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歴史は私たちの味方だ
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クレイグ・バーンズ(アメリカ)
2003年5月6日
「平和のための退役軍人会」でのスピーチ
http://www.pepeace.org/current_reprints/03/History%20Is%20On%20Our%20Side.htm
公民権問題を専門とする弁護士で政治評論家、かつ劇作家でもあるクレイグ・バーン
ズは、2003年5月6日にニューメキシコ州サンタフェのレンジック劇場で開かれた「平
和のための退役軍人会」の会合でスピーチをした。聴衆は総立ちで拍手した。
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歴史は私たちの味方だ
友よ、出口を求めて暗雲ただよう中をさまよう今こそ、かつて人々がベトナム戦争を
終結させたことを思い出そう!抗議集会、大統領の嘘の発覚、ペンタゴン文書の公
表、若者への徴兵の影響、5万人を超える若者の死。これらが資本主義と共産主義は
必然的に対立するものとの強い思い込みや、軍事産業の拡大、そして大統領による帝
国主義の推進という傲慢さに打ち克つ力をもった考え方を生み出したのだ。
ベトナム戦争は、人々が終わらせたこと、そして戦争の終結という偉業が私たちが生
きている時代に起きたという意味で、最良の戦争だったと言えるだろう。それは今夜
ここにいる、大統領の嘘を見抜いて隊列を離れたケン・メイヤーズやチャーリー・ク
レメンツのような、勇気ある人々のおかげである。また、私たちと同じ思いを持った
ものが他にもたくさんいるだろう。私たちは帝国主義戦争を終わらせる力があるし、
既にそれを成し遂げている。
数百年もの間、イギリスとフランスは闘うのが当然だと思われていた。しかし、今で
はそんなことは現実的でもなく、無益で想像の及ばないことと考えられている。フラ
ンスとドイツは過去150年間、3回闘い、何百万人もが命を失ったが、これも今では考
えられないことだ。マルクスは共産主義と資本主義の戦争は不可避だと言い、そのた
め過去70年ロシアと西側の戦争がありうると考えられてきた。だが、これも暴力に訴
えず、外交手段を用い、核兵器を使用せずに回避されている。アイゼンハワーもケネ
ディも、核兵器の使用には抵抗した。大統領でさえも、ときには平和を実現するとい
う挑戦を受けてたつことがあるのだ。
世界の多くの地域では、戦争が過去のものとなりつつある。それは、戦争が人間の運
命であるという説、つまり戦争のプロパガンダへの反証となるだろう。プロパガンダ
は戦争の命であり、戦争をもくろみ、準備し、投資を行うために必要とされている。
戦争は抑えのきかない怒りや攻撃性の結果ではなく、野放しにされたイデオロギーと
そのプロパガンダから生まれる。ホメロスが著したイリアッド(戦争叙事詩)以来、
プロパガンダは私たちを駆り立ててきたが、人間の歴史上初めて、ようやく戦争賛美
のプロパガンダが問題視されている。
今日、プロパガンダを流す連中は、いまや世界中でひとりひとりが発信基地となった
インターネットで、実際の経験談などが読める環境にいるわれわれと闘わなければな
らないのだ。この40年間、戦争の文化はかろうじて持ちこたえ、ベトナムで喫した敗
北から力を振りしぼって立ち上がり、グレナダやパナマ、ニカラグアやソマリアと
いった簡単に勝てる戦場へと突進していった。戦争のプロパガンダはエルサルバドル
やモガディシュで大打撃を受けて、1970年代にはアフガニスタンで破壊され、また今
の状況の中で苦しんでいる。
2003年2月15日に3000万人が街頭デモに繰りだしたのは、戦争の文化がもはや大衆を
コントロールできなくなったことの証だ。こんなに大勢の人が参加したのは、彼らが
真実を知っているから、また戦争のプロパガンダが衰退しているからだろう。
情報化時代の中で、そして過去200年にわたる民主主義の高揚の中で、私たちを支配
し、隷属させ、徴兵し、また企業宣伝に盲従するようしむけてきた勢力は、決定的な
誤りを犯している。今日、オーストリアのハプスブルグ家やフィレンツェのメディチ
家のような帝国主義的な寡頭政治を再建しようと画策する勢力は、時流に取り残され
た時代の最後のあえぎのようなものでしかない。巨大メディアや石油帝国、そして兵
器メーカーは、ナポレオンやスペインのエルシドになったつもりかもしれない。人間
の心を操る力は、ホメロスの時代に生まれ、殺戮と精神の堕落を称えてきた。しか
し、今日、3000万人が支配のからくりを理解し、反対を唱えることになろうとは、権
力の当事者は想像できなかったことだろう。
ベトナム戦争から学ぶ前の40年前にはこのような会合は開かれなかっただろう。魔女
を火あぶりにしなくなったこと、イラク人が「敵」で、図書館や博物館を燃やすこと
が「解放」であると私たちが説得されなくなったこと、これは人類の進歩の証だ。ラ
ムズフェルドは「戦争ではいろんなモノが燃えるものだ」と言ったが、燃えたのはた
だの「モノ」ではなかった。各国の主権の根拠となる豊かな土地を、過去200年間
培ってきたのは私たちなのだ。私たちはラムズフェルドが人類の歴史を燃やしたこと
に憤っている。彼は石油省を守っても、ハムラビ法典は守らなかった。ラムズフェル
ドは文明の味方ではない。
私たちは図書館の破壊よりもまともなこと、つまり生命の存続が大事だと思ってい
る。また、暴力による問題解決よりも大切なことを信じている。これらが軍国主義的
なアメリカの鉄面皮の内側にいる私たちを変え、政治の土壌に影響を与えている。地
球の温暖化は大気の話だけではない。地下の温度は上昇し、その熱が今夜の集会のよ
うな動きとなって噴出し、私たちは地球上のさまざまな場所で、戦争はハリバートン
やハークネス、ベクテルの健全な経営に資するとしても、人間にとっては不健全だと
訴えている。企業の掟から見れば健全でも、人類を守るがゆえに倫理的な権威となっ
ている憲法に照らせば不健全なのだ。私たちは徴兵要員ではなく、16桁のクレジット
カードの番号でもない。私たちは番号でも、暗号でもなく、人間なのだ!
