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「空飛ぶ円盤」型飛行機の開発が再開?(HOT WIRED)
http://www.asyura2.com/0311/bd32/msg/535.html
投稿者 シジミ 日時 2003 年 12 月 24 日 19:02:49:eWn45SEFYZ1R.
 

(回答先: 円盤型航空機が実在していたのですね。(水上から発着も可能) 投稿者 名無しB 日時 2003 年 12 月 23 日 01:28:09)

(上)http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20031222301.html
(下)http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20031224306.html

Noah Shachtman

 2007年にメリーランド州パタクセントリバーで空飛ぶ円盤が飛んでいても、宇宙人による攻撃ではないので、警戒は無用だ。

 その時期に奇妙な乗り物が飛行していれば、それはロシア人の努力――そして米海軍の協力――が結実したことを意味する。

 20年以上もの間、旧ソ連の航空宇宙産業のエンジニアたちは、(「史上最低の作品」などと評されることもある)映画『プラン9・フロム・アウター・スペース』に出てきそうな無人飛行機に取り組んできた。しかし、翼が短くて車輪のない、ピタパン[中近東の平たいパン]のような形をした無人飛行機『エキップ』(EKIP:ロシア語で「エコロジーと進歩」の略語)は、資金難から開発が止まっている。

 しかし、近いうちにこのプロジェクトは勢いを取り戻すかも知れない。米国議員の仲介で、ロシアのサラトフ航空機製造プラントでエキップの設計を進めてきたチームに、新しい顔ぶれが加わるからだ。米海軍航空システム司令部(NAVAIR)はこの型破りな無人飛行機の開発に、今後何年間か参加することに同意した。テスト飛行はいまのところ、2007年にパタクセントリバーに近いウェブスターフィールドで行なわれる予定だ。

 最初の試作機は重さ約230キログラムにとどまる見通しで、1990年代初頭にテスト飛行に成功したとされている12トンの機体に比べるとちっぽけなものだ。

 「しかしうまく行けば、航空機設計における全く新しいコンセプトが誕生することになる」と、NAVAIRの研究・工学責任者のジョン・フィッシャー博士は期待している。

 特殊な形状の物体は、周囲の気流が乱れるため、飛行が困難なことが多い。そしてエキップの形状は間違いなく特殊な部類に属する。

 しかしフィッシャー博士によると、エキップの設計チームは、機体の周囲に真空部分を作り出し、気流がその外側を流れるようにする方法を考案した。

 この方法は、ルーマニア人で航空学の先駆者のヘンリ・コアンダ氏のアイディアを元にしているようだ。コアンダ氏はジェットエンジンの父として知られているが、空気の流れの中に物体を置いた場合、空気は物体に沿って流れようとすることを1930年代に発見した。この「コアンダ効果」の発見以後、揚力――機体を上に引き上げようとする力――を増すために、ほとんどの飛行機の機体は若干丸みを帯びるようになった。

 さらに、完璧に丸い飛行機――まさに空飛ぶ円盤――を開発しようと思いついたエンジニアも少なくない。米海軍は1940年代に、プロペラ駆動でヘリコプターのように離着陸可能な、フリスビーに似た形の戦闘機、『フライング・フラップジャック』を開発した。

 フラップジャックのテストはエリア51付近で行なわれていた。エリア51というのは軍の秘密基地で、超常現象愛好者たちが何十年にもわたって執着している場所だ。

 「これがもとで、多くの人が空飛ぶ円盤を信じるようになった」と、『見当違いの飛行機作り:ライト兄弟以前(および以後)の取り組み』(The Wrong Stuff: Attempts at Flight Before (and After) the Wright Brothers)の著者であるフィル・スコット氏は語る。「ドラッグでハイになっていたら、誰だってあれは空飛ぶ円盤だと思うだろう」

 このフラップジャックはちゃんと飛行したとスコット氏は付け加える。しかし完成する前に、米軍の飛行機はジェット機に移行してしまった。

1950年代にはカナダの航空機メーカー、A・V・ロー(アブロ)社がトロント近郊の工場で、『アブロカー』というジェットエンジンを搭載した円盤を設計した(日本語版記事)。UFOのような機体に興味を持った米空軍は、1955年にこのプロジェクトを引き継いだ。

 しかし、米国防総省の潤沢な予算と何年にもわたる試験飛行にもかかわらず、アブロカーは1.5メートルぐらいの高度まででしか機体を安定させられなかった。結局この計画は1965年に中止された。アブロカーの試作機のうち、1機はワシントン近郊にある米スミソニアン航空宇宙博物館の保管施設にある。

 現在、ノルウェーのシミコン(SiMiCon)社という小さな会社が、ノルウェー国防省の支援のもと、空飛ぶ円盤を実現しようと設計作業に取り組んでいる。同社のシステムエンジニアのベガール・ホフスタイン氏によると、約1年後に無人の『シミコン・ロータークラフト』(SRC)の初期試作を開始したいとしている。

 米議会の中でもロシアの権威として知られるカート・ウェルドン下院議員(ペンシルベニア州選出、共和党)は、ロシアのサラトフ航空機製造プラントを昨年訪問した際、エキップ(画像)の試作機を目にした。

 サラトフ航空機製造プラントは今では民間企業だが、かつては旧ソ連軍向けの航空宇宙産業に完全に特化した巨大な産業都市の一部だった。『ヤク38』(Yak-38)――米国の『ハリアー』垂直離着陸ジェット機に相当――は、ここで製造された数種類の航空機の1つだ。しかしサラトフ航空機製造プラントにとって、軍事産業からの脱却は容易ではなかった。かつては2万人いた従業員も、今では5000人しかいない。

 ウェルドン議員がサラトフを訪れたのは、ロシアで軍事に関わる科学者や技術者を「生産的な仕事に向けて再教育する」もっと幅広い取り組みの一環としてだったという。

 「これにより、彼らを世界中の悪い連中と手を組んだりさせないでおける」とウェルドン議員は語る。

 米軍はロシアの航空宇宙産業と共同で、射出座席から頑丈なタービンブレード[タービン内で回転する羽根]まで、多くのプロジェクトに取り組んでいる。しかしウェルドン議員がとくに感銘を受けたのはエキップ・プロジェクトだった。

 「実物大の試作機が――軍需産業の縮小のために限られた人員や予算の中で――製作されたという事実は注目に値することだった」とウェルドン議員。

 NAVAIRのフィッシャー博士も9月に自らサラトフを訪れた。博士はエキップのモデルをベースにした貨物機に興味を持っている。

 装甲車両は、トラックより少し大きい程度なのに、海外に移送するには現在のところ全長53メートルという巨大な『C-17』輸送機に載せなければならない。エキップの機体は円形なので、もっと小さな機体で装甲車両を載せられるはずだ。

 さらに、C-17のような飛行機の場合、離着陸のために非常に長い滑走路が必要だが、世界各地の紛争地域にそういう施設があるとは限らない。それに対してエキップは、離着陸の際はホバークラフトのように下から空気を噴き出す(写真)。実際この無人飛行機には車輪はない――機体底面の周囲にクッションがあるだけだ。このため、エキップに必要な滑走路は150メートル程度だと、サラトフ航空機製造プラントは主張している。

 パタクセントリバー海軍飛行場のウェブスターフィールド滑走路は1500メートル以上ある。どんな空飛ぶ円盤でも十分すぎるくらいだろう。


[日本語版:高橋達男/高森郁哉]
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