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天野哲夫、沼正三、「家畜人ヤプー」、そして、三島由紀夫。及び、「右翼」による「家畜人ヤプー」の出版社への襲撃事件(昭和四十五年)
http://www.pavc.ne.jp/~ryu/
投稿 平成15年11月07日00時38分
太田龍の時事寸評
平成十五年(二〇〇三年)十一月六日(木)
(第七百五十三回)
○天野哲夫著「異嗜食的作家論」(昭和四十八年芳賀書店)。
○そこに、
「家畜人ヤプー」考察
三島由紀夫と「家畜人ヤプー」と言う二編の論稿あり。
○「天野哲夫」は、しばらくの間、「沼正三の代理人」と称して各所に
姿を現わしたと言う。
○のみならず、「天野哲夫」の名前で、だいぶ前から、著述を公表して
居たことに、筆者はごく最近、気付いた。
○しかし、最近に成ると、実は「天野哲夫」は、「沼正三」その人で
あって、その代理人ではない。
「沼正三」の本名が「天野哲夫」であると言う。
○つまり、「天野哲夫」と言う実在の人物が、「沼正三」のペンネームで
「家畜人ヤプー」を書いたと言う。
○前記「異嗜食的作家論」の最初の二編に、三島由紀夫と天野哲夫
(沼正三の代理人としての)の関係、及び、三島由紀夫と
「家畜人ヤプー」の関係が、詳述されて居る。
○昭和四十五年、都市出版社が「家畜人ヤプー」を出版した。
○そのあと、右翼が、その「都市出版社」を襲撃した(前出、二十九、三十頁)、
とある。
この件は、筆者は知らなかった。
○もちろん理由は、
「皇室を侮辱し日本民族を凌辱する国辱の書」、と言う。
○しかし、三島由紀夫は、「家畜人ヤプー」は「奇讀クラブ」に連載されて居た
頃から、昭和四十五年十一月二十五日の自決の日に至るまで、首尾一貫
した、熱烈に「家畜人ヤプー」を支持し、そしてその出版を推進した、と言う。
○昭和四十五年十一月二十五日午前十時四十分頃、
天野辰夫(こと沼正三本人)は、出来たばかりの都市出版社の
「家畜人ヤプー」の二千部限定豪華本を、三島由紀夫の自宅に
届けたとある(二十五頁)。
○しかし、三島本人は不在であった。
○それから、同じ本を、渋澤龍彦氏宅へも届けて、そのあと、タクシーの
中で、三島事件についてのラジオ報道を聞いた、と言う(三十一頁)
○この記述では、天野辰夫氏は、生前三島に対して、「沼正三の代理人」
でなくて、「沼正三本人」であることを明らかにして居たかどうかは
明らかでない。
○なお、前出の書、三十一頁に、
三島由紀夫が、西ドイツの代表的出版社ローボルト社の通信員、
グリディン氏宛てた手紙の中で、「日本自ら首をつるべし」と、痛憤の
文言を書いた、とある。
○このグリディン氏あての手紙が、その後、三島由紀夫の全集に収録
されて居るかどうかは分らない。
○この問題は、今後、更に検討考察を深めて行きたい。
(了)