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ちょっと古い記事ですが,
7月4日TBS「ニュース23」筑紫哲也氏と霍見(つるみ)芳浩氏の対談転載いたします。
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[浅野健一ゼミ]
http://www1.doshisha.ac.jp/~kasano/FEATURES/2003/tsurumitbs.html
小泉首相による自衛隊の「私兵化」だ
霍見芳浩NYC大教授がTBSで批判
2003年7月3日、同志社大学で講演したNYC大学大学院教授、霍見芳浩氏は7月4日TBS「ニュース23」(関西では毎日放送)に生で出演した。以下は、「ニュース23」での筑紫哲也さんと霍見芳浩教授の対論のテープ起こしである。このHPにある教授のインタビューと併せてお読みください。(文・3回生ゼミ、大島充稔)
Q1.イラクへの自衛隊派遣に賛成?反対?(テレゴング集計が画面に出る)
A.賛成23% 反対77%
筑紫さん 今日は長年アメリカの大学で教鞭をとられてきました霍見芳浩さんにお越しいただきました、どうも。霍見さんは、日本、アメリカの双方に大変辛口の意見を表明されて、「闘う大学教授」などの異名もありますけれども、それと同時にかつてハーバード大学の経営大学院でブッシュ大統領を教えていたのですけど、どういった学生でしたか。
霍見さん そうですね、しょうもない学生で、生まれつき頭の悪い人ではないのですけれども、非常にずるがしこく相手を徹底的に利用するだけ。それから「うそも方便」ということ。それから取り巻きに囲まれてさえいればいい顔が出来る。
筑紫さん なるほど、後ほどブッシュ大統領のことをうかがいますけれども、今日ご覧の通りイラク支援法が衆議院で可決されました。霍見さんのご意見を後ほど伺いますが、まずこのテレゴングの数字をどうご覧になりますか。
霍見さん そうですね、日本国民の一般的なかなり健全な感覚だと思います。なぜかということははっきり言えないにしても、おかしい。おかしいっていうのは、イラク支援法というのは実際ブッシュ小泉支援法と名前を変えてほしいということですね。アメリカ全土の国益にもならないし日本の国益にもならない、そういうことをうすうすどころかはっきり感じ始めている国民の方が圧倒的に多いというのはかなり健全だなあと見直したのですが。
筑紫さん 霍見さんのご意見もすでに今おっしゃっていますけれども、改めてこの法律をどうご覧になっているか、支援法だとおっしゃいましたけれどもねえ。
霍見さん そうですねえ、結局大きな問題があるわけです。なぜかと言いましたら、小泉さんが対米公約を勝手にしちゃったのですね。今度は、これでイラクに自衛隊を派遣しなければ対米公約違反だとなるから、イラク支援法でイラク支援のためイラク復興支援のためと、これはまた新しいウソなわけですけれども、アメリカの占領政策の傭兵としてしかも小泉さんが自分の対米公約、ってことは自分の総裁選挙を有利にするために、ブッシュにすがりつくための代償として、自衛隊を小泉さんの私兵化しちゃう。しかも派兵には、国連安全保障理事会の正式決議だとか日本の国会での議論と決議なしに、こういう首相の一存で、自衛隊は国民を守る国民の財産ではなくなって、首相の私兵扱いを正式に法律化したので、これは大変な問題なのです。
筑紫さん しかし、そこまでやるとアメリカは喜んでいます。
霍見さん アメリカも確かにブッシュは喜んでいます。ただしアメリカの中でも、正直に言ってブッシュの一方的な独断専行ということに関してはかなり批判が高まりつつあるわけです。そうなると日本みたいな同盟国からも牽制されるということが、少なくともブッシュ牽制にもなる。だから、日本に対する期待はアメリカでも二分していると思います。だから、ブッシュは喜んでいます。今までは日本から市場分割といった金だけが出ていたけれど、蹴飛ばせば金が出るし、それだけじゃなくて人、もの、汗、基地も全部差し出してもらいましょうと。しかも日本の方が気づいてないのは、小泉さんは甘いと思うのだけど、イラク支援法を出して10月までにこれくらい派遣してこれでおしまいよと思っているのです。ブッシュ政権はこれをダウンペイメント(頭金)、初回払い、次はこれをきっかけとしてどんどん際限なく日本に犠牲を押し付けていく。
Q2.米英が示したイラク攻撃の理由を信じる?信じない?
