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森田実氏:2003.9.16 小泉政権と癒着するマスコミに反省を求める 【テレビ朝日のことかな?】
http://www.asyura.com/0310/hasan29/msg/153.html
投稿者 あっしら 日時 2003 年 9 月 24 日 18:18:14:Mo7ApAlflbQ6s


「虚栄心は、それが満たされるべきときでなければ道理を聞き分けない」(ジュルベール、18〜19世紀フランスの思想家)

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 虚栄心とは空虚な自信をもつ心理のことだ。政治家や学者、ジャーナリストが陥りやすい心理である。虚栄心に陥った者に対してその非を説いても容易に納得は得られない――このような経験をした人は少なくないと思う。
 マスコミ界で働く報道記者や編集者のなかには、虚栄心の塊のようなタイプが少なくない。このようなタイプの記者が政治権力から煽てられると、ジャーナリズムは大きな過ちを犯す。そうなると、ジャーナリズムは世の中の攪乱要因になる。第二次世界大戦に向かう時の日本のジャーナリズムがそうだった。大新聞は「大本営発表」を無批判に流しつづけた。軍国主義のお先棒を担いだ。最近のマスコミの動向を見ていて、マスコミはその轍を踏もうとしているのではないか、と私は心配している。政治ジャーナリズムは政治権力に弱くなった。
 最近身近で起きたことを紹介しよう。
 今回の自民党総裁選のなかで小泉氏は最も劣った候補だと私は思っている。小泉首相はブッシュ政権の言いなりになって、日本にマイナスばかりもたらしてきた。4候補中、とくに経済政策の面で比較すると、亀井静香氏の政策が最も優れていると私は考えている。このことを私はすでに何回も書いてきた。
 数日前、あるテレビ局の番組の責任者から自民党総裁選をめぐって番組出演の依頼があった。私はいったん引き受けると返事をしたが、その時、彼はこう言った。「森田さんがどのような考え方をもっているかはホームページなどを見て知っている。しかし、わが社は小泉批判はしないことを社の方針として決めている。出演にあたりこの方針に従ってほしい」、と。これを聞いて私は直ちに出演を断った。私はこのような条件をつけられた時は、言論の自由に反するとして断ってきた。これは私の生き方である。無条件でなければ出演しないことにしてきた。「今後、君の局の番組には出演しない」と伝えるとともに、「君が“わが社の方針は小泉批判はしないことだ”と言ったことを私は公表する。テレビ局が権力者の側に立っていることを国民に知らせ、テレビ局のあり方を考えてもらおうと思う」と言った。
 翌日、そのテレビ局の旧知の大幹部から電話があった。彼は「当社は小泉批判はしないなどとの方針を決めたことはありません。政治に緊張感をもたらす政治報道を行うことがわが社の一貫した報道姿勢であり、森田さんの言論に条件をつけるつもりはまったくありません。“小泉批判はしない”との番組責任者の言は妄想です」と言った。その後、当人からも釈明の電話があり、この件は一応落着した。
 今は終わったことだが、考えてみるとこれはおそろしいことである。このことをマスコミ内部で働いている知人と話し合って教えられたことがある。マスコミ界のなかに小泉首相を支持するインフォーマルなグループができているとのことである。彼らは小泉勝利のために、フリーの言論人に対して陰に陽に圧力を加えているという。私が担当者の要請を黙って引き受けてテレビに出演していたら、この問題はおそらく永遠に「闇の中」に葬られたことだろう。今回、私は「政治報道はそういうことでいいのか」と強く抗議した。その結果、テレビ局幹部が公正・中立な政治報道を約束し、担当者も発言を取り消した。今回の“事件”を通じて、わが国の言論の自由が危うくなっていることを思い知らされた。

 以上は個人的な体験に過ぎないが、以下に記すことは大問題である。
 9月8日に自民党総裁選の告示が行われ、総裁選が始まった。ところが、この告示日前の6日から大新聞は一斉に「小泉再選確実」の大報道を始めた。いちばん際立ったのは毎日新聞だ。「毎日は小泉政権の機関紙になったのか」という声を最近よく耳にするが、9月6日の毎日新聞は「小泉首相過半数獲得へ」という大見出しの記事を1面トップに載せた。他紙も「小泉首相過半数に迫る」(朝日)、「首相、議員票で圧勝へ」(産経)、「首相一回目投票で再選も/議員票過半数の勢い」(東京)の記事を一面に載せた。「自民党のもう一つの機関紙的新聞」と一部の政治家から言われている読売は、早くも9月5日の朝刊で「首相、議員票過半数に迫る」と報じ、当日の夕刊には「『小泉再選』の流れ加速」との記事を1面トップに載せた。日経新聞が「小泉首相、再選確実に」の記事を1面トップで報道したのは9月13日のことだった。

 これらの「小泉再選確実」とのマスコミ報道を受けて、小泉政治に対して不満が強かった地方にシラけた空気が広がった。「投票しても意味がないのか」「小泉政権に代わる政権を願ってきたが無理なのか」という質問を地方に講演旅行に行くたびに地方の自民党員から受けた。私はそのつど、「一人一人の信念にもとづく投票が自民党のためであり、国のためでもある。せっかく投票権を持っているのならば棄権だけはしないでほしい」と話した。
 マスコミが自民党総裁選の告示日前から「小泉再選確実」という記事を大々的に流すのはあまりにも異常である。なぜマスコミは党員投票を無意味にするような報道を繰り返したのか。「批判的な一般党員のやる気をなくす作戦だ」との見方もある。小泉陣営のマスコミ担当者が「地方票の動向が最大の懸念材料だったが、マスコミが小泉圧勝の記事を流してくれたおかげで地方の空気は変わった。これで小泉勝利は決まった。マスコミ工作は順調」と語ったという情報もある。これが本当だとすると、大変なことだ。日本のマスコミは小泉政権の手先と化したのか?! 政治権力との癒着はマスコミにとって自殺行為に等しい。

http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C0606.HTML

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