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(回答先: 社民共産では間に合わないですかーースパルタクスさんへ 投稿者 長壁 満子 日時 2003 年 9 月 27 日 20:30:49)
その通りなのです。では資本主義でも共産主義でもないとしたら、その哲学・思想的フレームワークを誰がどのように提供するのか？
この課題は最終的には、どこかの現実をよくわきまえた英才に解決してもらうしかないように思いますが、結局社会を構成する我々一人一人の意識、ひいては社会そのものが成熟するのを待つしかないのかな、という気もするのです。
もう5年も前に英国のTV・新聞で報じられた話ですが、ロンドン西部の高級住宅街に一人の高齢者のホームレスがいました。その人は未亡人で元々はオペラ歌手や音楽学校の教師などやっていた人なのですが、なぜか零落して路上に放置された車の中に住んでいたのです。靴もなくスーパーのビニール袋を足に巻き付けているような暮らしぶりだったようです。でも毎朝アリアを美声で聞かせるなど、近所の人々には人気があったのです。
ある日彼女が住んでいるために住宅価格が下がることを心配した不動産屋が、裁判所の命令を取り付けて彼女を立ち退かせようと試みたところ、地域の人々が団結して「ＸＸＸ（その女性の名前）を守る会」を結成して彼女を守りおおせたのです。「毎朝それはきれな声で私たちを楽しませてくれて、何も悪いことをしていないのにどうして追い出せますか？」と近所の主婦がＢＢＣのインタビューに答えていました。勿論この人も彼女が住みついているために不動産価格が悪影響を受けている一人なのです。このエピソードは「人々は財産や金だけでない、別の要素にかられて行動しうるのだ」という確信を与えてくれました。
もうひとつ個人的な経験なのですが、もう8年も前、北ロンドンに住んでいた時のことですが、近所の文具屋に絵の額縁をつるすヒモを買いに行ったときの話です。店頭にたまたま商品がなかったので店員のおばさんが屋根裏の倉庫に、100円もしないかつ糸を探しにいって10分も降りてこないわけです。その間商品がみつかるまで、はるかに値段の高いボールペンなど買おうという客が私の後にいましたが、うんざりした顔で帰ってしまいました。この店員は100円もしない商品を売るために、1000円の客を逃してしまったわけです。要領のいい商売人だったら、「今そのヒモは在庫がなくて」とごまかして1000円の売上げを確保したことでしょう。これはあきらかに営業効率という資本主義の金科玉条に反する行動です。「毎日1パイント(ビールのこと：女性だったらおいしいお茶といったところか）飲んで楽しく暮らせればそれで満足」というような野心のない人間が英国の多数派だったことが背景にあります。
私はこういう英国でよくみられる牧歌的なメンタリティが好きだったのですが、大変残念なことにここ2・3年の不動産ブームで成金が続出したこともあって、もう上記のようなことは珍しくなってしまいました。みんなが目の色を変えて「不動産」と「宝くじ」の話をしています。おまけに受験地獄が原因で小中学生の自殺が頻繁に紙面をにぎわせます。まるで80年代の日本のような状況になってしまいました。大都市のパブなども、かつて港区などに乱立したカフェバーのような近代的なたたずまいにどんどん模様替えが進んで、ビールの値段も天井知らずです。私は田舎風の、となりで近所の子どもがどたんばたんと遊んでいるようなパブが好きなのですが。エジンバラでは情けないことに科学図書館が予算難で閉館してしまい、屋上庭園に飢えてあった樹木もみんな枯れてしまい寂しい限りです。本当に時計の針が逆に回ってくれないかなとさえ思います。
資本主義というのは、人間の物欲にとことんつけこむ哲学です。「ほらとなりの人がベンツを買いましたよ、あなたもうらやましかったらジャガーでも乗り回しなさい」と追い立てるのがその本分です。結果として人々は落ち着いた生活ができなくなります。こうゆうことはばかばかしくて幼稚な思考様式なのだ、と皆が達観してしまえばいいのですが。考える貨幣で測定された収益の最大化が行動指標となっているおかげで、「市場経済」の中で価格の暴落を避けるために一生懸命栽培した作物を捨てるたり、燃やしたりする農家が出てきます。欧州でも産出過多の「ミルクの湖」を作ったりすることがあります。一寸でも理性のある人だったら、これがどんなに馬鹿げたことか、地球上に飢餓状態にいる人々が何十億といる中で、どれほど不道徳なことかすぐわかるはずです。
