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From : ビル・トッテン
Subject : イラン名指しの目的
Number : OW583
Date : 2003年7月18日
ブッシュ大統領が太平洋上の空母でイラク戦争の終結と勝利宣言をした5月1日から7月1日までに、米英軍を狙った攻撃によって31人の米英兵が死亡し、178人がけがをしたと米軍当局が発表した。そしてその数はさらに増え続けている。依然として戦闘地域と呼べるそのイラクに、米英軍の活動を後方支援する目的で自衛隊を派遣するという。
(ビル・トッテン)
イラン名指しの目的
ブッシュ大統領はイラク人の抵抗に対して“かかって来い”とし、また米英暫定占領当局はサダム・フセイン逮捕につながる情報に約30億円の懸賞金を出すと発表するなかで、カタールの衛星放送はフセイン大統領がイラク人に対して米軍への抵抗を呼び掛ける演説の音声メッセージを放送した。
イラク戦争では米英軍の激しい攻撃の中で、フセイン政権はバグダッドを放棄して突然抵抗をやめたようにもみえる。アメリカは勝利を宣言したがフセイン政権は負けたのではなく、意図的に戦術を変えた可能性も考えられる。米英が攻撃の理由にした大量破壊兵器については「(証拠が見つかるのは)時間の問題だ」とブッシュ大統領は言い続けているが、いまだ見つかってはいない。何もかもが宙ぶらりんの状態である。
世界の多くの人々が攻撃反対を訴え、イラクが所有しているという兵器についてはフランス、ドイツ、中国その他の国が証拠に説得力がないと反論したにもかかわらず、危険なイラクをもはやほっておくことはできないと攻撃を開始したブッシュ政権と、なにがあっても従うとばかりそれを支持した小泉政権は、この現状をどう弁明するのだろう。
その日本政府がいま、イランでの油田開発事業から日系企業を撤退させるようブッシュ政権から圧力をかけられていると英フィナンシャルタイムズ紙が報じた。「テロ支援国家」イランに核兵器開発を断念させるためだという。
ブッシュ大統領が新たな敵としてイランを名指ししているのも、イラクの現在の混乱から国民の目をそらすためかもしれないし、そう考えるとイラクを攻撃したのも、アフガニスタン攻撃でオサマ・ビンラディンも捕まえることができず、何も解決していないことから国民の目をそらすためであったようにも思える。
そしてアフガニスタン攻撃は、時期的にブッシュと会長との関係が暴露されたエンロンの不正事件、そして低迷する国内経済を戦時体制に変えたかったからではないかと見るのはあまりにもうがった見方か。しかし大統領選そのものが不正選挙から始まったブッシュ政権の政策が、その場しのぎで一貫性のないものだということは間違いない。
イランについて、ブッシュ大統領は今年1月の一般教書演説で「イラン政府は国民を抑圧し、大量破壊兵器を追い求め、テロを支援し続けている。イラン国民は脅迫や死の危険を賭して自由と人権、民主主義を声高に要求している」と激しく攻撃し、さらにはイラクの兵器はイランへ移動されたとまで主張する政府高官もいた。そのイランでは今、大規模な学生による反政府デモが行われ、アメリカは現イラン政権の転覆さえ望むことを公言している。
民間利用だとイランが主張する原子炉が、本当に核兵器開発のためでないかどうか私には分からない。しかしいずれにしてもそれを非難する権利がアメリカにあるのだろうか。イスラエルは1950年代から核兵器の開発を始め、原子炉の建設資金はユダヤ系アメリカ人たちによる巨額の寄付により賄い、1970年になると核弾頭の製造も開始した。国連の査察はにべもなく断っている。歴代のアメリカ大統領は国内のユダヤ系の人々との関係悪化を恐れて見て見ぬふりをしてきた。
イスラエルは現在数百の核弾頭を保有し、その射程距離内にイランはある。イギリス、フランス、インド、イスラエルそしてアメリカが所有している核兵器を、なぜイランだけが所有してはならないのか。それに対する納得のいく説明をまずアメリカはするべきである。核兵器プロジェクトを理由にしたイランに対する攻撃の脅威、その一方で、イスラエルの核兵器を黙認することはまさに偽善であり、それが中東地域における武器競争をあおる結果となっている。
今アメリカがイランの学生デモの支援を公言しているのは、中東地域を親米派で固めるためには、宗教指導者が実権を握るイランでは都合が悪い。このためイラン内部からの圧力、つまり学生たちを利用して神権政治体制の崩壊をたくらんでいるのである。
昨年9月、アメリカは「アメリカに挑戦するかもしれない可能性を持つとアメリカ自身が判断した国をアメリカは攻撃する権利がある」という国家戦略を発表した。これは今後アメリカは世界を武力、すなわちアメリカが世界のどの国よりも勝っている唯一のもので支配し続けるということを意味する。そしてイラクに行ったように、あらゆる理由をつけて次なる攻撃を行うであろう。
日本政府をそのアメリカの軍事占領政策に追随させないようにするためには、日本国民が強い意思表示をするしかない。
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著作:株式会社 アシスト 代表取締役 ビル・トッテン
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