★阿修羅♪ 現在地 HOME > 掲示板 > Ψ空耳の丘Ψ32 > 442.html
 ★阿修羅♪
次へ 前へ
12月28日サンデープロジェクトで天木直人VS岡崎久彦
http://www.asyura2.com/0311/bd32/msg/442.html
投稿者 なるほど 日時 2003 年 12 月 16 日 12:16:33:dfhdU2/i2Qkk2

○小林正弥public-peace>「日米恩顧主義」からの脱却
天木様ほか皆様 小林正弥です。サンデープロジェクトでの討論、楽しみです。是非、頑張ってください。日米同盟の是非は極めて重要な論点だと思うので、以下、この論点について簡単に管見を述べてみます。参考になれば幸いです。
 天木シンポでも述べましたように、私は日米関係を「国際的恩顧主義(親分ー子分関係)」と考えています。恩顧主義一般に「全て恩顧主義は悪いのか」という論点があり、以前、公共哲学フォーラムで議論されました。その際、私は「全て直ちに悪いとは言えず、恩顧主義の果たしている歴史的機能やその内実、また(親分ー子分関係以外の)第3者の利益を阻害しているかどうか、などを考慮して判断する必要がある」としました。この議論は日米関係にも適用できると考えています。
 日米関係に適用してみると、日米安保条約が法的根拠となって、国際的恩顧主義が制度化されていると考えます。そして、「子分国家」たる日本は、これまで外交的支持・経済的貢献をはじめとして「親分国家」としてのアメリカに尽くす反面として、軍事的庇護を得てきました。これを「日米恩顧主義」と言えるでしょう。ただし、日米安保は無条件の忠誠の約束ではなく、一応独立国間の条約なので、前文・第1条・第7条などで、国連憲章の遵守義務が両国政府には定められています。
 岡崎氏をはじめ、日米同盟を絶対視する論者は、日米恩顧主義を絶対視しており、「子分国家」として得られる庇護と利益が「国益」だと考えています。イラク戦争後に保守系論客の間で有力になった有志連合論は、これを徹底して、国連を軽視し、「親分国家」たる「アメリカ幕府」(渡辺昇一)に忠義を尽くした方がアメリカ中心の世界秩序で高い地位を得られると、驚くほど露骨に主張しました。「我ら属領の臣民」(福田和也)として、論功行賞を狙うというのです。最近も、アメリカはイラク復興事業から仏独露などを除外する決定を決めましたから(9日)、アメリカ側もこのような方向に誘導しようとしています。
 この種の議論の難点を挙げてみましょう。第1に、倫理的・道義的難点は、「日米恩顧主義を絶対化すると、アメリカがいかなる国家となりいかなる政策を取ろうとも、それを支持することになってしまう」という点です。『戦争批判の公共哲学』などで述べたように、9・11以後のアメリカには「ネオ・ファシズム」の予兆とすら言える現象が現れていましたから、ここには、「日米同盟が国益に叶うならば、仮にアメリカがファシズム体制になっても日本は支持するのか」という倫理的問いが現れます。「力」としてのアメリカへの随従のみを説く有志連合論は、この問いを決して正視しません。
 第2に、岡崎氏らの「アングロ・サクソン至上主義」は、歴史的に見て、「第2次世界大戦を始め英米が必ず勝っており、これに反対する勢力は敗北してきた」という点を根拠として、米英との同盟を金科玉条のように考えています。しかし、これは歴史の実態を無視した暴論であり、知的怠慢だと思います。第2次大戦における枢軸国、特に独伊日のファシズムは正に「先制攻撃」を行った侵略国であり、その報いを受けました。然るに、現在、「先制攻撃」による侵略を行っているのは、むしろアメリカの側であり、仏独の側ではありません。この実態を無視した「アングロ・サクソン至上主義」は、人々を惑わす擬似論理にしか過ぎず、実際には論理の体をなしていない、と断言したいと思います。「アングロ・サクソン常勝の法則」のようなものを信じているように見えるのですが、それは一部の経験則にしか過ぎず、そのような「法則」が歴史的に成立するはずもありませんから、それを信じ切る姿は滑稽です。あらゆる帝国が史上興隆しては崩壊してきたことを想起する必要があるでしょう。
 第3に、現実的難点として重要なのは、「子分国家」としての忠誠の代価が以前よりも高価なものになりつつあり、日本にとっては日本人の生命の犠牲を要求するようになりつつあることです。外交的支持や経済的貢献に留まっていた段階と、海外派兵により、いわば「人身御供」の覚悟を要求されるに至った段階では、「子分国家」としても「親分国家」への随従が本当に「国益」に叶うかどうか、再検討する必要があります。親分ー子分関係は身分制ではありませんから、子分が親分の搾取を感じるようになれば、自立を選択することが可能です。
 第4に、有志連合論の説く「アメリカ幕府」の新世界秩序という展望自体も、実現可能性は怪しいという点です。既にアメリカが占領政策を大転換したために、有志連合論は勢いを失っているように感じます。イラク情勢がさらに泥沼化してブッシュ政権が覆れば、この展望は崩壊するでしょう。アメリカ随従を止めれば短期的には日米関係は緊張しますが、中長期的には元に戻ることが十分にあり得ます。
 第5に、国連憲章の枠組みの中における対米随従と、国連の秩序を破壊する有志連合の中における対米随従では、親分−子分関係以外の第3者に対する意味が全く異なります。有志連合による「参戦」は、先制攻撃の対象となった地域の人々の生命をさらに犠牲にしますし、このようなことが将来再現することを可能にします。ですから、日本の「国益」追求が日米関係以外の他者の生命や利益を著しく犠牲にすることになります。
