現在地 HOME > 掲示板 > 戦争37 > 265.html ★阿修羅♪ |
|
07.20
核心
イラク政権崩壊3カ月 続く襲撃
イラクで、米英占領軍への襲撃がやまない。戦闘による米兵の死者は、三月二十日のイラク戦争開始から、十八日までで計百四十九人(ロイター通信集計)となり、一九九一年の湾岸戦争の死者数を二人上回った。占領軍の存在感を薄めるため、米国はイラク人指導者による「統治評議会」の設立(十三日)を急いだ。事件現場を歩くと、住民感情を理解できない米英軍の誤算が浮かび上がった。(イラク中部ラマディで、嶋田昭浩)
◆発 砲
「住民は、イラク人二人が米軍に処刑されたと言っている」。アラブのテレビ局が今月十五日、こう報じた。
殺害現場は、首都バグダッドの西約百キロのラマディ。高速道路にかかる陸橋の上には、赤黒く変色した血痕が残る。目撃者らによると、米軍の発砲は十四日午後二時ごろ。
五秒ほど続いた銃声を耳にしたサラハさん(18)は、約四百メートル離れた地点から現場の陸橋に駆けつけた。自分のいとこが撃たれて路上に倒れ、もう一人の男性も後ろ手に縛られて転がっていた。道路は米軍に閉鎖され、二人に近寄れない。午後五時にようやく遺体を引き取ることができた。
「いとこは農民。政治組織には属さない普通のイスラム教徒だった」とサラハさん。別の目撃者カセムさん(40)は「彼らは処刑された」と憤る。
ラマディに駐屯する米陸軍のアグート少佐は「二人は手投げ弾を持っており、陸橋から高速道路上へ、テロを企てていた。米軍の制止を聞かず一人が手投げ弾を投げようとした」と銃撃の理由を説明。さらに「逃亡を図った一人を後ろ手に縛った(だけだ)」と、「処刑」を否定する。
◆自 然
一方で、一般市民でも旧フセイン政権下の共和国防衛隊などが放置した武器を容易に、しかも安価で入手できるだけに、住民の間には、占領軍襲撃は「自然な国民感情」とみる向きもある。
十四日に殺された男性の親類に当たるアリさん(33)は「二週間前の夜、車を運転していて、路上の検問で米兵に取り囲まれた。通訳もいないし、いきなりドアを強くけられ、窓が割れた」と話す。葉巻をくゆらしたまま指示する米兵もおり、「バカにされた」と住民は受け取る。
十四日の銃撃現場の目撃者らも「なぜ米軍は傷ついたイラク人を助けようとせず、縛って放置するのか」と指摘。身近なところで、米軍に不信感が募っているのだ。
アグート少佐は「われわれと善良な市民の安全確保が優先される」と反論した。
「米軍は既に二千万ドル(約二十四億円)をラマディの市民につぎ込み、学校や行政庁舎を建設した」と地元への貢献を強調する。
だが、そこには、「誇り」にこだわるイラクの市民意識との隔たりがあった。
◆衝 突
イラク南部に展開する英国軍は、住民への威圧を避けるため、ヘルメットに替え、ベレー帽で軍務に就いていた。その英軍にも誤算があった。
バグダッドの南東約三百キロにあるマジャル。食品店を営むアベドさん(32)の自宅に、先月二十二日午前五時、突然、英兵が犬を連れて武器の捜索にやって来た。
寝ていたアベドさんが「われわれイスラム教徒は、犬を家の中に入れることを禁じられている」と抗議したが、英兵は構わず入ってきた。ベッドやタンスに収めた女性用の下着まで、犬がかぎ回ったという。
他の家にも捜索が入りアマラでは怒った市民らと英兵が衝突。イラク人四人、英兵六人が死亡する騒ぎに発展した。英軍はヘルメットに替えた。
「英軍はわれわれの文化に対し無理解だ」と、油田で働くフセインさん(30)。占領軍が“自分流”を押し通せば、住民との溝を深めるだけなのは明白だ。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20030720/mng_____kakushin000.shtml