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湾岸戦争からの帰還兵は、筋萎縮性側策硬化症(ALS)を若年で発症するリスクが高い−−。1991年12月に米国退役軍人局が「湾岸戦争帰還兵にALS発症者が多い」と発表、大きな話題を呼んだが、その調査を裏付ける研究結果が発表された。いわゆる「湾岸戦争症候群」に対する研究で知られる米国Texas大学Southwestern医療センターのRobert W. Haley氏の研究で、先に発表された退役軍人局調査と併せ、2論文がNeurology誌9月23日号に掲載された。
Haley氏は、湾岸戦争に派遣された退役軍人69万人のうち、戦後8年間で17人が45歳未満でALSを発症したことを確認。こうした若年での発症率が一般市民における発症率とどの程度違うかを検討した。ALSは野球選手のLou Gehrig氏が罹患したことからルー・ゲーリッグ病としても知られ、Gehrig氏は30歳代での発病だったが、好発年齢は60〜70歳代で45歳未満での発症は極めて稀だ。ALSの5〜10%は家族性だが、この17人に家族歴は無い。
その結果、最初の4年(1991〜1994年)での発症率は同年齢層の一般市民とほぼ変わらなかったが、次の4年(1995〜1998年)における発症率は、一般市民の3.19倍(95%信頼区間:1.03〜7.43)になることが判明。神経毒による遅延性神経障害を伺わせるデータで、「湾岸戦争に関連した環境によるトリガーがかかった可能性がある」とHaley氏は結論付けた。
一方の退役軍人局調査は、発表から2年を経ての論文化。1990〜1991年に在籍していた軍人250万人のうち何人が、2000年までの10年間でALSを発症したかを調べた。
ALSの全発症者数は107人だったが、中東に派遣された69万人では、ALSの発症率が2倍近くになることが判明(相対リスク:1.92、95%信頼区間:1.29〜2.84)。発症リスクは空軍(2.68倍)と陸軍(2.04倍)で有意に高かったが、海軍や海兵隊では有意差がなかったという。
なお、この2論文に対する論説では、発症者数が約100人と少ないことを鑑みると、今回のデータだけで「湾岸戦争派兵とALSに関連あり」とは結論付けられないと強調している。とはいえ、過去には疲労感や筋力の低下、関節痛などを特徴とする「湾岸戦争症候群」と神経毒への曝露との関連を示すデータも報告されている。ALS発症者のパラオキソナーゼ(PON)など神経毒解毒酵素の活性や遺伝子多型などに、非発症者と差があるか否かも知りたいところだ。
2003.9.24