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社説
2003年08月02日
拉致被害者 子供らはただちに帰国させよ
北朝鮮に対し食糧や医薬品などの人道援助を行っている日本のNGO(非政府組織)事務局長が平壌で拉致被害者の子供6人と面会していたことが明らかになった。事務局長は子供と一緒に撮った写真と子供の手紙を携えて帰国した。
拉致事件に関しては、昨年10月に蓮池薫さんや地村保志さんら5人が日本に戻った後、政府はその子供らも日本に帰国できるよう北朝鮮側に要求した。北朝鮮は「5人をいったん北朝鮮に帰すべきだ」と主張。核開発問題と併せ両国の水面下の折衝が続いている。
この間、北朝鮮にいる横田めぐみさんの娘のキム・ヘギョンさんや曽我ひとみさんの夫で元米兵のジェンキンス氏らが日本のマスコミに登場したことがあったが、その他の子供たちの詳しい消息は、公式には伝えられていない。
今回、北朝鮮が日本のNGOを通じて子供たち6人の様子を伝えた狙いは何なのか。北朝鮮が何らかの意図もなしに、NGOに子供たちを会わせるはずがない。
NGO事務局長は、蓮池さんらに直接手渡したい、として政府の拉致被害者・家族支援室に手紙や写真を託すことを拒否した。これは不可解だ。蓮池さんの兄で家族会事務局長の透さんが「国と国との問題だから手紙と写真は拉致被害者の支援室を通じて渡すべきだ」とNGO事務局長の態度に疑問を投げかけるのも当然である。
こうした状況からも、北朝鮮がNGOを通じて子供たちの近況を伝えようとしたのは、拉致事件に関する日本の世論の動向を探る観測気球だったのではないか。
北朝鮮が核問題をめぐる6カ国協議を受諾したタイミングから考えると、日本の世論が拉致と核問題のどちらを優先するのかの探りを入れたのかもしれない。
核も拉致も重視する、という日本の世論は変わらない。
拉致事件に対しては、国際世論も厳しくなってきた。6月のエビアン・サミットや東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)外相会議でも取り上げられた。国際包囲網が敷かれているのだ。
これは日本が拉致事件を重視し、各国に働きかけたからにほかならない。世論も核問題と同様に拉致事件が解決し、子供らが一刻も早く帰国するよう願っている。
北朝鮮にとって「拉致」は、日朝間のトゲであるばかりでなく、国際的に大きなマイナス要因になっている。何とかしなければますます孤立化するに違いない。
北朝鮮が日本のNGOと子供を面会させたことは柔軟姿勢を示すメッセージともとれる。子供を日本に呼び寄せたいという蓮池さんらの気持ちは痛いほどわかる。
日朝首脳会談からまもなく1年になろうとしている。金正日(キムジョンイル)総書記は会談で拉致事件の非を認めた。
北朝鮮の政府関係者は、6人の子供について「日本に帰るべきだ」と話したという。だとしたらただちに帰すべきではないか。拉致問題の解決を引き延ばす理由はないはずだ。
(毎日新聞 08-01-23:33)
http://www.mainichi.co.jp/eye/shasetsu/200308/02-2.html