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死と嘘:占領下のイラクに平和は実現しない
タリク・アリ
CounterPunch原文
2003年8月28日
イラク再植民地化は円滑に進んでいない。イラク(そしてパレスチナ)での抵抗は、イスラエルと西洋のプロパガンダ屋たちが論じたがるように、イスラムが狂ったのではない。抵抗は、いずれの場合も、占領が直接引き起こした結果である。
今回の戦争が始まる前、我々の一部は、イラクの人々がどれほどサダム・フセインを嫌っていようと、米国と助手の英国に占領されることを喜んで迎え入れはしないだろう、と論じていた。
米国から資金をあまりに長期にわたって受け取ってきた自らを繭で閉ざしたイラク人たちがジョージ・ブッシュに、米軍兵士たちは首に花輪を掛けられ御菓子を与えられるだろうと語ったのと対照的に、我々は、占領が西側の兵士たちを毎日攻撃し殺害する事態を引き起こし、まもなく低強度ゲリラ戦になるだろうと警告した。
その後の出来事が後者の分析の正しさを立証しているという事実は、しかしながら、何一つ祝福すべきことではない。イラク全体が混乱状態にあり、状況は戦争前よりも遙かに酷い。
西洋のニュース・マネージャーたちが提供する唯一の説明は、抵抗は不満を抱いた旧体制の残党によるというものである。
今週、米国政府は、40以上にわたる抵抗組織を鎮圧するために、旧体制の国家機関である秘密警察を雇ったが、この行動は、自らのプロパガンダが嘘であることを示している。バスラのデモとさらなる英国兵士の死は、反サダム感情の拠点でも、抵抗闘争に参加する準備ができていることを示している。
バグダッドの国連本部爆破は西洋にショックを与えたが、APのジャミー・タラベイが先週バグダッドから送った記事で述べているように、一般のイラク人の中には、国連に対して深い両義的感情が存在していた。この表現は、控えめすぎる。
実際には、国連は、ワシントンの政策をとても無慈悲に適用する組織の一つと見なされている。50万人のイラクの子供たちの死と死亡率の恐るべき増加(UNICEFによる)の直接の原因である経済制裁を監視したのは国連である。二人の上級国連官僚デニス・ハリデーとハンス・フォン・スポネックは、こうした政策に抗議し、国連はイラクの人々に対する義務を果たしていないと述べて、辞任した。
これと同時に、米英は、国連の承認のもとで、1992年以来、何百トンものbくだんと何千発ものミサイルをイラクに投下した。1999年、米国の官僚は、落ち着き払って、ウォールストリート・ジャーナル紙に、もう標的がなくなったと語っている。
2001年に至って、米英のイラク爆撃は、米国のベトナム侵略より長期のものとなった。
多くのイラク人が国連に共感を抱いていない理由は、ここにある。最近、安保理決議が、国連憲章にあからさまに違反して、遡及的に占領を正当化したことは、怒りをさらに大きくするだけだった。
これらすべては、国連が今日、米帝国の作戦の後掃除をする以外に、何か役割を持っているのだろうか、という疑問をもたらす。
イラクにおける抵抗の影響は、占領勢力二国の中でも感じられるようになりつつある。ニューズウィーク紙最新号の調査では、ブッシュ支持率が18ポイント低下して53%になり、2001年9月11日以来始めて、登録有権者(49%)のより多くが彼の再選を望まないと言い始めた。イラクでの米国人犠牲者数が増加するにつれて、この状態は悪化(あるいは改善、どちらの言葉が適切かは視点による)されるだけである。
英国では、3分の2以上の人々が、今では、トニー・ブレアがイラクを巡って嘘をついたと考えている。体制の高官もこの見解を共有している。侵略前、軍内であからさまに不穏な状況があった。将軍たちの中には、中東における英国最大の植民地だった地域を占領するために英軍第三弾を派遣する準備を首相が進めている中で、英国首相がちっぽけなマスチーフのようにうなっているのを不愉快に見ている者たちもいた。
