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【東京東部】十一月十三日、「みんなが共に暮らせる社会を―野宿者の人権を考える集い」が開催された。会場は東京・荒川区の南千住西部区民事務所。会場には地域で野宿者の問題を考える市民・団体ら約四十人が集まった。
野宿労働者への排外主義的動き
この集いを開くきっかけになったのが、今年五月に同区東日暮里四丁目に建設された民間の野宿者宿泊施設「立身寮」である。約百人が収用可能なこの施設に対して地元町会は、町会長名で反対署名運動を展開した。いわく「通学路にホームレスがたむろしていると不安をかきたてられる。学校の近くにこういう施設は建設すべきではない」「入居者に支払われる生活保護費は区の税負担であり、その分、区民へのサービスが低下する」。
さらに施設周辺にはいたるところに「ホームレス宿泊所絶対反対!立身寮は速やかに立ち去れ!」との煽動的なポスターを貼りだした。こうした野宿者の施設をめぐる地元住民との「トラブル」=排外主義的な動きは台東・板橋区でも起きているという。
「防災」に名を借りた都知事石原の治安訓練への反対闘争を担ってきた地域の労働者・市民は討論を重ね、「まず野宿者の人権問題として事態を捉えるべきだ」と本集会を企画した。
少年による野宿者暴行死事件を問う
最初の講演は篠原勇さん。篠原さんは昨年一月東村山で起きた少年による「野宿者鈴木邦彦さん暴行死事件」の目撃者であり、加害者少年の通う学校の保護者。地域で教育問題を考える市民運動に関わっている。篠原さんは「鈴木邦彦さんを追悼する会」を立ち上げ、この事件への行政(教委)・学校側の対応を追求してきた。事件後の行政や市民の取り組みには多くの参加者があり、事件への関心の高さをうかがわせた。
しかし市教委・学校の対応は「親の問題・各々の家庭のしつけの問題」に矮小化した形式的なものだった。加害高校生はその後の裁判の中で、自分が野宿者に対して「何をやってもかまわない」という露骨な差別意識を持っていたと証言した。大人と子どもに共通する野宿生活者への差別・偏見や排他的な感情=差別の問題=が公的に明らかにされ、それを克服する人権教育の推進が行われなければ、事件は「一部の突出した少年たちが起こした」ととらえられてしまい、問題の本質には迫ることができない。
二人目の講師は湯浅誠さん。湯浅さんはNPO法人自立生活サポートセンター「もやい」の共同代表を勤める。DV被害者や野宿者の入居支援、生活保護申請を支援する活動をしている。
湯浅さんは先月、自身が企画して荒川区内の中学校で行われた「ホームレス問題」を考える公開授業の報告をした。プログラムの「椅子とりゲーム」では、通常のルールと、足りない椅子の数の人を椅子から遠ざけた状態で行うハンデ付のルールの二通りを実施した。さまざまな教材で、「ホームレス」になるのは本人の努力が足りないのではないこと。同情ではなく「社会の問題」として、椅子から遠ざけられて座れなかった人たちの存在を受け入れていくべきだと説いた。そして授業の前と後で、子どもたちの意識がどう変わったか。こうした取り組みを湯浅さんは報告した。
地域と行政の差別と偏見との闘いを
講演の後、参加者との質疑応答が行われ、最後に部落解放同盟荒川支部の高岩さんの発言で締めくくった。
立身寮の賛否をめぐって荒川区は、「施設反対」の署名を受けた形で七月九日、二十三区で初めて業者の進出を規制する「指導要綱」を施行した。宿泊施設の問題点としては、@民間業者が強引に野宿者を勧誘し、入居者に支払われている「生活保護費」を食い物にして利潤をあげているA地域住民の治安への危機感を煽る排外主義に利用されている。
以上を口実として行政は、業者の進出を規制し、かつ生活保護費の削減を狙うため、「相部屋」などの場合は「部屋単位」の支給額にするなどの方策を打ち出している、などが挙げられる。自治体によっては「野宿者収容対策」として業者の進出を歓迎する側面もある。いずれにしろ、社会によって生み出されながら、邪魔者・怠け者扱いされる野宿者への無理解・差別・偏見が人々の底辺にあって、これを打ち破っていく運動が重要だと、集会では確認された。 (S)
http://www.jrcl.net/web/frame03121b.html