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社説
9月11日付
■同時テロ2年――戦争は解決でなかった
ビンラディン様。私の息子は大きな夢を持ち、アメリカで懸命に生きていました。なぜ、あなたは罪もない人々を巻き添えにしたのか。
世界貿易センタービルに対するテロ攻撃で一人息子を失った白鳥晴弘さんは、首謀者とされるビンラディンあての手紙にそう書いた。パキスタンに駐在するアラビア語放送の記者に「本人は無理でも、できるだけ近い人に届けてほしい」と託した。
深い憤りと悲しみと無数の「なぜ」を残したあの日から、もう2年である。
世界は変わった。アフガニスタンでアルカイダの拠点をつぶし、タリバーン政権を打倒したブッシュ米政権は、次の目標としてイラクを攻撃し、政権を転覆させた。大量破壊兵器をテロリストに渡さないための「対テロ戦」とされた。
テロとの関連が明確で、国際社会の広い支持を得たアフガニスタンでは戦後いち早く暫定政権ができ、復興が動き出した。
ところが、イラクの戦後の状況は悪化するばかりだ。国連安保理と欧州の主要同盟国を振り切って開戦し、何とか制圧したものの、米英軍への攻撃がやまない。国連事務所さえテロの標的となった。
大量破壊兵器は見つからず、民衆の生活もままならない。フセイン政権からの解放という成果を帳消しにしかねない混乱のなかで、イラクが「憎悪の思想」に支えられた新たなテロの巣窟(そうくつ)になったかのような事態が現出している。
力で世界を牛耳ろうとする米国への憎しみ。その背景にある貧困。泥沼のパレスチナ問題。同時多発テロの温床として、多くのことが語られてきた。
だが、国際社会は、テロをどう撲滅できるかで今も立ちすくんでいる。米国がその軍事力に物を言わせて戦争に勝っても、テロをなくせるわけではなかった。
様々な手段でテロを抑え込みながら温床をなくしていくという、長くたゆまぬ努力が基本ということではあるまいか。
白鳥さんは、子息の遺産や補償金を基にアフガンの子どもたちを助けるプロジェクトを立ち上げようとしている。「テロをなくすには、そこから始めるしかない」と考えたからだ。
国際社会もそんな思いに応えてほしい。最も大事なのは緊密な協調態勢だろう。米国はこの原点に返るべきだ。欧州とも、アラブ・イスラム諸国とも連携してテロ撲滅のための戦略を立て直すことだ。
パレスチナやインドネシア、チェチェンと、それぞれ異なる政治的な背景を持つテロでも、一つのテロが別な地のテロを呼ぶ。とくにパレスチナ紛争の政治解決はテロ撲滅の視点からも急務である。
テロリストの根を絶つために、イスラム諸国自身の民主化努力も求められる。
テロのない世界への新たな出発点として、この9・11を位置づけたい。
http://www.asahi.com/paper/editorial.html
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貧困が原因というごまかし.
アフガンの子どもたちが貧困から「テロ」を起こしたのか?「地獄への道は善意で敷き詰められている」.