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日米台の研究グループ、ハエにも痴ほう症 (日本工業新聞 2003/12/4)
http://www.jij.co.jp/news/bio/art-20031203193325-BLODAORSZY.nwc
ハエもヒトと同じように老人性痴ほう症を起こし、7時間程度の中期記憶の障害がその原因となっていることを東京都神経科学総合研究所の齊藤実主任研究員ら日米、台湾の研究グループが突き止めた。ハエにも老人性痴ほう症があり、部分的な記憶の欠如が痴ほう症状を起こすという研究成果は今回世界で初めて示された。齊藤氏は将来ヒトに 応用すれば、高齢社会で大きな課題となる痴ほうの治療や予防につながると期待している。
研究グループは、ショウジョウバエは寿命が1カ月前後と短期間に結果が得られるうえ、遺伝子約1万4000個のうち8割がヒトと共通であり、遺伝子解析が進んでいることに着目。短期、中期、麻酔耐性(一夜漬け的な記憶)、長期の各種記憶に関与する遺伝子を決定し、それぞれの遺伝子を欠いたハエを作り出した。においと電気ショックの有無を重ね合わせて「学習」させ、記憶力の加齢による衰えを実験した。
この結果、ハエもヒト同様に、寿命の3分の2程度(生後20日以降)を過ぎると痴ほう症状が起きることを突き止めた。
さらに学習してから7時間程度までの中期記憶に関与するアムネジァック(記憶喪失の意味)遺伝子の欠陥だけが老人性痴ほうの症状を起こしていることも明らかにした。
これまでヒトの老人性痴ほう症は、学習能力や短期から長期の記憶力まですべてが低下すると考えられてきた。
ヒトの場合は、短期と中期の記憶の区別が難しいが、同じ障害が老人性痴ほう症を起こすと推定している。
齊藤氏らは、今後、ハエを使ってアムネジァック遺伝子で作られる特有のペプチド(アミノ酸が連なったタンパク質よリ小さい有機分子)を起点とする記憶組織内の情報伝達経路の異常を起こす個所を解明する。「10年以内ぐらいにはヒトの治療に応用できるのではないか」と期待している。
これは科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業「タイムシグナルと制御」の研究テーマ「加齢に伴う学習・記憶低下の遺伝子プログラム」の成果。
米学術誌「ニューロン」オンライン版に4日、掲載される。