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11月18日付・読売社説(2)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20031117ig91.htm
[IP電話]「通信の世代交代は止められぬが」
破格の低料金を売り物に、IP(インターネット・プロトコル)電話が、ジワリと存在感を増している。
個人の利用者は三百万世帯を超え、社内の電話を丸ごとIP電話に切り替える企業も出始めた。
十月には「050」の認識番号が与えられ、従来型の固定電話からIP電話にも通話できるようになった。
電話のIP化は、技術革新を反映した時代の流れだ。それを無理に押しとどめることはできない。
しかし、IP化を急ぐあまりに、NTTなどの通信会社が固定電話への投資を激減させているのは、不安だ。
電話は、情報技術(IT)とは無縁の人にとっても、暮らしに欠かせぬ社会基盤だ。固定電話網の維持補修を怠り、高齢者や過疎地の住民が困ることがあってはならない。IP化は、副作用を最小限に抑えながら進めるべきである。
IP電話は、インターネットの情報伝送方式を通話に応用したものだ。
固定電話は一本の回線を一人の利用者が占有し、高価な交換機を経由して情報を送受信する。これに対し、IP電話は複数の回線を複数の利用者が共同で使用し、交換機も必要としない。このため、低料金でサービスを提供できる。
一般家庭でIP電話に加入するには、ソフトバンクBB、NTTコミュニケーションズ、KDDIといったサービス会社と契約する必要がある。
通常は光ファイバーやADSL(非対称デジタル加入者線)の利用料、インターネット接続サービス料とのセットで、月四千円前後の固定料金がかかる。
しかし、通話料は、同一グループのIP電話間では無料、国内の固定電話向けで三分七・五―八円、米国向け国際電話で一分二・五―九円という安さだ。
ただし、一部のサービスを除いて、110番などの緊急通報ができない。通話の安定性や音質なども、まだ固定電話に一日の長がある。
問題は、IP電話が都市部を中心に展開されており、過疎地では固定電話に依存せざるを得ない状況が続くことだ。
NTTの東西地域会社は全国一律の電話サービスを維持する義務を負っているが、それにはIP電話は含まれない。
IP電話と携帯電話に挟撃され、固定電話の通信量は急減している。NTT東西も設備投資の重点を、IP系のサービスに移しつつある。数年後には固定電話網の機能が大きく低下しかねない。
どうやって固定電話からIP電話への世代交代を円滑に進めるか。官民が協力して、検討を始める時期だ。
(2003/11/18/02:04 読売新聞)