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■01■「夢の蓄電装置キャパシタ=v
ニュースステーション ディレクター/平野 貴人
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「キャパシタ」という装置をご存知でしょうか?この耳慣れない名前にピンとこない方
もコンデンサーという名前はどこかで耳にしたことがあるかと思います。電気を貯め
る装置です。「何だ。バッテリーか」と思われるかもしれませんが、似て非なるもの
と言っていいでしょう。
ニュースステーションは先月2日の放送(http://www.bekkoame.ne.jp/~oriharu/jvideo.htm#Capacitor">動画)でこのキャパシタをかなり詳しく取り上げた
のでご記憶の方も多いと思います。「ナノゲート・キャパシタ」と呼ばれる、従来の
キャパシタの性能を飛躍的に上回る高性能キャパシタが開発されたという話です。
この高性能キャパシタが、もしかすると世界のエネルギー問題を一気に解決してし
まう切り札となるかもしれません。そして同時に日本再生の鍵となるかもしれませ
ん。この開発成功の裏に一人の独創的な研究者がいたことと併せてキャパシタに
ついて紹介したいと思います。
キャパシタというのは昔からあります。電子回路に使われるコンデンサーの一種で、
ごくありふれたものです。例えばコンピューターを自作したりする方はよく知っている
でしょうが、コンピューターの心臓部とも言えるCPUにもキャパシタがデンとそびえ
立っているくらいありふれている。しかし、とても重要なものです。
電気を貯める装置と言っても一般的な電池とは全く仕組みが違います。通常の電
池は化学反応を利用して電気を貯めています。一方、キャパシタは電気を電子とし
て物理的に貯蔵する装置です。つまり電気を貯める際に化学反応を必要としません。
そのため、化学反応を必要とする電池が持つ欠点、「寿命が短い」「原料の危険性」
「使用できる温度範囲が狭い」といった欠点がキャパシタにはありません。
キャパシタの寿命は半永久的ですし、原料も無害に近い電解液と炭素でできてい
るため極めて低公害です。低温で性能が低下するバッテリーと違い、キャパシタは
暑かろうが寒かろうが性能は常に安定しています。加えてバッテリーは一気に大量
の電気を出し入れすることが苦手ですが、キャパシタは大量の電気を瞬時に充放電
することが可能です。パソコンや携帯電話の電池の充電には時間がかかりますが、
キャパシタは瞬時に充電することができるのです。
いいことずくめのキャパシタにも一つだけ泣き所がありました。蓄電できるエネルギ
ー密度が電池よりも低かったのです。しかし世界中の研究者たちは、キャパシタの
エネルギー密度を何とか上げる方法がないものかと研究に取り組んできました。
蓄電容量を除いて、キャパシタが電池よりも優れた特性を持っていたからにほかあ
りません。例えばアメリカのエネルギー省でも研究が進められましたが、この難題
を克服することができませんでした。
ここである独創的な日本人研究者が登場します。
岡村廸夫(おかむら・みちお)さんです。
岡村さんは1959年に早稲田大学電気工学科を卒業。日本原子力事業(現在の
東芝)に入社します。1964年にアメリカのアルゴンヌ国立研究所へ留学。原子炉
制御と放射線計測を専攻し、以後、20年以上に渡って、黎明期にあった原子力の
平和利用、つまり電子力発電の立ち上げに力を注いだのです。
岡村さんは1987年に日本原子力事業を定年退職した後、これまで誰もできず、
不可能とされてきたキャパシタの研究に取り組み、そしてとうとう、その大容量化に
成功したのでした。1992年のことです。
その発明は、ふとしたことがきっかけだったそうです。自宅の庭で、仲のいい野良
猫と遊んでいた岡村さんは、フィルムシートで猫の背を擦り、静電気で毛を立てて
遊んでいた際、電気を電子として溜めるキャパシタを思い出し、その限界であった
エネルギー密度の低さを改善する方法が頭に浮かんだというのです。
その後、数日でそのシステムをコンピューター上でシミュレーションすることに成功
した岡村さんは、かつての仕事仲間にその話を伝えたそうです。仲間たちは驚くと
同時に、会社を辞め、岡村さんの考案した新しいキャパシタシステムの実証のため
に協力しました。
当初の実験には経済産業省・資源エネルギー庁の外郭団体「新エネルギー・産業
技術総合開発機構(NEDO)」によって数億円の資金が拠出され、ついに技術的な
裏づけが得られました。
岡村さんが考案したキャパシタ(ECaSS=イーキャス)は、電池に匹敵する蓄電容
量を持っていることが分かり、多くの企業が岡村さんと技術指導契約を結び始めま
す。その中には日本電子、三井物産、ホンダ、日産ディーゼル工業、中部電力、東
京電力、指月電機など日本を代表する企業が名前を連ねています。
ECaSSが現実の商品として世に出てきたのは去年のことでした。日産ディーゼル
工業はバッテリーの代わりにキャパシタを搭載した、ディーゼルエンジンとモーター
併用のキャパシタハイブリッドトラックを世界で初めて実用化し、去年、「省エネ大賞
・経済産業大臣賞」を受賞しました。ホンダは、世界で初めて市販化された燃料電
池自動車にECaSSを搭載しました。
従来に比べて飛躍的に性能を高めたECaSSがようやく商品化されたばかりだとい
うのに、先月、日本電子から、さらに驚異的な研究成果が発表されました。それは
ECaSSの約10倍のエネルギー密度を実現した「ナノゲート・キャパシタ」の開発で
した。このナノゲート・キャパシタがいかに凄いものであるかというと、エネルギー密
度は自動車などに搭載されている鉛電池の2倍から3倍、ニッケル水素電池と肩を
並べ、大型用では安全性の点で容量を抑えざるを得ないリチウムイオン電池に迫る
ものです。今後の研究によってリチウムイオン電池のエネルギー密度に近づくのは
そう難しくないといいます。
高性能キャパシタの登場によってどのようなことが可能になるのか。キャパシタは
世界のエネルギー問題を解決する切り札であり、日本再生の鍵になると書きました
が、次回はその辺のお話をしたいと思います。
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