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http://www.asahi.com/science/update/1114/006.html
米エネルギー省のエーブラハム長官は13日、ウイルスを極めて簡単な手法でわずか2週間で人工合成することに成功したと発表した。5386塩基対のゲノム(遺伝情報)のウイルスで、今後、医療に有用な物質をつくる遺伝子や、汚染物質を取り込む遺伝子を持った、さらに遺伝情報の大きな「人工微生物」を生み出す構想だという。
ヒトゲノム解読の功労者、クレイグ・ベンター博士が代表を務める代替バイオエネルギー研究所が、同省から1200万ドル(約13億円)の研究費を受け、昨年から3年計画で人工微生物づくりを進めている。
今回合成したのは、細菌に感染するウイルス「バクテリオファージ」の一種。簡単に入手できる核酸の材料物質から、一般的な遺伝子増幅技術であるDNA合成酵素連鎖反応法(PCR法)により2週間でつくった。
ウイルスは自己増殖機能を欠き、他生物の細胞に侵入しない限り殖えないので「生物」とはいえないが、合成の手法としては、人工微生物をつくり出す展望が広がった。
今後、ゲノムの規模が今回の100〜1000倍の人工微生物の合成を目指す。二酸化炭素を吸収する遺伝子や水素をつくる遺伝子、ワクチン生産や治療用の遺伝子などを組み込む考えだ。
エーブラハム長官は「人工微生物に、水の汚染や放射性廃棄物の除去をさせることも、近く可能になる」と述べた。
昨年、ニューヨーク州立大がポリオウイルスのゲノムを人工合成した際は、「危険な人工ウイルスが広がる」と批判を招いた。同省は、人工微生物研究を監査する専門委員会を新設するという。
(11/14 17:32)