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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030928-00000107-mai-soci
ディーゼル車の排ガスに含まれる粒子状物質(PM)による健康被害を防ぐため、東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県は来月1日から、条例で基準をクリアしていない車両の乗り入れを禁止する。罰則付きの厳しい規制に運送業者は対応に追われ、悲鳴を上げる。実効性はどうなのか。問題をはらみながら、環境改善に向けた一歩が踏み出される。【奥村隆、永山悦子】
規制対象は、初登録から7年を経過したディーゼル車(乗用車除く)。4都県で約70万台に上る。
東京都は、対象となる約20万台のうち、約8割がPM減少装置を付けるなど対策を済ませたが、約2割は間に合わないとみている。同様に埼玉県では約13万台のうちの半数、千葉県も約18万台の4割が間に合わない可能性がある。神奈川県は、約17万6000台のうち、約3万3000台は買い替えや装置の補助申請をしてきたが、他の14万台以上が対応を取っているか不明だ。
装置の発注が殺到してメーカーの在庫がなくなり、9月上旬には受注済みのDPF(粒子状物質除去装置=PM減少装置の一種)約1万基のうち約6割が、間に合わなくなった。このため、新車や装置を発注済みの事業者に「確認証明書」を急きょ発行し、最大3カ月まで取り締まりを猶予する措置が取られた。
対策が遅れているのは、零細な運送業者だ。PM減少装置の装着には、都が2分の1、国が4分の1を補助していたが、国は今年6月11日、補助申請額が予算枠(40億円)を上回ったとして突然打ち切った。都トラック協会(中西英一郎会長)によると、装置の中には140万〜192万円かかるものもあり、事業者負担は、両方から補助を受けても60万〜99万円に達していた。
自家用ダンプの「一人親方」らでつくる全日本建設交運一般労組・全国ダンプ部会(杉山忠通部会長、約8000人)は、今年1月以降、組合員が約500人減少した。杉山部会長は「実質所得が200万円台で、新車を買いたくても買えず、負担に耐えられず廃業していった仲間が多い」と話す。同労組は10月1日、都内でダンプ30台によるデモを展開し、国とメーカーの責任を問う。
◇監視の限界も
規制の実効性はどうか。首都圏を走行する車の約15%は4都県以外に事業所があるとみられ、他県でどの程度対策が取られているか未知数だ。
栃木県は5月29日、PM減少装置の装着費用の4分の1補助を始めた。ところが、国との協調補助だったため、2週間後に国が補助を打ち切ると、2億8000万円の予算を使い切らないまま補助を中止した。
10トンダンプに砂利を積んで川崎市まで往復している同県都賀町の運転手、工藤経見(つねみ)さん(50)は「大気汚染対策はいいことだが、車のユーザーだけに負担を押し付けるのは納得できない」と憤る。工藤さんは既にDPFを発注済みだが、周囲には、あえて対策を取らずに「ダンプを処分する」と言う人もいるという。
東京都は10月1日から、夜間でも車両ナンバーを読み取れる暗視カメラを主要道路に設置し、自動車公害監察員(自動車Gメン)75人がビデオ画像を解析して違反車を取り締まる。ナンバーを基に、登録された車検証データで規制対応済みか分かる仕組みだ。検問には警視庁の警察官も同行し、車検証の提示を求める。
それでもすべての道路での監視は不可能。偽造された規制適合車用のステッカーが、インターネットオークションで販売されるなど、混乱は続いている。
◇国も対策本腰
石原知事から「手ぬるい」と批判を浴びている国だが、小泉純一郎首相は今回の内閣改造で、小池百合子・新環境相に「排ガス規制の強化」を重点施策として指示するなど、「世界最高レベル」の規制実現へ本腰を入れる方針だ。小池環境相は「国と首都圏の条例が合わさり、規制が前進することはいいこと」と、都に一定の評価を示す。
05年からの国の規制強化では、PMを現行規制値から最大85%削減し、米国や欧州を上回る予定だ。燃料の軽油に含まれる硫黄分も07年から現在の5分の1に減らす。
NOx・PM法で首都圏と同様に、排出基準を満たさないディーゼル車が05年から段階的に車検登録できなくなる大阪・兵庫圏、愛知・三重圏も、独自の取り組みを始めている。
条例制定を目指すのは兵庫県。基準を満たさない大型ディーゼル車を対象に、神戸市や阪神間の一部への乗り入れを規制する県環境保全条例改正案を9月議会に提出した。昨年12月の骨子案では、県内の対策地域全域(11市2町)への乗り入れを禁止していたが、運送業界などの反発が強く、地域を縮小した。
大阪府は9月から、府の関係機関への物品配送に原則としてディーゼル車を使わない「グリーン配送」を始め、10年度までに低公害・低排出ガス車の200万台普及を目指す。
愛知県も10年度までに低公害車の300万台普及などでPM排出量を00年に比べ半減させる「新世紀自動車環境戦略」を定めている。
◇粒子状物質減少しても すす自体は消えず
都の排ガス規制と言えば、石原慎太郎知事が真っ黒な「すす」の入ったペットボトルを振ってPRする姿が有名だ。ところが、規制の実効性とは別に、すす自体が全くなくなるわけではない。
4都県の規制に対応するPM減少装置は2種類ある。年式が古い車に義務付けられるフィルター方式のDPFは、すすも含めてPMの粒子を直接除去できる。ただ、百数十万円と高額だ。
一方、94年の国の規制適合車以降の車は、酸化触媒方式の装置でも対応でき、価格は数十万円と比較的に安い。ところがPMの一部である一種の燃えかす(SOF)を除去する仕組みであるため、すすはそのまま排出されてしまう。
都環境局は「最近の研究で、主にSOFが健康に悪影響を与えていることが分かってきた。酸化触媒方式は、すすの排出自体が少ない新しい車に限定している」と実質的な効果を説明する。
ただ、業界関係者からは「排ガスがかなりきれいになるにしても、黒い煙が大きく改善されないのでは、視覚的効果がない」との皮肉も出ている。(毎日新聞)
[9月28日10時12分更新]