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英科学者、生前に「名前公表され裏切られた」 英紙報道
20日付の英紙サンデー・タイムズは、イラクの大量破壊兵器疑惑の報道に関与したとされた後、遺体で見つかった科学者デービッド・ケリー博士(59)が生前、同紙のインタビューで「名前を公表されたことで裏切られた思いだ」と語っていたと報じた。同氏の死をめぐって英国のマスコミは政府の責任を追及する圧力を高めており、ブレア政権は必死の防戦に追われている。他方BBCはこの日初めて、博士が疑惑報道の取材源であったことを認めた。取材源秘匿のあり方をめぐって大きな議論に発展しそうだ。
サンデー・タイムズ紙の報道によると、ケリー博士は、「政府はイラクの大量破壊兵器の脅威を誇張した」とするBBC報道の情報源は自分だと思い、BBC記者と接触したことを上司に自発的に申告した。
フーン国防相はBBC幹部あての書簡でケリー博士の実名をあげ、情報源を確認するよう迫った。これがマスコミに漏れ、ケリー博士は政府とBBCの対決の焦点にされた。同紙によると、氏名を表ざたにする前日、国防省から電話で通告されたケリー博士は、「すべては内密にしておくといわれていた」と衝撃を受け、氏名を出されたことに「裏切られたとの思い」を感じていたという。
国防省は、「氏名公表の決定は同省の幹部がしたもので、閣僚は関与していない」と、官邸に責任が及ばないよう火消しに躍起だ。しかし、労働党元閣僚のグレンダ・ジャクソン議員がブレア首相に辞任を迫るなど、政権が最大の危機に直面したことは衆目が一致している。
博士の家族は「ここ数週間の出来事は、デービッドの生活を耐えがたいものにした。関係者はこのことを厳しく反省してほしい」とのコメントを出した。
ブレア首相は、「当面は司法調査委員会の調べを待ちたい」として、辞任や関係者解任の要求をかわしている。だがケリー博士を死に追いやった責任だけでなく、イラクの大量破壊兵器の脅威を誇張した疑惑をめぐっても、独立した司法調査をするべきだとの世論が高まっており、難局は続きそうだ。
またBBCがケリー博士を取材源と確認したことも今後、波紋を広げそうだ。BBCはこれまで一貫して、「取材源秘匿の原則」から、ケリー博士を取材源と確認することも否定することもしなかった。だが、取材源を守ることが結果的に政府の攻撃を招き、取材源を死に追い込んだとの見方も成り立つ。疑惑報道をめぐって深刻な問題を提起したといえる。
(07/20 20:58)
http://www.asahi.com/international/update/0720/007.html