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西洋の狭い枠内でキリキリ舞して居る、ポール・ヴィリリオ
http://www.pavc.ne.jp/~ryu/
投稿 平成15年10月18日00時09分
太田龍の時事寸評
平成十五年(二〇〇三年)十月十七日(金)
(第七百三十三回)
○現代フランスの思想家、ポール・ヴィリリオ(一九三二〜)を読み
始める。
○「自殺へ向う世界」(平成十五年十月NTT出版)まで、合計十冊の
邦訳本をまとめて読み始める。
○この人は、フッサールの現象学が、気に入りだと言う。
○しかし、八十年前のフッサールの次元に、とどまって居たいわけでも
ない。
○この人は、「速度」を問題とする。
○そこで、ただちに、アインシュタインの相対性原理と、そこに示された、
絶対速度としての光の速度に突き当たる。
○それは単なる物理学の抽象理論の中の一つの項目、ではない。
○ヴィリリオは、この絶対速度としての光速度が、現代政治の、又は、
現代西洋文明の、中枢部分に入り込んで来る過程を見る。
○しかしその結末はどう成るのか。
○ヴィリリオの最新の著作は、
Ce qui arrive
だと言う。
○これを、邦訳本は、
「自殺へ向う世界」、とする。
○つまり、
我々はどこへ行き着くのか?
と言うと、
我々(世界)は自殺へ到着する、と。
○ヴィリリオをずっと読んで行くと、
我々(世界)が自殺へと到着する、
その理由は、
絶対速度としての光速(が人間の文明の中に入り込んで来たこと)の
せいである、ことが分る。
○ここでの説明は省略する。
○「速度」には、四つの要因が含まれる。
即ち、
(1)時間
(2)空間
(3)質量
(4)運動エネルギー
○しかし、アインシュタインの公式によれば、(3)の資質と、(4)のエネルギー
とは、互換的であるから、これを一つ(質量とエネルギー)にくくることは
出来る。
○しかし、これは、西洋の枠内にとらわれた見方に過ぎない。
○現代西洋自然科学、ひいては、西洋「文明」には、幾つかの公理、問答
無用の大前提、なるもの、もしくは彼らの「文明」の柱が存在する。
○即ち、
(1)物質不滅の法則。
(2)光速(一秒三十万キロメートル)最大の法則。
(3)不確定性原理。
(4)熱力学、エントロピーは不可逆的に増大すると言う法則。
○光速記録速度。
これはどうか。
○ここには、西洋文明の根本的矛盾と、誤謬が濃縮して居る。
○速度とは、質量が或る時間に走る空間の長さによって測定される、と言う。
○それでは、ここに言う時間と空間とは何者か。
○ここで、
胡蘭成著
「日本及び日本人に寄せる」(昭和五十四年)、百五十三頁以下。
無限時空と有限時空の統一法則、
この箇所を参照のこと。
○西洋は無明(むみょう)である。
○西洋に、文明の悟りはない。
○それは、明治人が、英語の「シビリゼーション」に、文明の訳語を
当てたのは、致命的な失敗であった。
○西洋に無の悟りはない。
○故に西洋人は、無限時空を知らない。
○無限の時空から、有限の時空がいかにして生まれて来るかを知らない。
○ヴィリリオと言うひとは、このギリギリのところで思想的格闘する。
○以下、ヴィリリオを検討して行こう。
(了)
・・・ああ、科学哲学は、おそろしや。議論は、「昼休み」でしましょう。(とても、ロマンティックな学問手法ではあるが、理解できる人が著しく少ないように思うからです。そもそも、知的娯楽としての側面が強い分野であるし。)
〜参考
・科学哲学とは、なにか。
http://www.asyura2.com/0311/lunchbreak1/msg/119.html
投稿者 乃依 日時 2003 年 10 月 18 日