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BSE騒動から2年、700校が今も牛肉給食自粛
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030910-00000006-yom-soci
国内初のBSE(牛海綿状脳症=狂牛病)の感染牛が発見されて10日で丸2年。全頭検査などの対策で、消費も回復傾向にある。だが、農水省が先月まとめた調査では、学校給食で牛肉の使用を自粛している小・中学校が、全国で約700校もあることが分かった。
同省は市町村の教育委員会などに使用を再開するよう説得を続けているが、偽装事件の影響も重なり、一部の教育現場での不信は解消されそうにない。
給食での牛肉使用の自粛は、最初の感染牛が見つかった2001年9月から相次いだ。ピーク時の同年10月19日には、1743の区市町村が公立小・中学校などでの使用を取りやめ、給食を実施している学校の56%にあたる約1万6000校に上った。
同時期に、食肉牛すべてを検査する全頭検査が始まったことなどから、自粛校は、昨年9月には約2600校にまで減り、不信は収まるかに見えた。
だが、先月15日の集計では、53の自治体で計703校が使用自粛を継続。そのほとんどが首都圏の自治体で、特に都内では、区市町村の約3割にあたる21自治体の計436校で牛肉を使用していない。
東京都立川市は公立小、中学校計30校で、一昨年9月から牛肉の使用をやめ、月2回程度出していた牛丼やビーフストロガノフは、「豚丼」「チキンストロガノフ」に替えている。同市教委では今年5月、全校の父母約8000人にアンケートを実施。使用の再開への反対は7%にとどまったが、「家でも食べさせないという親もいた。国がいくら安全を強調しても、信用できるのかという不信感が背景にある」と担当者は指摘する。
2年前の自粛決定の際、解除の条件に「感染ルートの解明」を掲げた新宿区でも使用を控えたままだ。「給食は強制なので、1人でも怖いと思う食材は出せない」と同区教委。BSEだけでなく、牛肉の偽装事件が続いたことも長引く要因の1つ。世田谷区教委も「牛肉の使用を再開しようとした時に偽装事件が発覚。父母たちに解除を提案するタイミングを逸した」と説明する。
自粛校の9割以上を抱える農水省関東農政局では、先月から担当職員が自粛解除を求め、都内の自治体を行脚している。全頭検査やトレーサビリティー制度などの資料を手に安全性を説明しているが、「教委の担当者自身は理解してくれる。でも解除となると『納得しない父母がいる』と慎重な姿勢を見せる」と同職員。
首都圏で自粛校が多いことについて、給食を巡る問題に取り組む市民団体「全国学校給食を考える会」の野田克己事務局長は「東京のような大消費地では、食に関する情報も多く、食品を選ぶ選択肢も豊富なため、給食への関心が高いのではないか。国は感染ルートの究明も含め、今後も父母の信頼を得る努力が必要」と話している。(読売新聞)
[9月10日14時38分更新]