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http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20030928ig90.htm
暴力団や外国人による組織的な犯罪が、人々の生活を不安に陥れ、健全な経済活動の重大な障害となっている。
今年の警察白書は、深刻化する組織犯罪の現状と課題を特集した。警察の危機感を映してか、体面を捨て弱点もさらす、異例とも言える内容である。全国の捜査員にアンケート調査し、捜査上の問題点にも言及した。
外国人の犯罪組織が、急速に根を張りつつある。中国の上海と福建省の出身者による集団、韓国人の武装スリ団、コロンビア人の窃盗グループ、イラン人の薬物密売組織などだ。
それぞれの本国で、「短時間で大金を稼ぐことができる」「逮捕されても刑が軽く、初犯なら執行猶予で済む」といった、日本が犯罪天国でもあるかのような話が、広まっているという。
それが、不良外国人の入国を加速させている。強制退去させられても、また偽造旅券でやって来る。日本の治安体制にスキがない、捜査当局も手ごわい、と思わせる体制が急務である。
暴力団の武装化も進んでいる。その一方で、「組織や活動実態が見えにくくなり、資金獲得活動も巧妙化している」というのが、一線捜査員の声だ。相手の動きに、警察が対応し切れていない。
組織犯罪の典型として、拳銃や薬物の密輸、密売がある。拳銃の場合も、発砲事件は増えているのに、水際での密輸の摘発は年間数件にすぎない。押収数も七年前から減少の一途だ。
白書によると、核心情報を取れる捜査員が減っている。組織の報復を恐れ、被疑者が口を閉ざすようになったのも、犯罪組織の中枢に迫れない一因だ。犯罪の手口も一段と悪質、巧妙化している。
このような状況を踏まえ、白書は、捜査情報を入手し、組織犯罪を抑え込むために、おとり捜査など「新たな捜査手法の導入を検討する必要がある」としている。欧米の法制度も参考にして、早急に検討に着手すべきだ。
通信傍受法が施行されて三年が過ぎたが、昨年一年間に傍受が実施されたのは二事件だけだ。米国で一昨年、千四百九十一件の傍受例があったのに比べ、余りに少ない。極めて厳格な運用が求められているためだ。導入しても、威力を発揮できない仕組みでは意味がない。
白書は「国際社会では犯罪組織とテロ組織の一体化も懸念されている」とも指摘した。覚せい剤の密輸など、北朝鮮の国家的犯罪にも言及している。
治安対策を総点検し、治安関係機関の機能を強めて、この危機的状況を克服していかなければならない。
(2003/9/29/10:01 読売新聞 無断転載禁止)