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[8月15日]「『A級戦犯』とはなんなのか」(読売新聞)
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投稿者 彗星 日時 2003 年 8 月 14 日 22:40:01:HZN1pv7x5vK0M

8月15日付・読売社説


 [8月15日]「『A級戦犯』とはなんなのか」

 また、全国戦没者追悼式の日が巡ってきた。戦死した軍人や軍属だけではなく、戦災に巻き込まれて死去したすべての人々を追悼する日である。

 この日は、また、靖国神社を巡り、様々な議論が熱を帯びる日でもある。近年はとりわけ、いわゆるA級戦犯の合祀(ごうし)とのかかわりで、歴史認識の在り方についての議論も多くなっている。

 これは、もっぱら中国、韓国が、ある時期から突然、「A級戦犯合祀」を非難し始めたことによる。

 靖国神社が、いわゆるA級戦犯を合祀したのは一九七八年のことである。それが明らかになった七九年以降も、大平、鈴木、中曽根の歴代首相は、従前通り靖国参拝を続けていたのに、中、韓両国も特段、問題にはしていなかった。

 中韓両国が「問題」にし始めたのは、中曽根首相が八五年八月十五日、「公式参拝」を挙行したのが端緒である。

 いわゆるA級戦犯との関連では、全国戦没者追悼式の対象に含まれているのかどうか、という議論も出ている。

 「追悼対象」問題が改めて浮上してきたのは、福田官房長官の諮問機関「追悼・平和祈念のための記念碑等施設の在り方を考える懇談会」が、昨年暮れに出した報告書が一つのきっかけになっている。

 報告書は、靖国神社とは無関係の国立追悼施設の設立が望ましいとの方向性を出しつつ、追悼対象にはなんの制限もないとした。いわゆるA級戦犯も排除しないということである。

 全国戦没者追悼式も、同様の考え方で開催されてきたのだろう。厚生労働省もいわゆるA級戦犯も排除されているわけではない、としている。

 ただ、排除されているかどうか、という問題以前に、いわゆるA級戦犯とはなんなのか、ということも、たえず問い直されなくてはならないだろう。

 A級戦犯とされた人たちを裁いた極東国際軍事裁判(東京裁判)は法原理的に不当なものであった、という観点からの様々な議論がある。

 東京裁判の性格を象徴するのは、判事席にも検事席にもソ連がいたことだ。ソ連は、ヒトラーと共謀してポーランドを分割し、第二次世界大戦の引き金を引いた。またバルト三国を併合、フィンランドをも侵略して、領土を奪取した。

 さらには、大戦末期、日ソ中立条約を踏みにじって参戦し、東京裁判中も、国際法を公然と無視して日本人捕虜をシベリアで奴隷労働に使っていた。そのソ連が判事席、検事席にいて日本を裁いたというのは、要するに、勝者による敗者への裁きだった、ということである。

 原爆による一般市民大量虐殺という米国の「人道に対する罪」に言及した日本側弁護人の発言の際は、直ちに同時通訳が停止された、ということもあった。

 しかし、東京裁判の進行中も、その後の占領期間中も、連合国軍総司令部(GHQ)の厳重かつ巧妙な検閲・言論統制により、こうした疑問は徹底的に封じられた。「全員無罪」としたインド代表パル判事の判決書も、日本が国家主権を回復するまで出版を許されなかった。

 他方で、“社会主義幻想”に囚(とら)われた左翼勢力が、「第二次大戦は、『ファシズムに対する民主主義の勝利』というのが国際社会の常識」などと、歴史を捩(ね)じ曲げてきた。ソ連が、民主主義とは縁もゆかりもない専制恐怖支配体制の国だったことこそ、「国際社会の常識」だ。

 同じく裁く側だった中国も、過去、現在とも民主主義とは無縁の国である。

 ただ、東京裁判をどう評価するにしても、国内法的には、いわゆるA級戦犯たちは、とっくに名誉回復されている。

 A級戦犯として絞首刑になった東条英機元首相ら七人も、国内法では、「公務死」の扱いになっている。「刑死」ではない。従って、一九五三年以降、遺族は、国内法による遺族年金または恩給の支給対象にもなっている。

 現在では、いわゆるA級戦犯とは、絞首刑にされた七人だけというイメージに限定されがちだ。だが、A級戦犯として有罪判決を受けたのは、軍人、文官合計二十五人である。

 そのうち、禁固七年とされた重光葵元外相は、戦後、鳩山内閣の副総理・外相となった。終身刑だった賀屋興宣元蔵相は、池田内閣の法相を務めている。“A級犯罪人”が法務大臣になったのだとしたら、こんな矛盾した話はない。

 「A級戦犯」が閣僚になったことについて、とりたてて諸外国からの異議はなかった。「A級戦犯」問題は終わってしまっていたのである。

 とはいえ、戦前の日本には、繰り返してはならない過ちが多々あった。

 昭和初期からの軍国主義ファシズムへの傾斜が、重苦しい時代だったことは、まぎれもない歴史的事実だ。東条内閣時代が、苛酷(かこく)な憲兵政治だったことも忘れてはなるまい。

 しかし、戦後の日本には、議会制民主主義がしっかりと根を下ろしている。軍国主義復活などあり得ない。

 日本政府、日本国民は、そのことを、自信を持って、近隣の偏狭、強烈な愛国主義・反日ナショナリズム諸国に発信し続けなくてはならない。

(2003/8/14/22:29 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20030814ig90.htm

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