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「満州国は独立国家」残留邦人賠償訴訟で国が見解
中国残留邦人による日本政府に対する損害賠償訴訟で、国が準備書面の中で終戦前の中国東北部(旧満州)について「満州国は我が国とは別の 独立国家だった」との見解を述べていることがわかった。弁護団は「満州国が実質的に日本の傀儡(かいらい)国家であったことは歴史的な事実。日本政府の見識を疑う」と批判。国際法や歴史の研究者からは「日中の歴史 認識に影響を及ぼす問題のある見解だ」との指摘も出ている。
この訴訟は、戦後中国東北部に取り残された日本人女性3人が、国の政策の不備で帰国が遅れ、帰国後の生活も苦難を強いられているとして、01年12月に東京地裁に提訴した。
24日に開かれた第10回の口頭弁論で、国側は準備書面を提出。この中で「我が国の主権は、ポツダム宣言を受諾した昭和20年8月14日の前後を通じ満州国に及んでおらず、満州国は我が国とは別の独立国家であった」と主張した。
この訴訟では、原告の「ポツダム宣言受諾により中国東北部は日本国の主権の及ばない領土外となった」との主張を国側が否認。原告側が「何を否認するのか」との求釈明書を出していた。
国側の見解は、ポツダム宣言受諾前も日本の主権が中国東北部に及んでいなかったとすることで、原告らを保護し、戦後速やかに帰還させる責任を負うことを回避する狙いがあるとみられる。
戦後補償裁判などに取り組む弁護士らによると、国が「満州」について「独立国家」との認識を示したのはこれまで聞いたことがないという。
国側の訴訟代理人になっている法務省大臣官房の訟務部門は、同省広報室を通して「訴訟が継続しているので、裁判外では取材に応じられない」 としている。
また、外務省中国課の堀之内秀久課長は、中国に対する一般的な日本政府の立場と断りながら「当時の日本政府の考え方は、独立国として承認していたということだが、今は95年8月の村山談話に書いてある通りだ」と 話し、裁判での見解についてはコメントできないとしている。
山室信一・京都大学人文科学研究所教授(法政思想史)は「法的、形式 的には通らないわけではない」としながらも、「日本と満州は政府としては 一体で、満州国に派遣した官吏は国内勤務と同一に扱われてきた」と指 摘。さらに、「国の見解は、満州国の主権性を否定する国際社会の認識と 異なるため、衝突を引き起こすことになりかねない」と話している。
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◆「満州国」と村山談話
中国東北部を占領した旧日本軍の関東軍が1932年、清朝最後の皇帝・溥儀を執政(34年に皇帝)にして建国。45年の日本の敗戦で崩壊した。ドイツやイタリアは承認したが、33年の国際連盟総会は満州国を認めないとするリットン報告書を採択していた。戦後50年の95年、政府は植民地支配と侵略で被害を受けた人々への謝罪を盛り込んだ村山富市首相(当時)の 談話を閣議決定した。この中には中国東北部など個別の地域に対する言及はなかった。
(07/28 06:01)