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G7が円高間接的な誘導をした意味
G7(先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議)を控えて、日銀は為替介入を出来ないという見方から、市場では円が買われて114円台まで上昇してG7を迎えました。市場では、G7が終われば『円を買っていた(ドルを売っていた)投資家の円売り(ドルの買い戻し)が入り、更に日銀が為替介入(円売り・ドル買い)を行う』ことで、再び円は118円から120円前後まで戻るのではないかと思われていました。
しかし、G7が終わりますと円は一時111円台と更なる3円以上の大幅上昇となりました。
◆なぜ、円安になると思われていた為替市場で更に円高になったのか
円高になった理由は以下のように考えられます。
(1)これは、G7が日銀の為替介入に注文を付けたためでした。つまり、G7後の共同声明で『為替相場の柔軟性が望ましい』という一文が入ったことでした。日銀は今年8月末までで9兆円の円売り介入を行い、9月も既に1兆円の介入をしていると言われています。この介入による日本防衛という手段に対して、好ましくないという判断を先進国が行ったことが第一の要因と言えます。
(2)これまでは金利が下がり続けていましたし、新しい日銀総裁である福井総裁は非常に柔軟性があることで、今後も金融緩和を維持すると思われていました。しかし、景気の回復と株式市場の上昇によって『金利低下→円高阻止』という構図が壊れてきたこと、つまり金利低下によって円の上昇を押さえるという図式が壊れてきたことも一因ではないかと思います。
(3)2001年以来続いていた、115円を高値に125円を安値にしていた為替相場でしたが、2年半を超えて『どちらかに動きたい』という相場的要因もあったと思います。
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(4)1991年から日本の景気は後退し始めました(株式市場は1990年で1年2カ月ほど先行しました)が、他の先進国は米国経済と米国株式市場に引っ張られて成長し続けました。その結果として世界から見たもっとも割安な市場は日本市場となりましたが、この日本市場が13年振りに上昇に転じたことで、世界の投資資金が日本に流入し始めたことも大きな要因となっています。
ケン・ミレニアムでは2000年3月の長期展望レポート以来、円相場は1ドル=50円まで上昇すると言い続けてきていますが、今回が円の歴史的転換になる可能性は否定出来ないと思います。
▼長期展望はこちらをクリックしてください。
(5)前のリンゼー経済担当大統領補佐官とオニール財務長官は『円安容認派』でしたが、ブッシュ大統領がこの円安容認派の二人を切って、円高派のスノー長官を財務長官に就任させたということは、米国の為替政策が1995年以来8年振りに転換する可能性が出てきたということになります。
1985年9月23日にニューヨークのプラザホテルで行われたG5(5カ国蔵相・中央銀行総裁会議)で、円ドル相場を220円から190円、続いて120円、更に80円と上げ続けた米国は、1995年7月に当時のクリントン大統領によってドル高政策に転換しました。そして、今回再び9月22日からドル安円高政策に転換した可能性がありますが、円高ドル安政策は9月に転換する性質を持っているかも知れません。
そのスノー長官はG7後の会見では、為替水準について一切のコメントを避けましたが、それでも『市場原理に基づいた為替制度があってこそ、世界の貿易システムがもっとも機能する』と発言しました。
これは日本だけでなく、中国に対する巨額の貿易赤字が発生しているために、中国を睨んだ発言ではないかとも思われます。いずれにしましても、米国の為替政策がドル高政策からドル安政策に転換した可能性は、非常に高いのではないかと思います。
(6)日本は、1980年代半ばからアクション・プログラムと前川レポートを発表させられましたように、円高=規制緩和・構造改革という図式が出来ております。しかし、これまで日本政府も官僚も『この図式に抵抗し続けてきました』ので、今回も官僚と抵抗勢力は必死で『この図式に抵抗し続ける』と思いますし、小泉総理も急激な円高は困ると考えていると思いますので、当面は、急激な円高を防ぐ努力をしてくると思います。
日本の努力は当然ですが、この日本の努力に対して『米国がどのように反応を示すか』によって、為替相場の方向性が決まってくると思いますので、注目すべきは米国政府高官の反応ということになります。
米国には世界から巨額の投資資金が流入しておりますので、急激なドル安が続きますと『ドルの暴落』につながる危険性がありますので、米国としても一気にドル安誘導は行わないのではないかと思います。つまり、徐々にドル安誘導するのではないかと思います。
◆米国のもう1つの円高誘導の狙いは小泉総理の再選がカギになった
小泉総理が総裁選では第一回で過半数を獲得しました。しかし、今回の総裁選が終わり、選挙が終われば、そこから抵抗勢力と小泉総理の本格的な戦いが始まります。この戦いに対する米国の『小泉総理に向けたメッセージ』には意味があるのではないかと思います。
景気が回復し出し、株式市場も上昇し出し、抵抗勢力のドンと言われた野中氏を政界から葬り去り、派閥政治をぶち壊したような自民党の状況を作るというように、小泉総理が『ホッとする』環境が生まれてきました。
小泉総理は敵を作ることで求心力を発揮した政治家でした。その敵が古賀前幹事長と小物となってしまった田中派、言い過ぎてしまった亀井派では、小泉総理に緊張感がなくなりそうなことは誰にでも想像できます。この小泉総理の油断を引き締めるためには『円高(円高で日本経済は動けなくなる)』という新たなハードルを用意し、規制緩和や構造改革を進めなければ、日本の将来はないという環境を作ったのではないかと思います。
いずれにしましても、今後世界で一番潜在的な成長力が期待出来るのは日本経済と日本の株式市場ですから、今後の世界から日本に大量の投資資金が流入し続けますし、徐々に日本の一人勝ちの状況になってくると思います。ですから、円が50円という時代が来ても全く不思議ではないと思いますし、我々は1ドル=50円の時代の日本を想定して『今から準備する』必要があると思います。当然ですが株式投資でも『その心構えで投資戦略を考える』必要があるということになります。
具体的な項目については、このレポートでも順番に取り上げていきたいと思っております。