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社説
イラク特措*「派兵」強行の理由ない(7月26日)
自衛隊派遣の必要性、正当性、緊急性−。そのどれもが明確にされないまま、イラク復興支援特別措置法案が野党の反対を押し切り参院委で可決された。参院本会議で成立する。
小泉純一郎首相はじめ政府の粗雑で軽い答弁と、特措法の重い中身との落差は最後まで埋まらなかった。
大義を疑われるイラク戦争への支持と、小泉首相のブッシュ米大統領支持の強さを証明するための、国際的には派兵である。国内では「派遣」という言葉を使ってもだ。
国会会期末を目前にして、野党は廃案にすべく激しく抵抗した。近づく総選挙を念頭に対決姿勢を鮮明にしたかったという側面もあろうが、理は野党側にある。
イラクの現状を踏まえれば米英軍への支援活動に伴う危険は、だれにでも想像できよう。だからこそ、自衛隊派遣反対の世論も強まっている。
自衛隊員の生命を懸けてまで派遣する意味が納得できないからだ。
小泉首相は、安全な「非戦闘地域」にしか自衛隊を派遣しないと言い続けてきた。
ところが先の党首討論で菅直人民主党代表に「非戦闘地域を一カ所でも言ってほしい」と迫られ「どこが非戦闘地域で、どこが戦闘地域か、今、私に聞かれたってわかるわけがない」と開き直った。
無責任の極みである。戦争支持の根拠を問われると「(民主党が政権を取るつもりなら)最も重要な同盟国・米国との関係をどう考えているのか」と反論した。自ら米国追従と認めたようなものではないか。
特措法は自衛隊によるイラク復興支援に対する現地のニーズをつかめないままに作られた。米軍支援でも、米側の要望と「安全な所に限定したい」とする日本の希望がかみ合わない。
イラクの実情、米英軍の直面する現実を無視した「空理空論」の法と言える。戦闘終結宣言後も米兵の死者が相次ぐ状況を「誤算」と認めた米政府のほうが、よほど率直である。
国民は戦後初めて自衛隊が戦地に派遣されるという事態に懸念を深めている。だが野党の追及に真剣に答えず、国民への説明も十分ではない。
特措法がもたらす結果の責任は、第一に小泉首相にある。本来なら、この法に関してだけでも解散して国民の信を問うに値したのではないか。
自民党内から出ているように、秋に予想される総選挙中は避け、その後に自衛隊を派遣するというのでは姑息(こそく)過ぎる。
「よく状況を見極めて、時期・規模を考えたい」と首相も述べた。言葉通り慎重であるべきだ。法が成立しても政府の答弁内容を振り返る限り、派遣を強行する理由はどこにもない。
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?j=0032