 以上のような点を考慮するならば、仮に今まで日米安保による日米恩顧主義が日本にとって有意義だったと認める場合にすら、この戦時下においては、この関係からの脱却と外交的自立を目指すべきであると考えざるを得ません。岡崎氏らの日米同盟絶対化論は、以上のような問いを一切拒否して考えない点において、知的退廃以外の何物でもない、と愚考します。
 前述したように、日米安保の中に国連憲章遵守義務が存在しますから、包括的非戦声明6「対米随従外交からの脱却:開戦加担反対」で強調したように、国連憲章に背反するブッシュ政権の先制攻撃戦略は、日米安保自体の前提を失わせます。そこで、「反テロ」世界戦争においてこそ、日米安保に立脚した日米恩顧主義からの脱却が必要になり、「日米同盟絶対視論」は論理によって打破されなければならないと思う次第です。 小林正弥
On Sun, 14 Dec 2003 15:20:57 +0900
wrote:
> 山脇さん、参考になりました。実は12月28日、田原総一郎のサンデープロジェクトで外務省のOB同士の論争として私と岡崎さんとで日米同盟の是非について話し合う事になっています。彼の言う事はわかっていますがどうのような論理で彼の言う「アングロサクソン至上主義がわが国の国益に叶う」という主張の間違いを明らかにできるか、私なりに考えていますがお知恵があれば教えてください。天木>
○黒住MAKOTO・public-peace>小林様・天木様 みなさま  黒住@東大駒場です。
小林さんの指摘された日米関係を恩顧主義でとらえる見方、シロウトながら私もまったく同感です。
現在、アメリカ(ブッシュのアメリカ)のイラク派兵のもとに糾合されているのは、いわば中小諸国(この捉え方はもちろん問題があるでしょうが、いまは措きます)で、つまり「アメリカの庇護(お世話)にならないと生きていけない/お世話になって生きて行こう」という自他認識をもっている国々だと思います。もちろん理屈としては、イラク派兵に加わることが、国際貢献・復興支援になるとか、テロ撲滅になるとか、そういうことをするのは避けられないとか、いろいろ語られます。が、そうした議論の地平で決断が正当化される部分は、多く見積もってもじつはわずかです──逆にその議論をすれば、アメリカの手法はむしろ不当、少なくとも大いに不十分ということに9割方はなるでしょう──。
実際のところは、そういう表向きの名分の下で、要するに、「親分さんのすることがよかろうとわるかろうと付いていく外はない、親分さんお御蔭で生きているんだから。ここで睨まれると困るし、また点数を稼いでおけば悪いことにはならない」という「子分」の意向が働き、また親分もそういう意向を調達しています。イラク派兵はそうした「忠誠の意向」を確かめる一種の「踏み絵」になっていると思います。小泉氏のいう「日本の精神が問われている」というのは、真に国際貢献・国際平和のための日本ということではなく、要するに「日米同盟」(というより「牧場に呼んでくれた親分」)への忠誠の問題だと思います。しかし、派兵しないということが、別に「アメリカ自体と敵対する」ことを意味するわけではないのに、また日本がアメリカへの依存分が大きいとはいえ、日本なりの国としての地歩も大いに持っているのに、それほど「過剰同調」しなければならないのは何故なのでしょうか。
それはいろいろ考えられますが、事柄は、結局は、一種国家観や平和観・秩序観の問題になってくると思います。私は岡崎氏らの記事・議論を少し読み、始めはその品性や倫理観を疑ったのですが、よく考えてみると、事は品性の問題(だけ)ではないようです。岡崎氏らは、秩序というものは要するに結局は軍備や軍事行為・(赤裸々な)権力によって成り立つものだし、すべからくそれこそが真実だと考えているようです。こういう人は、強いところに寄り添わないと気が済まないし、さらに出来れば、自分も槍・鉄砲を持たないと気が済まないようです。こわいことに、こういうタイプの人は、危なくなればなるほど、ますます力やその備えを求めるようになります。
私自身は、現状では、日本に一切軍事力が今すぐ無くていいとは思いませんし、世界に一種の世界の警察の機能が何らかの形であっていいとも思っています。しかし今後の世界秩序は、むしろ非軍事的諸手段による人間的な安全や生活保全を高めて行くことの中で結局は保たれるのであって、権力的手段を偏重するようになると、暴力の悪循環を生じて、かえって危ないと思っています。ところが、アメリカの現在の手法は、まさにその危険を生じている、と思います。また現在の日本の政権の背後には、そうした危険や緊張感を逆手にとって、権力や軍事機構を国内的にも「整備」しようとする動きが、岡崎氏をはじめ存在しており、それも文字通り「国を誤る」ものだと思っています。
勝海舟が、『氷川清話』で、「幕末、危なくて危なくて道を歩けないから、却って下手に刀を抜けないように紙縒りで結んでおいたよ」と述べていたのを思い出します。現在のようなときこそ、正気になって、小林さんも書かれていましたが、「平和的であることのための戦い」(これは狭い意味での「平和運動」だけでなく)を行っていく必要があります。アジアを戦火に巻き込みまたみずから原爆を落とされたことを記憶する日本に住む人々こそ、それを始める義務と責任を負っていると思います。  追伸:ちなみに、フセイン元大統領、もしちゃんと「イラク人の手での裁判」をしたら、「そもそもフセインはアメリカという親分の元から出た、過ぎた子分だ」ということがはっきりするのではないでしょうか。そこまで明るみに出すほどアメリカがフェアであれば、まだ希望がありますが。。。。>

http://members.jcom.home.ne.jp/pinuskoraie/0305.htm

 次へ  前へ

Ψ空耳の丘Ψ32掲示板へ



フォローアップ:


 

 

 

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。