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http://ne.nikkeibp.co.jp/device/2003/09/1000019972.html
三洋マービック・メディアは生分解性樹脂を利用したCD「MildDisc」を開発した(図1)。生分解性樹脂にはポリ乳酸(PLA:polylactic acid)を使う。ポリ乳酸の主原料はトウモロコシである。1本のトウモロコシから10枚のCDを製造できるという。MildDiscは音楽用CDやビデオCD,CD-ROMなどに向ける。三井化学との共同開発品である。
生分解性樹脂を使うことで,従来のCDが抱えていた廃棄時の環境負荷が大きいという問題を解決できる。植物由来の乳酸を使用しているため,従来使用していたポリカーボネート樹脂に比べて焼却時の燃料エネルギーが少ないからだ。また,土に埋めた場合でも2年〜5年で速やかに生分解する。ポリカーボネート樹脂の場合,廃棄時には焼却するか埋め立てる。焼却には高温で加熱できる設備が必要であり,埋め立ての場合には棄却したCDが半永久的に土中に残ってしまう。
今回,三洋マービック・メディアがCDの基板材料に生分解性樹脂を採用できたのは,CDの金型を高速かつ精密に転写する技術を開発できたためである。CDの金型の温度調整と,離形剤を工夫したことで固化の遅いポリ乳酸でもCDを作れるようになったという。
ただし,課題も残る。耐熱性と価格である。例えば,車内のような高温環境下では変形してしまうため放置できないという。価格についてはデータの書き込みやジャケットの印刷なども含めて,1000個購入時でディスク1枚当たり500円とする。
生分解性樹脂は環境負荷が小さいという理由から,ここ数年注目が高まっている。2002年秋にソニーが「ウォークマン」の筐体に採用しただけでなく,富士通もパソコンの筐体の一部に採用した。また,NECも2004年中に電子機器の筐体に生分解性樹脂を採用することを決めている。(伊藤 大貴)