともに天皇陛下万歳を叫ぶという奇妙奇天烈な考えを振りまいていると書いている。
北は、「武士道は奴隷の道徳を自律的形式に於いて行う」という小見出しを付けて、「日本中世の武士道はその自律的道徳にまで進める点においては誠に麗しきものといえども、その人格たるべき人類を君主の所有物、すなわち、君主の所有権の下に物格として贈与せられ殺戮せられるべきことを承認したる奴隷的道徳の継承」(P.306:表記は変更)と説明している。
そして、P.308では、「武士道は皇室を迫害せる者なり」という小見出しを付けて、「武士道はこの忠を良心の無上命令とする貴き自律的形式において行う、中世貴族国の一千年間が全く皇室に対する乱臣賊子をもって一貫せるもの論をなきことなり、すなわち、武士道の良心をもってする皇室の迫害なりしなり。実に、吾人が、日本民族は忠孝主義をもって忠孝を最高善とせるが故に皇室を打撃したりと云い、忠孝主義の民族なりしと云う前提はすべての民族の上古及び中世を通じて真なり、しかもその故に二千五百年間皇室を奉戴せりと云う日本歴史の結論は皆明らかに虚偽なり」と展開している。
※ 『国体論及び純正社会主義』は社会進化論に立った歴史観・社会観に基づき書かれており、社会進化論的な立場から離れた後には捨て去られた見解もあるが、天皇に関する考えは持続している。
北は、2・26事件という皇道派将校の決起に巻き込まれるかたちで逮捕され銃殺刑に処されたが、いわゆる天皇絶対主義ではなかった。