こうした動きと意識によって地球の文化は変わり、私たちはようやくはっきりと主張
するようになった。つまり、ナショナリズムと攻撃性にあふれた土地はいやだ、私た
ちが思い描く約束の土地はこのような場所ではない、と。かつて十字軍などに追いや
られた子供たちとは違い、私たち未来の子供たちは、皆を新たな場所へ率いていく、
と。
第二のアメリカ革命が起きると言われているが、次は命を生み出す女性を、生命を作
り出す太陽と水を、人生に光明を投げかける季節、そして良識と人間の尊厳を賛美し
よう。生活の質とコミュニティの性格、人間関係が未来を支えるだろう。それは、長
時間、低賃金で働くことではなく、家や教育のためにローンを組むことでもない。人
間が互いへの信頼を誓い、「可能性を最大限に発揮する」のであれば、バグダッドの
博物館が燃えるのを見過ごしはしない。
今夜の会合は退役軍人の呼びかけたものだということを覚えておこう。彼らは戦争で
生
命、真実、良識がどうなるかを見てきたが、戦争を詩にはしない。今夜の私たちは退
役軍人のようなものだ。軍事予算に苦しめられ、資金不足の学校や、人手の足りない
病院で苦労した退役軍人なのだ。すべてのアメリカ人は退役軍人であり、英雄であ
る。そして今夜、私たちは古くからの目的、つまり文明を守るために再び志願入隊し
よう。
大統領は、12年間も続いたサダム政権はもうたくさんだと言った。しかし、戦争の美
化は紀元前8世紀のホメロスに始まっている。ここにいる私たちは、2800年もの戦争
美化はもうたくさんだと言いたいのだ!
人が生命を守る法に同意し、生存の原則に同意するとき、人はいわゆる「神」と共に
あるのだ。私たちは皆、生き抜き、種の存続の成功者だ。生命の成功の中心原則は相
互依存だ。他者に協力するのに費やす時間は、人殺しに使われる時間よりずっと長
い。信号で止まったり、税金を払ったりすることから夕食を作る手伝いをすること
も、みんな人に協力する行為だ。これまで一度だって私は人殺しなどしたこともな
い。だから「殺すのは生まれつき」というのはナンセンスだ。戦争のプロパガンダに
だまされるな。その掟が過去200年間人類を育み、発展させ、学ばせてきたのだ。長
老たちは財産確保と女性を囲い込むために戦争を美化し、宣伝したが、長期的な潮流
には反している。今日、財産も、女性たちも彼らの思うままにはならない。
人間は、いとも簡単に反逆者をつるし首にするような種族ではない。タフで生き残る
ためにフランスやシリアを罰しなければならない、という考えを広めるのはナンセン
スだ。私たちが今晩ここに来ることができたのは、誰かのおかげなのだ。それが人間
のDNAというもので、物事がうまくいく仕組みである。私たちの先祖が協力し合い助
け合って生きてきたことが、今日のこの会合に繋がっている。
人類にとっての真実は、友人や隣人を得て物事がうまくいくということだ。それで私
たちは安心できる。私はコロラド州の田舎で育ったが、そこでは近隣同士助け合って
きた。アメリカは隣人同士助け合うことで成り立っている国だ。それを基盤にしてコ
ミュニティが形成された。このことはアメリカだけでなく、人類に共通して当てはま
ることでもある。
戦争好きな連中に言ってやろう、もう潮時だと。粗野な人間が成功できると吹聴して
いるに過ぎない。個人主義は、神話でしかない。アレクサンダー大王も、シーザー
も、友人が必要だった。友人なしに世界に立ち向かう政策はたちゆかなくなるだろ
う。ナポレオンに、アントニウスに、ツキジデス、ヘロドトスに聞くがいい。戦争は
成功への道ではない。3000万人がすでにそれを知っている。博物館を燃やすごとに、
民間人を撃ち殺すたびにその数は増えるだろう。
花が太陽の方向に伸びるように、長い目で見て、歴史は生命尊重に向かうだろう。友
よ、命を尊ぶ友よ、協力しあえる、寛大で思いやりのある友よ、ホピ族が言うよう
に、私たちが待っていたのは、私たち自身なのだ。私たちは自力でここまで進むこと
ができた。歴史は私たちの味方だ!
(抄訳・文責:田村優子/TUPメンバー)