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2003年11月7日発行
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JMM [Japan Mail Media] No.243 Friday Edition
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http://ryumurakami.jmm.co.jp/
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テレビ東京系列 TXN報道スペシャル 『ザ・決断!総選挙』
11月9日(日)生放送 22時〜 日本の経済を語る
司会:小谷真生子・大浜平太郎
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◆番組のみどころ◆
◇見ごたえあり!田中角栄ら戦後政治家の歴史ドラマ
◇ミスター円・榊原英資が小泉・菅に直撃!
◇安倍晋三の点数は!? 番組独自の「政治家の通信簿」を発表
◇携帯を片手に番組を観よう!生放送中に“決断CALL”で番組参加!
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▼INDEX▼
■ 『Younghee Ahn の韓国レポート』 第118回
「ウィ島の悩み」
■ 『南からの声 ジンバブエ・レポート』 秋山寛 第53回
「やがて来るその日」
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■ 『Younghee Ahn の韓国レポート』 第118回
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「ウィ島の悩み」
日本と同じ様に四季がはっきりしている韓国では、季節の変わり目が美しい。今韓
国はどこもかしこも色づき始めている。建物の中だけで仕事をするにはもったいない
ほどいい天気が続き、紅葉で色づいた窓の外の景色をさらに際立たせてくれる。
先日、「原発廃棄物についての説明会」が韓国の西南にある全州で開かれた。全州
は「ビビンパプ」で有名な場所である。なぜそこでこういった説明会が開かれたかと
言うと、今年の7月26日に全州に近い「ブアン郡ウィ島(地名)」から核廃棄物処
理場を誘致したいという申請書が出され、それが政府に受け入れられたからである。
ウィ島は、黄海側にあるきれいな島だ。海水浴場もあり、朝鮮時代に作られた文化
財級の家屋も残っているという。だが、島の暮らしは漁業も芳しくないらしい。そこ
で、ブアン郡の郡守は原発廃棄物施設を誘致することに決めたと言う。
しかし、誘致を希望したのは村の人たちの総意ではないらしい。なぜなら、誘致に
関する報道がされてから、ブアン郡では猛烈な反核デモが起きているからだ。反対デ
モをしている人たちは、ウィ島の人たちではなくブアン郡の陸地側の人たちである。
彼らの反対デモは半端ではない。マスコミの報道によると、ブアン郡に住んでいる人
たちの子供たちは、デモの初期には義務教育さえボイコットした。学校には1ヶ月ほ
ど教師だけのがらんとした状態が続いたという。
毎日のように開かれるデモに参加しているのは、ほとんどおじいさん、おばあさん
である。彼らは、「核廃棄物処理場で核が爆発する」と信じていて、「核は安全で、
放射能は自然の中にもあるんですよ」というと、「お前は政府から2億ウォン(2千
万円)はもらってるな?」と、凄むらしい。これは、一緒にいた全州のマスコミ関係
者から聴いた話である。
今回の説明会の前日に「原発廃棄物に関する国際シンポジウム」がソウルで開かれ
たことに対しても、なぜ実際の争点になっているブアン郡でシンポジウムを開かなかっ
たのかという人がいた。これに対し主催者側の人は申し訳なさそうに、「私たちも警
察を動因してでもブアンで説明会をした方がよかったかもしれません。しかし、そち
らの様子がわからなかったので全州止まりになったのです」と、答えた。
その時、青森県六ヶ所村から来た医師が「ブアンで反核デモをしている人に怪我を
させられた人がいることを知っています。しかし、私はブアン郡に行って講演をする
覚悟でこちらに参りました。私も怪我をするかもしれないけれど、それでも私は行き
たいと思います。なぜなら私は医者です。医者は真実を伝えなければならないからで
す」。会場からは拍手が巻き起こった。
また、六ヶ所村の前村長である土田浩氏は、当時毎日のように反核デモの人たちや
マスコミの相手をした時のことをこう思い返した。反核デモをする人たちには「原子
力が私たちの公共の利益に大きな役割を果たしていると理解するなら、私たちはみん
な責任がある。無知な大衆の恐怖心を煽る無責任な反対のみでは問題解決はできない。
ただし、あなた方の主張は操業者の緊張とヒューマンエラーを防止するのに効果的な
ので、節度ある運動はぜひ続けてほしい」と言ったそうだ。
今六ヶ所村は国から地方自治体に支払われる交付金を受けなくてもいいほど財政の
しっかりした村となった。韓国のウィ島と陸地側のブアン郡にはどんな人たちがいる
のだろう。実際にその場所へ行って彼らの主張を聞いてみたいと思った。
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Younghee Ahn(アン・ヨンヒ)
韓国生まれの韓国人。小学四年から高校一年まで、大阪在住(大阪の北野高校に最年
少で入学、韓国へ転勤になった父親と共に帰国。いわゆる帰国子女組)。日本語の修
士課程卒業。同時通訳からスタートして、放送コーディネーターや翻訳、トレンドに
ついてのレポートなどを発表。今は、韓国の女子大で、日本語の講師も務める。
著書に『シナブロ(知らぬ間に少しずつ)』(小学館)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4093860971/jmm05-22
