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社説
08月02日付
■6者協議――核打開に多彩な知恵を
北朝鮮の核開発問題の打開に向け、南北朝鮮、米国、中国、ロシア、日本という六つの関係国すべてが協議に参加する枠組みが、来月にも動き出す。
ロシアと韓国政府が北朝鮮の6者協議受け入れを発表したのに続き、北朝鮮外務省が6者協議の開催を確認した。
この問題をめぐる北朝鮮を交えた協議は、4月の米朝中協議以来途絶えている。段取りになお不明な点が残るにせよ、北朝鮮が主張する米朝協議か、ブッシュ米政権が言う多国間協議かで調整が続いてきた問題は事実上決着したといえるだろう。
いま大事なのは、北朝鮮を引き出すための交渉の場を用意し、協議を始めることだ。その場ができることを歓迎したい。
この間、際立ったのは、中国とロシアの積極的な姿勢だ。中国政府は米国と北朝鮮双方に高官を派遣するなどして調停に動き、胡錦涛国家主席自身が北朝鮮の姿勢の変化を先日の電話協議を通じてブッシュ大統領に直接伝えていたと言われる。
ロシア政府も協議への参加に意欲を示し、それをブッシュ大統領が評価した。
中ロ両国のこうした姿勢が、北朝鮮に6者協議の受け入れを決断させたと見ても間違いではあるまい。それは、中ロと北朝鮮の歴史的な関係からだけではない。
中国は先月の朝鮮戦争休戦50周年の式典に代表を送らなかった。ロシアも北朝鮮の核開発がもたらす地域の不安定化に憂慮を深めつつあるように見える。北朝鮮はいやでも孤立を意識せざるを得まい。
むろん北朝鮮も、中ロが加わった協議に実利を見いだそうとしているに違いない。中ロは、核問題を解決するには、北朝鮮が抱いている安全保障上の懸念の解消にも考慮が必要だと主張しているからだ。
北朝鮮はまた、米韓日の間の立場や姿勢の違いを突いて、外交攻勢を強めるかも知れない。北朝鮮が拉致被害者の家族を帰す案を日本政府に非公式に打診してきたのは、核問題をめぐる協議の再開や、北朝鮮が核放棄の見返りとして求める経済支援問題をにらんでのことでもあろう。
問題は6者協議をどう運営し、最終的な目標である北朝鮮の核放棄へと結びつけるかだ。参加国が増えればとりまとめに難しさが増す半面、北朝鮮を譲歩させるための多角的、重層的な外交ができる。
例えば、北朝鮮が核開発を断念すれば米国がその安全を保障することを、関係国がそろって担保するというような道も開けるだろう。単独行動主義で走りがちなブッシュ政権を牽制(けんせい)する場にもなる。
6者協議が固まっても、北朝鮮を転換させる本当の主役が米国であることに変わりはない。その米国が、これからこの問題にどう取り組むのかという具体的な姿が見えないことが問題を複雑にしている。協議を通じて、ブッシュ政権にその提示を迫ることも日韓中ロの役割である。
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