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欧米ポスト近代思潮の産物としての米国ネオコン派[週刊日本新聞] 〜西洋近代万才! 万万才!という敗戦後五十余年の日本の時代精神
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投稿者 乃依 日時 2003 年 11 月 19 日 00:59:05:YTmYN2QYOSlOI

欧米ポスト近代思潮の産物としての米国ネオコン派
http://www.pavc.ne.jp/~ryu/

更新 平成15年11月18日23時56分
平成十五年(二〇〇三年)十一月十八日(火)
(第七百六十六回)

○小泉政権は「ネオコン内閣」
(毎日新聞、平成十五年十一月十八日夕刊 二頁、帰ってきた田中真紀子)
 
 と言った風な表現がひとり歩きして、「ネオコン」についての日本人の
 常識に成ってしまって居る。
 
○こうした軽薄な水準は、幕末以来の日本人の西洋理解の通り相場である
 とは言え、このまま、手をこまねいて見過してしまうことは出来ない。

○ブッシュ(息子)の大統領就任と共に、米国の国家中枢を掌握した、
 いはゆる「ネオコン」派は、何よりもまず、
 ポストモダン(ポスト近代)的現象であることを知らなければならない。 

○ポスト近代、または脱近代、とは何か。  

○それは、第二次世界大戦後の欧米に廣く行きわたった思想、又は
 思潮を指して居る。

○それは「保守」とか、「革新」とか、「左翼」とか、「右翼」とか、
 「資本主義」「共産主義」とか、そうした在来の西洋思想の枠組み
 の中のものではない。

○ポスト近代哲学思想の本家は、
 どうしたわけか、第二次世界大戦後のフランスである。
 
○英国でも、米国でも、ドイツでも、ソ連でも、イタリーでもない。
 
○ポスト近代思想家の殆んどすべてが、フランスの哲学者、作家である。

○やがて、その思潮は米国をも席巻し、米国でも
 
 ポストモダンにあらずんば哲学とあらず。
 といった具合に成ったと言う。

○サルトル、バタイユ、フーコー、デリタ、クノー、その他
 十指にあまる、ポストモダンの哲学者が、第二次大戦後、
 フランスから輩出した。

○しかしながら、そうしたフランスのポストモダン思想の源流は、
 実は、アレクサンドル・コジェーブと言う、共産ロシアから
 ドイツ経由でフランスに亡命移住した哲学者の、一九三〇年代に
 パリで行はれた、ヘーゲル精神現象学についての講義であった。

 と言う事実すら、日本では、ごく僅かの専門家以外、誰も知らず
 無関心である。

○このアレクサンドル・コジェーブが、米国ネオコンの本家
 レオ・シュトラウスの生涯の盟友であった、

 と言う事実に至っては、今に至るまで
 日本では殆んど誰も知らない。

○「ポスト近代」派とは、いかなる意味で、「ポスト(脱)」なのか。

○敗戦後の日本では、フランスに勃興したこの「ポスト近代」思潮は、
 一部のフランス問題専門学者の私有物ないし、おもちゃの如きもの
 であって、それ以外の日本人には何の関係もない。
 
○日本では敗戦後始めて、何はばかるものもなしに
 西洋近代が満開した。

○西洋近代万才! 万万才!

 と言うのが、敗戦後五十余年の日本の時代精神であって、
 西洋近代を一言半句でも批判するものは、問答無用で抹殺される。

○米国ネオコン派は、第二次大戦後、欧米に於ける一大思想潮流としての
 ポスト近代を前提とし、その上に形成されたのである。

○従って、二重三重の意味で、今の日本人は、
 米国ネオコン派の正体が、分らなくさせられて居る。

○筆者は、米国ネオコンについての著作を書き終えたが、これは近い将来、
 有志の学習資料用コピー本として、配布すべく準備中である。

 (了)

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