市場原理だのグローバリズムだの国際会計基準など民営化（これは国民の財産の不正なたたき売りにすぎない）だの声高に叫んで、基本的にそれによって有利に金儲けできる一部の資本家のお先棒を担ぐのはほんとにやめてほしい。
そのくせマイクロソフトのゲイツのように政治的に独占状態を作って、逆に市場原理が機能できない状態を創造して、文字通りの「暴利」をむさぼるダニか寄生虫のような人間が、大成功者としてもてはやされます。米最高裁が独占禁止法を適用しようとしましたが、ビル・ゲイツは超不正選挙で大統領になった例の奴と同様、法の支配の枠外に居ることを証明しました（まるで禁酒法時代のアル･カポネ並！）。ここでも勿論金の力が物をいったことは言うまでもありません。数十億は裏で賄賂が動いたに違いありません。
死の商人も全く同じです。「国防機密」の錦の御旗の下に、影響力のある退役将軍・提督を雇ったメーカーが無競争常態で年鑑100兆円の巨大な収益をむさぼります。（F16のパーツのねじ1個が特別仕様だとかで何十万円もするなんて話をご存じでしょうか）冷戦終結後はやり方がますます荒っぽくなって、最近はタイムマシンで20世紀初頭まで逆行したかと錯覚させるような、古典的「砲艦外交」まで復活する始末。
こういうのをいわゆる近代経済学では「市場の失敗」と自然災害か何かのように呼びますが、勿論何の解決策もありません。間違いないのは、唾棄すべき最低品質のマイクロソフト製品に適正価格の何倍も金をむしり取られ、ビル・ゲイツの100年かけても使い切れるはずのない5兆円の資産をますます増すのに協力させられていること、税金としてむしりとられた金がどこかの兵器産業の売上げに化けて、結果的に中東のどこかの街で女子どもが殺されるのを助けているということ、そしてどうにかしないと事態はますます悪化するということだけです。
そこで取りあえず火急の課題は、とにかく他人の生命・健康・財産を犠牲にすることが収益の前提となっているような産業（死の商人、血液製剤問題を起こすような製薬会社、その他）は、道徳的に存在すべきでない、というコンセプトを少しでも広める（伝統的な左翼関係者などからは甘いと言われるでしょうが）行ってみれば緑の党などに近い考え方かもしれません。
要は誰がどう見ても不正なこと（よその国の女子どもの頭上に突然爆弾（それも劣化ウラン弾）を落とす、とか血液製剤の危険がわかっていて、製薬会社の利益を優先する官僚など）を不正として追及できることが第一原理です。そこに十戒など聖書だのキリスト教の理念だのマルクス主義の哲学だのは必要ありません。人間としての健全な常識の問題なのです。
それから先ほど民営化反対といいましたが、日本の道路公団のようなものに言及しているわけではありません。終戦直前に海軍工廠など国民の財産を二束三文で三菱重工などに払い下げたような、ことは背任行為だと行っているわけです。ちなみに英国でも鉄道の民営化など、明らかに失敗だったと評価する向きが増えています。が日本経済・政治機構の最悪の害毒はやはり、二十歳そこそこで受けたたった一回のペーパーテストの得点で一生寄生虫を決め込もうという、あの厚かましい官僚軍団だからです。
日本は総選挙が近いようです。私は選挙には参加できませんが、傍観者の無責任ではないですが、取りあえずはやはり平均的な市民の利害を代表しているはずもなく、逆に利権･既得権関係から不正なことを不正と指摘することが絶対できない自民党の議席数を減らさないと、どうにもならないと言う点では全く同感です。共産党は評判のよくない部分もいろいろあるようですが（ま、確かに宮本リンチ事件なんて、ガンとして事実を認めない無謬主義なんかが悪いのでしょうね。あのころは残酷な憲兵隊･特高警察の弾圧があって、緊急避難だったのだから勘弁してくれ、とでも謝ってしまえばいいのに。そうすればなかなか人間的な人たちなんだ、という印象を与えることができるかもしれないのに。人間を神格化するからこういうことになります。あと９・１１を謀略だと認めないなんていう問題もありましたね）、自民党を叩く勢力としては確かに他に見あたらないということもあり、もう少し議席が増えた方が良いと思いますね。何かの間違いで過半数を取りそうになったら（絶対あり得ないが）、そのときには共産党をほんとには信用できない有権者は自民党を応援すればいいのです。政治家以上に有権者がマキャベリスチックに行動すればいいのです。
浦島太郎状態で状況をよく知らない身を顧みず、つまらない話をしてしまい恐縮です。
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。