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社説
2003年09月11日
9・11から2年 国際協調こそ反テロの力だ
米国を襲った同時多発テロから2年。110カ国2792人の犠牲者を出したニューヨークでは8日、最後の救急隊員の葬儀がしめやかに行われた。
現場の復旧は進んだが、国際社会のテロとの戦いはまだ終わっていない。それどころか、この1年で見てもジャカルタ、モスクワ、リヤド、カサブランカなど世界各地で大規模テロが起き、標的も多様化した。8月にはバグダッドの国連事務所が爆破され、国連要人ら24人が犠牲となった。
世界はテロとの戦いに敗れ去ろうとしているのか。あるいは戦いの方法や手段が間違っているのか――。この問いに答えるには、過去2年の経過を改めて冷静に振り返ってみる必要がある。
国際テロの新たな脅威は、冷戦後の政治、経済、情報のグローバル化の中で生まれた。その背景には民族、貧困、南北格差、環境など国家単位の秩序では包み切れない現代社会の矛盾も指摘される。同時テロの直後、世界は「対テロ国際協調」を旗印に外交、司法、財政、情報、軍事などさまざまな協力に取り組んできた。
その第1弾が捜査共助、情報協力、テロ資金封じ込めなどに加えて、タリバン政権崩壊後のアフガニスタンの復興・再建だった。
だが、イラク戦争を機に国際協調は大きく迷走し、国連内部、米欧関係には深い断層が生じてしまった。米国の圧倒的な軍事力を背景にフセイン独裁体制はあっけなく崩壊したものの、戦後の治安回復と復興は混迷に陥った。超大国の意思や軍事力だけでは、テロや無秩序を封じ込めることができないことも明白になりつつあると言っていい。
だからといって、イラクを新たなテロの温床にしてはならない。再建途上のアフガニスタンを投げ出すわけにもいかない。
同時テロ2年の節目にあたっていま振り返るべきは、米国が単独行動の誘惑を断ち切り、世界が国際協調の原則を取り戻すことだ。他の諸国にとっても、対米批判を口実に現実に目をつぶることは許されない。国際社会が結束を失って無為に陥れば、テロ組織を利することにしかならない。
イラクのイスラム教シーア派指導者がテロに襲われた事実は、テロとの戦いが「文明の衝突」ではなく、「宗教戦争」でもないことを示している。テロ根絶の取り組みは、北朝鮮やイランへの核兵器など大量破壊兵器の拡散阻止や、中東和平ともつながっている。
米国はイラク戦後処理の不手際を自覚し、国連新決議案の下に新たな協調を模索している。13日には国連安保理常任理事国の緊急外相会議がジュネーブで開かれる。米欧間の連帯復活と国連本来の機能回復のために、この機運を逃してはならない。
テロとの戦いには地道な国際協力と忍耐が必要だ。そのためには米国を孤立させず、国際協調に取り込む努力が欠かせない。日本もそうした大きな展望を持って、率直で誠意のある助言と行動を惜しむべきではない。
(毎日新聞 09-11-00:16)
http://www.mainichi.co.jp/eye/shasetsu/200309/11-1.html
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「世界はテロとの戦いに敗れ去ろうとしているのか。あるいは戦いの方法や手段が間違っているのか――。」問題設定自体が間違っている.「テロとの戦い」という名の侵略戦争それ自体が間違っているのである.