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【バグダッド山科武司】イラクの暫定統治機構「統治協議会」(GC)を構成する主要政党の一つ、「イラク国民合意」(INA)のアリ・アブダルメール報道担当官が21日、毎日新聞と会見し、パイプラインの警備をイラク地元部族が担当することで米英占領当局(CPA)が合意したと述べた。米国は20日、米軍だけによる治安維持を転換し、イラク人の治安維持力を強化する姿勢を表明したが、具体的な内容が判明したのは初めて。「イラク人による治安維持」が成功すれば、イラクの治安状況の好転につながる。
アブダルメール報道官は「イラク国内には現在、国内外のテロリストや犯罪者が多数おり、治安を危うくしている」と現状を指摘。改善に向けて、警察官を3カ月以内に1万6000人増やして4万人に、2年後には7万5000人に増員すると表明した。
さらに経済回復の懸案材料となっているパイプラインへの破壊工作対策について「イラクの地元部族が警戒を担当することでCPAと合意した」と述べた。
アブダルメール報道官は、米軍と共同しながらも、イラク人自身がイラクを守ることの重要性を強調。「国の一体化へも大きな効果がある」と訴えた。
今月7日のヨルダン大使館爆破事件後、統治協議会は治安維持対策を担当する「治安維持委員会」を設置。委員長にINAのアラウィ事務局長が就任。INAが中心となって治安対策を検討してきた。
アブダルメール報道担当官との一問一答は以下の通り。
――現在の治安状況は。
◆最悪だ。INAは、米英占領当局の治安対策が間違っていたと考える。同局はフセイン政権時代のすべての警察官、軍人、治安担当者を解雇し、この国を無秩序状態にしてしまった。これがそもそもの間違いだった。我々はほぼすべての警察官、軍人の一部は残すべきだと訴えたが米国は聞かなかった。
――イラク国民会議(INC)のチャラビ代表も20日の記者会見でCPAの対応を批判した。
◆GCのメンバーは全員、同じ意見だ。戦争中「義勇軍」として周辺国から数千人の武装集団が入国し、今もとどまる。彼らの多くはテロリストだ。昨年10月、フセイン(元大統領)は政治犯を除く全囚人10万人も釈放してしまった。さらにフセイン政権の支持者も国内に残る。
こうした抵抗分子がイラクの治安を危うくしている。我々は彼らを逮捕するようCPAに訴えてきたが反応は鈍かった。我々自身の手で取り締まれるよう訴えてきて、ようやく実現しそうだ。
――具体的には。
◆警察官の数を3カ月以内に1万6000人増やし、4万人にする。そのための予算14万ドルを確保した。2年以内には7万5000人にまで増やす予定だ。治安部門の来年度予算は20億ドルに大幅アップする。
他にも今月18日、CPAはトルコ・イラク間などのパイプラインを地元のイラク人部族が警備することに同意した。イラク北部の国境地帯を、ペシュメルガ(クルド人ゲリラ兵士)が警備することも検討している。我々が訴えたいのは「イラクはイラク人自身の手で守れる」ということだ。CPAは我々を信じるべきだ。
――治安はいつ回復するのか。
◆個人的な意見だが、完全に回復するのは1〜2年後だろう。しかし、現在編成中の6000人の新生イラク軍と警察官が、米軍と共同で治安維持にあたるだけで、人々は未来に明るい希望が持てる。我々はゼロから新組織を作り上げようとしている。多少の時間がかかるのはやむを得ない。治安回復と経済復興は、分けては行えない。両方を少しずつ、改善していくことが必要だ。
[毎日新聞8月22日] ( 2003-08-22-15:00 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/kokusai/20030822k0000e030084000c.html