バグダッド制圧後、共同諜報委員会の元委員長でブレアの元国家安全保障顧問だったロドリック・ブレイスウェイト卿は、フィナンシャル・タイムズ紙に驚くべき投書をした。その中で、彼は、ブレアが、とても懐疑的な人々を戦争支持に回らせるため、意図的に戦争ヒステリーを仕組んだと批判している。魚屋は魚を売る。戦争屋は戦争を売る。ブレイスウェイトはこう書いている。ブレアは商品を空売りしたと。
体制内のこの怒りは、国防省の科学者ダビッド・ケリー博士の自殺とされる死により頂点に達し、司法調査が求められた。英国支配階級お好みの処置である。
今週、ブレアはハットン卿の独立調査委員会で尋問を受ける予定であるが、既に調査はのたうつ虫たちの山を露呈させた。
労働党がジオフ・フーンという名の才能に欠く凡庸な人物を、人々をなだめるための犠牲に差し出すという議論が進んでいる。けれども、フーンが一人で犠牲になることを拒んだらどうなるだろうか?結局、彼はどこに何があるか知っているのである。
そしてオーストラリアは?オーストラリアでは、首相---帝国主義の肩にとまった多年生のオウム---は、抵抗が始まる前に軍を撤退させることに成功した。ソロモン諸島でどうしても必要だったからである。ブレア同様、ジョン・ハワードも、戦争を正当化するために嘘偽りを繰り返した。そしてブレア同様、野党が自分自身の影に怯えるような弱腰の非効率的な政治家に率いられていたという点で幸運だった。
[そして日本は?日本では首相---ブッシュのためならいずこへもと宣言するオウム---は抵抗が始まっている中で憲法違反のイラク派兵法案をごり押しし立法化することに成功した。「どこが危険かなどわかるわけがない」と開き直り、「フセインが見つからないからといってフセインがいなかったというわけではない」という非−論理を振りかざして大量破壊兵器の不在を巡る議論を乗り切った(つもりになって)悦に入りつつ。野党が崩壊状態であるという点で、小泉首相も幸運だった。]
いつの日か、殺されたイラクの人々とアメリカの人々の子供たちは、何故自分たちの親が殺されたのかと聞くことになるだろう。答えは次のようなものになるだろう。政治家が、嘘をついたからだ、と。
一方、パレスチナとイラクの占領が続く限り、平和は訪れない。どんな言い訳をしようと、この事実を隠すことはできない。
タリク・アリはニュー・レフト・レビューの編集者で、The Clash of FundamentalismsそしてBush in Babylon(10月発売予定)の著者。
イラクへの自衛隊派遣を巡り、アーミテージ米国務副長官が、日本政府はイラク復興支援(ママ)から「逃げるな」と早期の自衛隊派遣を要求しました。復興支援(ママ)は「お茶会への出席じゃない」と[それはそうでしょう。復興支援(ママ)への自衛隊派遣は、国際法違反・憲法違反の犯罪行為ですから。一方、通常、お茶会への出席は、国際法にも日本の憲法にも違反しないはずです]。それに対して、政府は事前調査団の現地入りを検討するなど再び動き出しました。
今、こうした動きを阻止しなければ、まもなく、「いつの日か、殺された日本の人々の子供たちは、何故自分たちの親が殺されたのかと聞くことになる」事態に突入するでしょう。既に、不法なイラク侵略を支持したがゆえに、殺されたイラクの人々に対しての大きな責任を背負い込んだ上に、「専守防衛」と称してようやく憲法との整合性を保っ(ふりをし)ていた自衛隊員の命まで、しかも侵略行為への荷担のために犠牲にしようというのでしょうか。
同じことの繰り返しで、消耗しますが、とにかく、小泉首相(03-3592-1754; 03-3581-3883)と川口外相(03-6402-2551)に、侵略占領への荷担に反対し自衛隊派遣に反対するファックスを送ったりしましょう。イラクの状況がこれだけ悪く、人々がこれだけ占領に反対しており、米国のイラク侵略は犯罪行為であるという認識がますます広まってきた中、閣僚や議員にも慎重な声が多い中(自衛隊員の身の安全が第一の理由ではありますが、そこからさらに何故危険なのかという問いは、占領の不法性へとつながって行かざるを得ないはずです)、繰り返し声を届けていくことは、確実に、意味があると思います(少なくとも、届けないよりは・・・・・・)。
益岡賢 2003年9月3日
http://www.jca.apc.org/~kmasuoka/