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■ 『南からの声 ジンバブエ・レポート』 秋山寛 第53回
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「やがて来るその日」
ネット配信のニュースを見ていると日本は選挙一色のようですね。与党の勢いが圧
倒しているような報道が多いのですが、遠くから見ていると、かつての橋本政権の突
然の敗北の時に似ているような気がするのは私の気のせいでしょうか。
ジンバブエでは、与党への支持は明白に激減しています。いままで、盤石だった軍
部でさえ、ムガベ大統領への批判が高まっているような状況です。追いつめられたム
ガベ大統領は深刻化する紙幣不足に対し、なんと、紙幣の変わりに大量の定額の小切
手を発行するという非常にトリッキーな裏技を打ち出しました。たとえて言うと、1
万円札が足りないので、もっと手軽に印刷できる1万円のトラベラーズ・チェックで
代用し、それが街にあふれているというような状況です。どんなものであれ、人々が
信任すれば貨幣として流通するわけで、貨幣論の本質を確認するための実験に立ち会っ
ているような気分です。
しかし、そんな暢気なことばかりも言っていられません、現実はますます厳しくなっ
ているのも事実で、1USドルは、3ヶ月前に2,000ZD(ジンバブエ・ドル)
だったのが、今は5,000ZDになっています。もちろん、オフィシャルレートは
変わっていません。
そんな状況なので、どうしても仲間うちの会話は、いかに、やがて来る「ムガベ後」
に備えるか、という話ばかりです。そのとき、自分の仕事を、生活を、どうやって守っ
ていくか、その為に今何をするか、悩みの種はつきません。
援助関係者は、「誰からも中立的な立場として認められている」ように思われがち
ですが、その根本的な行動原理として、紛争状況を否定するので、紛争当事者からは、
〔敵の味方=敵〕と見なされることもしばしばあります。ひどいときは紛争の当事者
双方から敵と見なされることになります。現在のジンバブエでも、ムガベ政権側から
は、植民地支配者の手先と言われ、野党MDC側からは、独裁政権と妥協して日和っ
ていると非難されています。ただ淡々と可能な援助を模索し、プロジェクトをストッ
プさせないことが、ジンバブエの援助関係者にとって、現在の最大の目的です。
ガソリン不足で国内旅行にもいけないし買出しも兼ねて、と近くの国に行くと(外
国と言っても東京から名古屋まで行くような感じです)、ジンバブエから来たと分かっ
たとたん好奇・同情の目で見られることが多くなりました。特に、我々東洋人は、一
目見て外人だと思われるため「なぜ、わざわざ、あんな国に住んでいるんだ」とあら
ゆる場所で聞かれます。親しくなった南アの中華料理店では、「いくら仕事だといっ
ても、家族まで危険な目に遭わせて平気なのか」と叱られたほどです。いくら何でも、
治安の悪さで有名な南アでそう言われるとは思いもよりませんでした。
そう思って調べてみると、いかに長老崇拝の強いアフリカでも、しかも、周辺国の
独立の恩人ではあっても、最近のジンバブエの状況には、各国とも少々持て余しぎみ
のようです。まず、報道のスタンスが変わってきました。以前は、「イギリスの不当
な干渉により国が分裂させられそうになっている」という感じだったのが、最近は
「今だにひどい混乱が続いている。何とかしてくれよ」という感じです。
実際、隣国で同一部族の住む南アやボツワナへのジンバブエ人の流出は、さらに激
しくなっていますし、さらにその隣国である、ナミビアにも流れ込んでいます。南ア
では、国境の警備が強化され、国境付近の農場での労働者のチェックが厳しくなって
います。ボツワナは、ダイヤモンドなどが出土するため、アフリカでは豊かな国です。
日本でも、日本の国債の各付けがボツワナ以下だったということで有名になったよう
ですね。
しかし、国の富は一部の金持ちたちが独占し、大多数の国民は貧しいままです。悪
いことにジンバブエとの国境周辺は、半乾燥地域で貧しく、知り合いを頼ってという
レベルならなんとか支えることができたでしょうが、大量の人間を受け入れるだけの
余裕はとてもありません。結局、多くのジンバブエ人は泥棒か乞食になるしか生きる
術はないのです。
元来、大人しいジンバブエ人なので、強盗はできず、食べ物目当てのかっぱらいや
コソ泥、空き巣ばかりとのこと。なかには、なんと空き巣に入った家で料理を作り、
家族で食事をして逃げていく者も多いそうです。なんだかユーモラスな話ですが、空
き巣に入られる側も、貧しいことに変わりはありません。ジンバブエ人に同情はする
ものの、食べ物を盗られていては、自分たちが飢えてしまいます。
新聞によると、何度も空き巣に入られ頭にきた男が、ある日、ネズミ駆除の毒を入
れた粥を鍋に残し、外出しました。その男が帰宅すると、家の中で3人のジンバブエ
人が死んでいたそうです。殺人犯として、その男は逮捕されました。「泥棒を懲らし
めてやろうと思っただけで、死んでしまうとは思わなかった」と供述しているそうで
す。飢えのために弱りきった体は、その程度の毒にも耐えられなかったようです。新
聞には載っていませんでしたが、稼ぎ手を失ったその男の家族は、路頭に迷うことに
なってしまうのでしょう。
貧しいモノがさらに貧しいモノを蔑むということ。先進国では信じられないような
些細な事で、あっけなく人々が死んでいくこと。やりきれない、しかし、ありふれた
アフリカの現実の一こまです。
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秋山寛
早稲田大学卒。東京で情報通信・金融関係での勤務を経て、現在は、主として金融面
からアフリカ開発をサポートする業務のため南部アフリカのジンバブエ共和国ハラレ
在住。
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