A.信じる15% 信じない85%(テレゴングの数字が画面に)
筑紫さん 先ほど学生のブッシュはごまかすのが上手いと言いましたけれども、これはやっぱりごまかしているのですか。
霍見さん そうですね。ウソも方便。しかもブッシュを支えているネオコンサーバティブは国粋極右派なわけですね。昔の共和党じゃないわけで。そういう人たちは結局目的のためには手段を選ばず、その目的というのは非常に偏狭な自分の目的さえ誇示できれば良いというものです。そのためには手段を選ばず、アメリカ国民がついてこないと戦争が出来ないわけですから、そのためにうそを言うわけですね。
筑紫さん それにしても、日本も今このテレゴングを見てもこの数字で、薄々うそだと分かっているのにあえてアメリカについていこうとしているように見えるのですけれども、これはなぜだと思われますか。
霍見さん これはやっぱり、アメリカの中にもブッシュ政権を牽制したいと思うグループがいるのだという見方をする方が、日本のイメージもよくなるのだということが分からないわけで、ブッシュ政権に見捨てられたら困ると、北朝鮮もあるし、そういうのが僕に言わせれば甘えなのですが、原因じゃなかろうか。アメリカのブッシュ大統領の狙い、イラク占領の狙い、これは占領なのですね、狙っているのは「石油つきの沖縄化」だということを言っているわけです。軍事基地と石油利権を獲得するための、半恒久的な占領。
筑紫さん 日本側の態度は、北朝鮮のことが起きたときにアメリカが守ってくれるという、まあそれがあるのだと思うのですけど、これはどう思われますか。
霍見さん ブッシュとしては小泉氏を操るために、北朝鮮のことに関しては日本と利害が全く一致しているなんてことを口では言うわけです。しかし実際に、例えば北朝鮮としては韓国にテロ攻撃だとかすれば戦争になるに決まっているわけで、しかし日本にデモンストレーションをかけてテロ攻撃した場合には、ブッシュはそのために北朝鮮をたたく、ミサイル一つ二つ打ち込むかもしれないけど、地上軍まで派遣して北朝鮮を征服ということはやりません。しかも僕がいつも言っているのは、アメリカの占領政策を支援するために、傭兵としてあえて自衛隊を差し出すと、自衛隊の犠牲もかなりあることだし、中東の大変な反感を買うわけです。じゃあその代償として北朝鮮を考えるならば、今この時点で北朝鮮の核の脅威を牽制するためには米朝の直接交渉を開始、これにコミットしてくれと、そういうことをきちんと言わない限り、イラクにやってもらったから北朝鮮による日本攻撃に対して、アメリカ人の血を流すということは、やらないですね。
筑紫さん アメリカにはいろんな勢力があるとおっしゃいましたが、これからアメリカはどうなると思いますか。
霍見さん そうですね、ブッシュの立場が辛くなっていくわけです。もちろん来年の11月の大統領選挙が一つのゴールですけれども、そうすると内政問題がかなり難しくなっていく。なぜかといいますと、経済発展だとか何とかいっていますけれども、そのための富民階級だけの大幅減税とかいうネオコン・グループが好むことを一生懸命やっている。そのために経済所得の不平等がますます拡大している。失業は増える、しかも「双子の赤字」、財政赤字、貿易赤字というのが増えているという経済的なマイナス効果が非常に出てくるわけです。
それからもう一つは、今回のことで言えるのは、筑紫さんも前、ベトナムの時代のことをよく見られていましたが、ベトナムの反戦というのはかなり時間が経ってから盛り上がって、結果的にはアメリカの復元力となったのですが、今回は戦争がはじまる前からかなり反戦運動が盛り上がって、これはオルタナティブメディアというインターネットグループを通じてですが、そういう反戦を戦争がはじまる前からやっていたグループというのは、ここでもう一度大統領のごまかしを暴くということで、大統領を牽制し始めています。いずれにしてもアメリカ国内は決していいほうには向かいません。いろんな各地域間、民族間、グループ間の対立が増えていきます。
筑紫さん もう時間がないのですけど、そういうとき日本はどうしたらいいですか。
霍見さん 先ほど言ったように、ブッシュを喜ばせるために日本の自衛隊を派遣するなら、それの代償として考えてやることをきちんと今ブッシュからコミットさせるべきです。そのためにもう一つは、これを契機として、民主党のことなのですけれども、なんか一生懸命審議拒否なんてことをすると国民から見放されてしまうと思っている。
冗談じゃない。もっと反対すべきなのです。徹底的に譲るべきでないことをやれば政権担当の政党であると見られるのです。
筑紫さん はい、時間がきてしまいました、ありがとうございました。
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